[CML 006390] 大山鳴動して鼠一匹の尖閣ビデオ(下)林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 11月 9日 (火) 18:55:17 JST


【PJニュース 2010年11月8日】冷静に評価すればビデオ公開は日本政府ではなく、中国政府の立場を強化することになる。この点を踏まえれば、日本政府が何故、ビデオを一般公開しようとしなかったかが理解できる。ネット右翼などが批判していたように、中国の反発に遠慮したためではない。反対に「中国漁船が故意に体当たりした」との主張が崩れることを恐れたと考える方が合理的である。

ビデオの投稿者は右翼系と見られている。投稿者のアカウント「sengoku38」が仙谷・左派と読めるからである。仙谷由人官房長官を媚中派と批判することもネット右翼の特徴である。ネット右翼の論理では仙谷長官らがリードする首相官邸が日中友好を優先してビデオの公開を拒否するために投稿したとなる。しかし、実際は中国の主張を強め、日本の立場を弱めることになりそうである。「愛国」を唱えつつも実際の言動が日本の国益を損なってばかりな点は日本の右翼層の伝統的な特徴である。

一般に写真や録画、録音は事実を記録したものと思ってしまいがちである。だから「ビデオがある」と言われれば、その主張が正しいと思考停止してしまいがちである。ところが、実際のビデオには日本政府の主張を裏付けるものではなく、日本政府の主張はビデオから導き出される解釈の一つに過ぎなかった。それも、かなり強引で無理がある解釈であった。日本政府はビデオを観れば真実が露見するのに「ビデオがある」と主張する子どもだましの卑怯な戦術を使っていた。
http://news.livedoor.com/article/detail/5123217/
http://www.pjnews.net/news/794/20101107_7
ビデオ流出は情報がオープンになるという観点では好意的に評価できる。特に無責任なデマを打ち消すことができた点が大きい。ビデオ公開前までは衝突事件で海上保安庁職員が海に突き落とされ、殉職者が出たというデマがインターネット上では流布していた。ネット右翼などは反中感情を煽るためにデマを積極的に拡散していた。

中にはBBC中国語版に掲載されたニュース記事中の「事故没有造成人員傷亡」を「事故で死傷者が出た」と誤訳する悪質なデマもあった。中国語の「没有」(メイヨウ)は否定形である。否定文を肯定文に誤訳することは、第二外国語として中国語を習い始めた大学一年生でも考えられないミスである。ここにネット右翼の悪意を見ることができる。

このようにネット右翼のデマは稚拙極まりないものであったが、ビデオ流出によって息の根を絶つことができた。ネット右翼にとって真実は問題ではなく、嫌中感情を扇動できさえすればいい。だから、虚偽が露呈したデマには頬かむりして、新たなデマを量産し続ける。それ故にこそ、デマが虚偽であることを記録することは良心的なジャーナリズムの使命である。【了】



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