[CML 005989] 若年層右傾化の背景と限界(上)

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 10月 15日 (金) 22:13:40 JST


【PJニュース 2010年10月15日】日本社会、特に若年層の右傾化が大きな問題になっている。ここではネット右翼など若年層の右傾化の背景を分析し、その問題点を論じる。

右傾化の脅威は一時期ほど強調されなくなった。それは行動する保守の行き詰まりが原因である。在日特権を許さない市民の会(在特会)らの幹部は京都朝鮮第一初級学校や徳島県教組への威力業務妨害容疑で逮捕された。主権回復を目指す会では内紛が勃発し、解散会議が開催された。行動する保守は左派市民運動の手法を取り入れて伸張したが、過激化や内ゲバという極左の悪しき習性も伝染してしまった。

一方で尖閣諸島沖での海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突漁船では、幅広い層に嫌中感情と管直人政権の弱腰への反感が見られる。一部の突出した勢力は叩かれたものの、右傾向化自体は国民に浸透している。それ故に右傾化の背景を分析することは今日でも意味がある。

若年層が右傾化する背景は格差社会化である。ネットカフェ難民や内定取り消し、ニート、派遣切り、ワーキングプアなど若者を取り巻く環境は厳しい。若者は貯金することも結婚することもできなくなった。ルサンチマンが鬱積した若者を中心とする人々が、自らの卑小な自尊心の代わりに民族的自尊心で代償するようになった。この分析は既に指摘されている内容であるが、実は半分しか回答になっていない。

現代日本の若者が虐げられ、搾取されていること、そして虐げられた人々が政治意識を高めることまでは説明できる。しかし、政治意識に目覚めた結果、右傾化すること、弱者(たとえば差別に苦しむ在日韓国・朝鮮人)に冷酷になれることは当然の帰結ではない。

不当に支配されている人間は、支配者に怒りと憎しみを抱く。戦後日本の支配体制は一貫して右の側であった。社会に不満があるならば左傾化が自然である。また、虐げられた人々が他の弱者の一層の不幸を望むことは、人間の浅ましい側面であるとしても、真面目に問題意識を持つ人の態度ではない。
http://news.livedoor.com/article/detail/5073457/
http://www.pjnews.net/news/794/20101014_7
それにもかかわらず、右傾化してしまう心理状態は以下のように説明できる。本来ならば支配者に反抗するところであるが、自分に自信を持てない人間は反抗できない。ひたすら耐えながら恨みを蓄積させていくしかない。鬱積した怨恨を抱きながら、支配の重圧に甘んじなければならない人間の心は奇妙に変化する。

現状に耐えかねて、支配者に同化しようとする。そして自分が支配者になったと勘違いすることで、支配されている状態を忘れ、自分を慰める。これがマイノリティーである在日韓国・朝鮮人や社会的弱者のために闘う労働組合を攻撃する心理的背景である。

結論として右傾化した人々が社会に不満を抱いた出発点は正しいものの、その後に歪みが生じてしまった。これでは真の問題解決を遠ざけるだけである。その限界が浮き彫りになる論文として、論座2007年1月号に掲載された赤木智弘「「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。」がある。

賛否は別として、この論文は右傾化した若年層の心理を説明するものとして大きな話題になった。格差社会の日本で貧困から抜け出せないフリーターの著者が「国民全員が苦しむ平等」である戦争にしか希望を見いだせないと主張した。

赤木氏は戦時中に徴兵され陸軍二等兵となった丸山眞男が中学にも進学していない一等兵に執拗にイジメられたエピソードを紹介する。そこから以下のように主張した。

「戦争とは、現状をひっくり返して、「丸山眞男」の横っ面をひっぱたける立場にたてるかもしれないという、まさに希望の光なのだ。」
【つづく】



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