[CML 006315] サイゾー『タブー破りの本300冊』で感じた告発者の痛み:林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 11月 3日 (水) 21:42:05 JST


【PJニュース 2010年11月2日】出版社サイゾー(東京都渋谷区)は2010年11月1日に『別冊サイゾーvol.1 タブー破りの本300冊 サイゾー11月号臨時増刊』を発行した。これは月間サイゾーに掲載された特集「タブー破りの本」シリーズを再構成し、新たに記事を追加したものである。

真田十勇士のナンバー2「霧隠才蔵」が誌名の由来であるサイゾーは「視点をリニューアルする情報誌」をコンセプトとし、マスメディアが流す大衆向けの画一的な情報の真相・深層を独自の視点で検証することをミッションとする。「タブー破りの本」シリーズも、そのミッションにふさわしい内容になっている。

タブー破りの本とは大手メディアでは取り上げないテーマを扱う本、体制や特定の団体から強い反発がある本、常識や価値観を覆す強い衝撃を持っている本などを指す。取り上げられた300冊は警察不祥事やヤクザ、タレント本やイケメン写真集、ドラッグなど実に雑多で幅広い。それでいながら書籍のポイントを得た紹介になっている。例えば増田美智子氏の『福田君を殺して何になる』は記事「あなたは「死刑」に賛成?反対?己のスタンスを考えるための本」で紹介されている(66頁)。

この書籍は光市母子殺害事件の被告人の実名掲載で話題になったが、被告人を死刑とすることが正しいのかという点が著者の問題意識であった。その意味で実名掲載の是非に終始する傾向のあったマスメディア以上にサイゾーは『福田君を殺して何になる』を正しく位置付けている。
http://news.livedoor.com/article/detail/5111656/
http://www.pjnews.net/news/794/20101102_1
興味深い記事は「ケータイ小説没落の穴を埋めるギャルたちの"闇"と"病み"自伝」である(76頁)。ここでは益若つばさや雑誌『小悪魔ageha』に代表されるギャル系の動向を分析する。ギャルと言えばキラキラと着飾っているイメージがあるが、記事では自らの抱える「病み」の部分をフィーチャーした点をギャル本の特徴と分析した。

その代表例として、両親の離婚、高校退学、摂食障害、キャバクラ勤務、薬物依存などを赤裸々に描いた、池田ゆい『狂食ギャル いつも自分の居場所をさがしていた』を紹介する。きらびやかな外見と繊細な内面、ここにギャルの思想性があるとする。

この二面性は私が取材を受けた「警察、学会、不動産、農業……内部告発が切り込む闇」にも通じる。ここでは告発本を扱っている。仙波敏郎『現職警官「裏金」内部告発』、矢野絢也『黒い手帖―創価学会「日本占領計画」の全記録』などと共に、拙著『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』が不動産売買トラブルの当事者によるノンフィクションと紹介された。

記事では告発そのものだけでなく、告発者が受けた理不尽な扱いや告発のリスクに言及した。特に拙著については出版によるメリット・デメリットを具体的にコメントした(46頁)。

告発者のエネルギーは不正に対する激しい怒りである。このために告発本が攻撃的性格を帯びることは必然である。一方で告発者は不正に傷つき、苦しむ存在である。単に話題となった本を紹介するだけでなく、告発者の痛みにまで目配りした記事になっている。【了】



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