[CML 004055] 二子玉川再開発公金支出差止訴訟判決言渡日決定(下)

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 5月 11日 (火) 20:06:31 JST


第1に高度利用などと公共の福祉をイコールに近づける考え方である。ここでは高度利用などが、そのまま公共の福祉につながる。高度利用などは再開発そのものの説明であるため、再開発をすることが公共の福祉に寄与することになる。

但し、「合理的かつ健全」という条件があるために無条件に高層ビルを是とすることにはならない。特に経済優先・開発優先の発想が見直されている現在では合理的・健全の基準も高度経済成長期からは変える必要がある。
http://news.livedoor.com/article/detail/4762161/
http://www.pjnews.net/news/794/20100508_4
第2に高度利用などと公共の福祉を別次元とする考え方である。ここでは公共の福祉に合致する再開発と公共の福祉に反する再開発計画が存在することになる。そこで個々の再開発計画について公共の福祉に寄与するか否かを具体的に検討し、公共の福祉に寄与する計画だけを認可することが求められる。

これまで日本では漠然と第1の考え方が採られることが多かった。実際、東京都による二子玉川再開発の意見書及び口頭意見陳述の審査でも「細分化した土地の共同化を図り、快適な市街地を形成する」から適切としており、二子玉川で土地を共同化することが公共の福祉に寄与するのかという検討はなされていない(林田力「二子玉川再開発への反対意見が情報公開で判明(下)」PJニュース2010年4月29日)。
http://news.livedoor.com/article/detail/4745569/

前述のとおり、二子玉川再開発では再開発地域の85%以上を東急グループが所有する。これで細分化と言えるのか疑問があるが、この状態で共同化したら圧倒的な割合を有する東急グループによって、小規模地権者が圧殺されるということは容易に予期できる。現実に意見書や意見陳述では以下の主張がなされた(東京都「意見書及び口頭陳述要旨整理表」)。それでも東京都は「細分化した土地の共同化」で済ませた。

「小さな庶民はお金さえもらって地区外に出て行けばいい、それでなければ開発の建物に入ればいい。そのようなことでしか見てもらえない。結局、東急が大きな土地をどうにかしたいという計画である。不安だけで何のメリットもない、明日も見えてこない」

「11haのうち多くは東急が更地で持っている。それを自力で開発することには何の問題もないはずである。なぜ、駅前の1haと合わせて再開発するのか」

第1の考え方の問題点は再開発の判断尺度に欠けることである。再開発が機械的に公共の福祉に寄与するならば、とにかく高くて大きいビルを建設しようということになってしまう。その結果、近隣住民からは反対され、経済的社会的ニーズからは乖離し、地権者には借金が残る再開発が全国各地で強行された。

裁判の場で特定の再開発事業が公共の福祉に反すると主張されても、細分化された土地を高度利用するのだから公共の福祉に合致するという類の再開発の一般論から演繹しただけの反論が返る不毛な応酬となりがちである。そのために再開発の公共性について踏み込んだ議論は難しかった。

これに対して、二子玉川再開発の住民訴訟では住民側が都市工学の専門家である岩見良太郎・埼玉大学教授の意見書や証人尋問によって、公共の福祉の「5つの公準」を明らかにした。その上で二子玉川再開発が「5つの公準」を満たさないと主張した。「5つの公準」は以下の通りである。

公準1:地域環境の優れた資質を引き継ぎ発展させるまちづくり
公準2:持続可能なまちづくり
公準3:法制度の適切な適用と運用
公準4:まちづくりにおける公平性
公準5:住民参加

住民訴訟は2009年11月20日に結審したが、その時点で判決言渡日は明らかにされなかった。それだけ裁判所で慎重に検討していたものと考えられる。再開発の公共性について踏み込んだ判断がなされるか、判決内容が注目される。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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