[CML 006682] 延坪島砲撃事件による朝鮮学校無償化停止の不当(上)林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 11月 27日 (土) 11:31:26 JST


【PJニュース 2010年11月27日】日本政府は朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による砲撃事件を理由に朝鮮高級学校の無償化適用手続きの一時停止を表明した。これは日本政府の人権意識の低さを世界にさらけ出すものである。

韓国と北朝鮮の間では2010年11月23日に北方限界線(NLL; Northern Limit Line)で砲撃戦が行われた。北方限界線は韓国側が一方的に設定した黄海(西海)上の南北軍事境界線であり、北朝鮮は同意していない。23日は北朝鮮の中止要請を無視して韓国軍が実弾発射訓練を実施し、その中で砲撃事件が勃発した。韓国は北朝鮮が砲撃してきたと主張するが、北朝鮮は「韓国が先に挑発したため、対応措置を取った」とする。

北朝鮮は韓国海兵隊の基地がある黄海上の離島・大延坪島を砲撃した。被害は島内の市街地にも及び、民間人の死傷者も出た。建物の多くが破壊され、島民も多くが韓国本土へ避難した。北朝鮮側の被害は現在のところ、公表されていない。

市街地を砲撃し、民間人を死傷させた北朝鮮の攻撃を非難する声が強い。一方で被弾した民間施設の建物には、かつては軍関係施設だったものもあり、北朝鮮が現在でも軍関係施設であると認識して精密照準砲撃したとの指摘もある。これによれば北朝鮮の砲撃は必ずしも無差別攻撃ではなく、米軍によるイラクやアフガニスタンでの爆撃と同レベルの悪である。

米国も中国もロシアも、それぞれニュアンスは大きく異なるものの、安定のために自制を求める点では共通する。米国の北朝鮮問題を担当するボズワース特別代表は11月23日に中国・北京で中国側と会談し、両国が自制した対応を取ることで一致した。
http://news.livedoor.com/article/detail/5168139/
http://www.pjnews.net/news/794/20101126_2
この点で北朝鮮の砲撃を「許し難い蛮行」とし、北朝鮮非難・韓国支持一辺倒の日本は国際社会から浮いている。六カ国協議でも日本は拉致問題に拘泥し、北朝鮮を過度に敵視するために障害になっているとの批判がなされたが、延坪島事件でも同じ論理が該当する。

日本は国内でも砲撃事件を理由に朝鮮学校の無償化適用手続きを停止した。高校無償化は歴史的な政権交代を果たした民主党政権の目玉政策の一つであるが、朝鮮学校の適用問題でみそを付けた。

騒動の発端は中井洽・拉致問題担当相(当時)である。北朝鮮への経済制裁と整合性がとれないとし、川端達夫文部科学相(当時)に無償化の対象から外すように要請した。結局、朝鮮学校を対象にするかの判断は先送りされた。国連の人種差別撤廃委員会は2010年3月16日に朝鮮学校の除外は人種差別になると指摘し、改善を勧告した。

北朝鮮への制裁は政策(ポリシー)の問題である。無償化の対象から朝鮮学校を除外することは、朝鮮学校に通う生徒を他の高校生から差別することになる。この差別を許すことは、政策を朝鮮学校生徒の平等権よりも上に置くことになる。これでは時の政府の政策によって、どのようにでも人権が制限されてしまう。

人権は人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである(日本国憲法第97条)。政策によって左右できるものではない。それ故に朝鮮学校差別は日本国民にとっても看過できない問題である。心ある日本人から朝鮮学校を対象に含めることを求める声が出ることも当然の成り行きである。

ようやく、高木義明文部科学相が「外交上の問題によって(無償化適用の是非を)判断すべきではない」との考えを示し、朝鮮学校も無償化に向けて進み始めた。その矢先の一時停止である。全国朝鮮高級学校校長会の慎吉雄(シン・ギルン)会長らは11月25日、東京都内で会見を開き、抗議声明を発表した。「朝鮮半島の事態と生徒は関係なく、理不尽極まりない」と主張する。

菅直人首相は24日に「私の方から高木文科相に対してプロセスを停止してほしいと指示を出した」と述べ、無償化停止が首相の指示であったことを認めた。菅首相は市民運動出身で世襲政治家ではない点で好感を抱かれたが、市民運動時代の活動も含めて市民派としての感覚には疑問の声が出ていた。【了】
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)




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