[CML 005976] 井上論文に対する沖縄からの反論

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2010年 10月 14日 (木) 23:45:27 JST


 坂井貴司です。
 転送・転載歓迎。
 
 尖閣諸島こと釣魚諸島は中国固有の領土である、とする井上清の論文は全面的
には支持できないとした私が送った「井上清の政治的立場」[CML:005953]に対し
て、多くの方からレスがありました。
 
 さて、その中で東本さん[CML:005963]は、
 
 「しかし、井上論文の評価と彼の政治的立場は無関係ではありませんが切り離
して考えるべきだと思います。そうしないと正しい論文評価はできません。論は
論自体として読むのが正統な読み方だと思います」
 
とのレスを送ったくださいました。

 それはその通りだと思います。
 
 しかし、井上論文は尖閣諸島は日本固有の領土と主張する、「日共」こと日本
共産党や旧社会党、自民党、朝日新聞などに対する激しい批判に満ちています。
それ自体が政治的です。
 
 論文の最後は、
 
「釣魚諸島略奪反対のたたかいは、後日ではなく、まさに今日、日本人民が全力
をあげてとりくむべき、日本軍国主義・帝国主義反対の闘争の当面の焦点である。
このたたかいに目をつむって、反帝も反軍国主義もありえない。釣魚諸島略奪反
対の闘争と日中国交回復の闘争とを、切りはなしたり、甚しきは対抗させたりす
ることは、じつは日帝を援助することである。本気で、まじめに、具体的に、日
本帝国主義軍国主義に反対してたたかおう。そのたたかいの、当面の最大の緊急
の焦点である、日本帝国主義軍国主義の中国領釣魚諸島略奪反対に、全力をあげ
よう」

というアジ演説で締めくくられています。

 これは冷静な学術論文ではありません。明らかに政治的主張を述べた文書です。
 
 私には、「尖閣諸島は日本固有の領土、死守すべし!」と日の丸を掲げで街宣
車で走り回る右翼と同じに見えます。
 
 そして井上論文から見れば、「尖閣諸島は日本固有の領土」と全会一致で決議
した沖縄県議会の議員たちは全員、日帝の手先であり、軍国主義者になります。
その中には、普天間基地撤去や辺野古移設反対の先頭に立つ県議会議員もいます。
 
 以上のことから私は、井上論文は彼の政治的立場とは切り離すことはできない
と思います。
 
 さて、尖閣諸島こと釣魚諸島は中国固有の領土と述べた井上論文に対して、こ
の問題の最大の当事者である沖縄から反論の著作があります。
 
 「尖閣列島」緑間栄著 おきなわ文庫14 ひるぎ社 1986年 600円
 
 出版当時、沖縄国際大学教授で国際法学者であった緑間栄が、井上清をはじめ
とする尖閣諸島中国領有論に対して、沖縄の立場から反論した本です。
 
 尖閣諸島問題は歴史学からのアプローチではなく、国際法からのアプローチで
考えなければならない、琉球と尖閣諸島の関係は実は深かった、中国は古文書の
偽造まで行って領有を主張している疑いがあると述べ、尖閣諸島は沖縄の一部で
あり、日本の領土であることは明白であると主張しています。本書の良い点は、
武力衝突一歩手前までいきながらも、交渉で海の領有権を分かち合い、アドリア
海領有問題を解決したイタリアと旧ユーゴスラビア、ペルシャ湾の海底油田やガ
ス田利権を分かち合う協定を結んだサウジアラビアやイラン、クウェート、オマー
ン、アラブ首長国連邦の例を出して、尖閣諸島問題、特に海底ガス田利権は交渉
で解決すべしと力説している点です。
 
 この本は、沖縄の地元出版社から出され、沖縄県内でしか流通しなかったため、
本土で手に入れるのは困難です。私は以前、沖縄に行った際、那覇空港の本屋で
偶然見つけ、購入しました。
 
 今、人に貸しているので、手元にありません。
 
 この本は絶版です。
 
 以下のサイトでは通販で手に入れる事ができます。
 
 ブックスじのん
 http://www.jinon.ginowan.okinawa.jp/
 
 全文がインターネット上にアップされ、容易に読むことができる井上論文に対
して、読むのが大変難しいものですけれど、よくまとまった本です。
 
 なお、私は市民運動を行う者の立場としては、尖閣諸島の領有問題はとう小平に
ならって「棚上げ」し、これを利用した中国脅威論の扇動や、沖縄米軍基地増強、
自衛隊の先島諸島配備に反対する方に力を入れた方がいいと思います。
 
 なお、個人的な考えとして、私は尖閣諸島はかつて主権国家であった沖縄の一
部だと思っています。
 
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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「郵政民営化は構造改革の本丸」(小泉純一郎前首相)
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