[CML 005867] 韓国旅券法改定に伴う指紋情報採取に関する質問状への回答

Kang Hwangbum hwangbum03 at ybb.ne.jp
2010年 10月 7日 (木) 13:12:55 JST


在日コリアン青年連合(KEY)の姜晃範と申します。

先日7月16日付で本MLに情報提供を行いましたが、韓国旅券法一部改正法律案の施行に伴い、今年1月1日付で旅券発給時の在日コリアンに対する指紋採取制度が導入、実働化している事実が判明しました。私たちは改めて本件について外交通商部宛に質問状を送付し、9月3日付で回答を得ました。その全文を下記に掲載させて頂きます。併せて声明文も作成・送付しておりますので、こちらもご参照頂ければと思います。

※昨年8月に送付した外交通商部への質問状に対して、海外居住の韓国民の取り扱いについては「住民登録をしていない海外同胞の場合は、対照する指紋情報がないため、従来通り写真やその他の書類を基に本人かどうかを審査して旅券発給可否を決定する」という回答を得ました。先日のメールにおいて「韓国に住民登録をしていない海外居住の韓国民、たとえば永住権を持つ在日コリアンはその対象外になるとされました」と断定した見解を示しましたが、下記内容からも分かるとおり「海外居住の韓国民の指紋情報は採取しない」と明示されているわけではありません。本会が回答を厳密に追究できなかった結果、皆様方には正確ではない情報を提示する形となってしまいました。いずれにしましても今回の事案は、国際犯罪・テロ防止の名の下で指紋情報による管理体制が拡大・連携網が構築されていくという本質部分があくまでも問題であると考えております。


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【韓国旅券法改定に伴う指紋情報採取に関する質問状 への回答(9/3)】

1.昨年8月時点では、海外同胞の場合は指紋によらず、従来の方法で本人確認を行った後に旅券発給可否を決定する、との回答を頂きましたが、この見解はいつ頃変更になったのでしょうか?また変更の根拠はどこにあるのでしょうか?

[回答]
旅券法第8条及び第9条によると、指紋は旅券申請人の姓名、国籍、性別、住民登録番号のように「旅券業務の遂行に必要な情報」として、法令に規定された一部例外対象者を除き、すべての申請者が必ず提供しなければならない法定義務事項です。
昨年8月にお送りした回答の趣旨は、住民登録がされておらずD/B上対照する指紋がない場合には、以前のように書類を土台にして本人可否を審査するようになるという、原則的な手続きを説明させて頂いたということです。
指紋対照制度に関わる旅券法改定案は昨年10月に国会を通過し、今年1月1日から実施された指紋採取及び対照業務に対する詳細指針は昨年12月に確定されており、同指針に従って在外同胞の場合にも一律的に指紋対照制度を適用していることをお伝え致します。


2.「本人確認」を行なうことを主眼とする指紋採取制度について、対照する指紋情報がない海外同胞からも指紋を採取する合理性はどこにあるのでしょうか?

[回答]
旅券発給申請時の指紋対照確認制度は、過去日本国内外国人登録制度施行当時、外国人に対して差別適用された指紋強制捺印制度の趣旨及び施行方法等とは異なり、本人確認を目的に実施する制度として、全国民を通じて適用される制度です。
日本居住同胞の場合、住民登録番号が無かったり、警察庁D/Bに指紋が未登録になったりしており、受付をして直ちに指紋対照確認が困難であるとはいえ、例外的な場合ですが必要な場合、受付後の身元調査過程で関係機関を通じて対象が可能な場合があるため、指紋採取の実益が存在するという点をお伝え致します。


3.法律第8条に、指紋の「保管及び管理期間は3ヶ月以内」にするとありますが、生体情報は完全に抹消・廃棄されるのでしょうか?それとも今後の新たなデータベース構築を目指し、別の機関に移送・保管・管理されるということがあり得るのでしょうか?

[回答]
旅券発給申請時の指紋対照制度は、本人確認を目的として実施する制度として、旅券法第8条によれば採取された指紋は専ら本人確認の用途のみに使用され、本人確認のための指紋の保管・管理についても3ヶ月以内に限定されています。
また、現在採取された指紋は、旅券交付と同時に自動削除されるので、流出及び悪用の憂慮はありませんし、新たなデータベース構築のために、他の機関に移送、保管される可能性はないということを申し上げます。


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【声明文】韓国旅券発給時の指紋採取に反対する
外交通商部長官代行 申珏秀 貴下

私たちが継続して関心を持ち続けてきた旅券法に関して、2009年10月19日に一部改正法律案が公布され、今年1月1日に施行されました。今回の改正に伴い旅券発給時に指紋押捺が必要とされ、既に住民登録情報として保管されている指紋情報と照合することで本人確認を行なうことが条項に折り込まれており、在外国民からも実際に指紋情報を採取していることが確認されました。

 先日送付した私たちの質問状で、本人確認を目的とする指紋採取制度について照合情報の無い海外国民からの採取に関する合理性を尋ねました。回答では「日本居住同胞の場合、住民登録番号が無かったり、警察庁D/Bに指紋が未登録になったりしており、受付をして直ちに指紋対照確認が困難である」と認めており、到底納得のできる説明になっていません。また同回答で「日本国内外国人登録制度施行当時、外国人に対して差別適用された指紋強制捺印制度の趣旨及び施行方法等とは異な」るとされています。確かに趣旨は異なりますが、これまで私たちが何度も指摘している通り、在日同胞は指紋情報の採取に関して非常にセンシティブな思いを抱いています。1952年に公布された外国人登録法とそこで定められた指紋押捺制度は、専ら朝鮮人を中心とした外国人の統制・管理を目的としていたことは周知の事実です。私たち在日同胞にとっての指紋押捺制度とは、自らの歴史的経験に根ざした屈辱感、不快感、心の痛みの象徴に他ならないのです。

 また私たちが要求するのは在日同胞の歴史的特殊性を鑑みた措置を講ずることのみにありません。住民登録をしている韓国人にとっても本改定により、たとえ海外に居住していても旅券発給・更新時に新たに指紋押捺が求められることになりました。住民登録の時のみならず、さらに指紋押捺を強制される場面が増えたことに対して、私たちは問題だと指摘せざるを得ません。
 この間、米国に始まった外国人の入国時における指紋情報及び顔写真の採取制度が日本でも取り入れられ、韓国においても今年9月から段階的に運用されています。私たちは国際犯罪・テロ防止という名の下に、指紋をはじめとしたセンシティブ情報による管理体制が世界大で拡散していることに大きな危惧を覚えています。高度な個人情報による管理制度は市民の権利とプライバシーを著しく侵害する可能性を孕みます。
 今回の法改定は、まさにこのような普遍的な人権感覚に逆行する事態として受け止められ、私たちはこのような観点からも、改めて指紋情報採取に反対の意志を強く表明します。

2010年10月7日
在日コリアン青年連合(KEY)



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