[CML 004134] 東アジア歴史・人権・平和宣言と行動計画が作成中

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 5月 17日 (月) 20:09:15 JST


【PJニュース 2010年5月17日】東アジアのNGO諸団体・市民運動家有志(徐勝実行委員長、前田朗事務局長)による「東アジア歴史・人権・平和宣言と行動計画」の作成が進められている。これは東アジアの近現代史を全面的に見直す過去清算のための平和宣言・行動計画で、日本の韓国併合(朝鮮併合)100年にあたる2010年8月に完成させる予定である。

これはアフリカの奴隷制に焦点を当てながらも普遍性を持っている「人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議」(ダーバン会議)の宣言と行動計画(2001年)の精神を引き継ぐ活動である。
http://news.livedoor.com/article/detail/4772759/
http://www.pjnews.net/news/794/20100515_11
「東アジア歴史・人権・平和宣言」では東アジアにおける人種主義と人種差別を克服するために、その根源である戦争と植民地支配に視野を広げながら、日本と東アジア諸地域との関係史を振り返り、現在抱えている問題や向き合うべき課題を明らかにすることを目指す。第一次案は事務局が作成し、東アジア諸地域の運動体によって修正していく。

行動計画では日本の戦争の反省、克服をきちんと済ませるために、被害者への謝罪と補償の責任を果たすために、さまざまな分野で取り組んできた運動体の現在の課題を明示する。諸団体、諸個人が執筆する予定である。

構成案では様々な問題を取り上げる。日本の植民地支配や戦争犯罪に関連した、関東大震災での朝鮮人虐殺や強制連行、日本軍性奴隷制(従軍慰安婦)などがある。また、少数民族差別(アイヌ民族、琉球民族)や在日外国人差別など現在も続いている差別がある。さらに女性や若者・セクシュアル・マイノリティなどへの差別もリストアップする。

公開済みのドラフトから宣言と行動計画の特徴を2点指摘する。

第1に東アジアの定義である。宣言の総論・第一次案(2010年4月16日)では東アジアを以下のように定義する。

「近代日本国家が、18世紀以来の西欧帝国主義のこの地域への膨張と侵略に触発されて、対外的膨張を試みて、軍事的、政治的、経済的、文化的に支配した植民地、軍事的に侵略行為を行った結果としての占領地、さらに軍事的に侵略行為を行って当該地域の軍隊、準軍隊ないし武装勢力と戦争を行った交戦地を含む。」

このために東南アジアや太平洋地域も含み、地理的な東アジアとは異なる。それ以上に歴史的概念として捉えている点が重要である。

宣言II第一次案(2010年4月16日)が以下の懸念をするように現在の日本では右傾化・排外主義の動きがある。

「人種主義・外国人排斥の現代的形態と現象が、ある種の政党や政治機関の綱領、人種的優越の観念に基づく見解の現代的コミュニケーション・テクノロジーによる散布によるなど、多くの方法で政治・道徳・法的認知を回復しようとしていることに懸念を表明する。」

そこでは日本の戦争犯罪や植民地支配、民族差別などを外国の行為を持ち出して相対化する主張もなされている。たとえば南京大虐殺に対して通州事件を持ち出す主張である。しかし、被侵略国に居留する侵略国民が被侵略国内で侵略に抵抗する被侵略国から攻撃された事件で、侵略国軍が侵略先で被侵略国民を大虐殺した事件を相対化することが筋違いである。

宣言案では東アジアを日本の侵略の歴史から定義することで、日本の侵略が問題意識の出発点であることを高らかに宣言する。これによって克服すべき人種主義や人種差別に外国政府が加害者になっているものも包含させながらも、それによって日本の加害を相対化する卑怯な主張を封じ込めることができる。

第2に行動計画で若者や女性への差別も対象としたことである。若者や女性は人数的には必ずしもマイノリティではない。その若者や女性への差別を含めることで日本人に囲まれて生活し、人種差別に関心の乏しい日本人にとっても身近な問題にすることができる。外国人に不寛容な社会は自国民にも不寛容である。民族的なマイノリティへの差別と若者や女性への差別は連続的な問題である。

現代日本では非正規雇用に代表される格差社会化が大きな問題になっている。その被害者の中心は女性や若者である。そして以下の宣言II第一次案にあるように経済格差の問題も、過去を清算しない日本の体制と決して無縁ではない。

「貧困、低開発、周縁化、社会からの排除、経済不均衡は、人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容と密接に結びついており、さらなる貧困を次々に生じさせる人種主義的態度と慣行の存続につながることを強調する。」

本来ならば経済的な不合理に苦しむ若者が体制批判に進んでも不思議ではない。記者(林田)自身、大手不動産業者から新築マンションをだまし売りされたことが社会性に目覚めるきっかけになった(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。しかし、現実は反対に格差社会化が若者の右傾化を進めている状況である。ここには左派の側にも者の課題に応えていなかったというという反省点はある。

行動計画の内容は多岐に亘っており、日本の戦争犯罪や在日外国人差別だけでも大変なボリュームであり、それを網羅するだけでも十分に意義のある作業になる。その上で若者や女性の現代的な課題に深く切り込むことを期待する。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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