[CML 006377] J-Flash166:エコが育てる戦争経済

ピープルズ・プラン研究所 muto at jca.apc.org
2010年 11月 8日 (月) 13:45:55 JST


ーー【APA‐Jフラッシュ No.166】ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「地球にやさしい」エコな軍隊。戦争経済依存症はそのままに…。 (M)
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エコが育てる戦争経済
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「アメリカは石油中毒にかかっている」ジョージ・W・ブッシュがこんな奇妙な
宣言をしたのはもう5年以上も前のことだ。石油消費を削減するほとんどすべて
の規制に反対してきた大統領の発言としては皮肉、と言っておこう。石油のため
の戦争だったかどうかはわからないとしても、確実に大量の石油を消費したイラ
ク戦争当時の発言ということを考えれば、その皮肉さはさらに際立つ。2006
年にブッシュが、この「石油依存がこの国の安全保障に脅威をもたらしている」
という議論をしたとき、米国国防総省は1日あたり32万バレルの石油を消費
し、たった35カ国をのぞいた世界中のどの国家よりも燃費が悪い一国の一省庁
という状態だった。目糞鼻糞を笑うとはこのことだ。

アフガニスタンでの戦争と世界各地の軍事機構を維持するため、国防総省はアメ
リカ政府機関の中で最も多くの石油を消費し続けている。この状況は、安全保障
上の長期的な脅威となるだけでなく差し迫った危険ももたらす。近代戦争の生命
線である石油は戦場における標的となったのだが、燃料を運ぶ何十ものアメリカ
部隊が爆破されているアフガン・パキスタン国境周辺こそがそのことをよく表し
ている。石油が戦争をもとめ、戦争が石油をもとめる悪循環の直近の典型例だ。

解決困難に見えるこの問題をどう解決するかと問われれば、地球を見下ろす軍神
マースの星の人間(火星人)なら、この国の軍事投機を一挙に減らす、つまり戦
争問題に取り組むことで石油問題を解決する方法を勧めるだろう。しかし、アメ
リカ国家安全保障の守護神を自認する人々は、そんなアドバイスを危険で甘いと
決めつけるに違いない。国防総省は戦争はやめずに、石油の消費を減らす独自の
方法を考え出した。ニューヨークタイムズなどの先週の報道によれば、軍は、現
代社会におけるおなじみのセリフ「地球にやさしく」をキーワードにするのだと
いう。その範囲は、攻撃車両や爆撃機のガソリンを藻類などのバイオ燃料に切り
替えたり太陽電池を使ったりすることから、軍事基地の電球を低電力消費のもの
に切り替えることまで、実に多岐にわたっている。

この声明に対する報道はきわめて好意的だ。ニューヨークタイムズの記事にはこ
の構想のあらゆる戦略的・経済的利点を語った軍の広報担当者や高官の発言が引
用され、『スレート』誌の記者フレッド・カプランは、この試みでアメリカ全体
の燃費を減らすことができるのではないか、と記している。ジョン・スチュワー
トも、これを革新的な取り組みと示唆するコメントを出した(保守派は信念に
従っているならこの意見には反対だろうが)。

こういった反応は驚くべきことではない。エコ化することはどんな組織にとって
も望ましいし、そのうえ軍のイノベーションは、アメリカ社会の大規模なイノ
ベーションと経済浮揚になによりも具体的につながっている。軍のエコ化に大き
な期待が集まるのは、州間幹線道路網やNASA、初期のコンピューターといっ
た軍の取り組みが、この国と経済全体にいかにプラスになったかを私たちが思い
出すからだ。

しかし、リサイクルコルクを抜いて有機栽培のシャンパンで乾杯する前に、別の
角度からちょっとこの問題を見てみよう。まず、軍が大幅にエコ化されるという
約束が必ず実現するとは限らない。国防総省がこのキーワードを使うのは今回が
初めてではないし、「地球にやさしく」を標榜するほとんどの組織と同様、これ
までの成果は喧伝されていたよりもかなり控えめなものだった。また、ニュー
ヨークタイムズも伝えるように、「あまりに性急に再生可能エネルギーに移行し
ようとするあまり、軍が現在採用している技術の多くはすでに実用化されている
ものか、あるいは民生用モデルをそのまま軍事転用したものばかりである」。少
なくとも今までのところ、軍は環境技術を創造しているというより消費している
にすぎないのだ。

私自身も含め、多くの進歩主義者は、政府がその購買力を「地球にやさしい」エ
ネルギーへの投資に生かすことに賛成するだろう。残念なのは、こうした取り組
みが戦費を見直す場面でのみ広い支持を得るということだ。アメリカは単に石油
依存症というだけでなく、戦争依存症というだけでさえなく、戦争経済依存症で
もあるようだ。しかしこの中毒は、脱することができるものだ。私たちが戦争で
すべての問題を解決しようとすることをやめさえすれば。
                         ハナ・ガーマン
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出典:Foreign Policy In Focus(2010年10月11日)
http://www.fpif.org/blog/how_green_grows_my_war_economy
翻訳協力:T.M.(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:タンノワ 監修:APA‐Jデスクチーム
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