[CML 003999] 多摩川暫定堤防は連休中も工事強行=東京・世田谷(下)

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 5月 7日 (金) 07:39:34 JST


【PJニュース 2010年5月7日】(上)からのつづき。反対運動では暫定堤防を不要とするだけでなく、積極的に有害であると主張される。その理由として以下の4点がある。第1に鳥獣保護区・風致地区の貴重な自然環境の破壊である。暫定堤防建設のため伐採される樹木には映画に登場するなど、文化的にも由緒があるものも少なくない(林田力「多摩川暫定堤防の見直しを求めるお花見交流会開催=東京・世田谷」PJニュース2010年4月5日)。

第2に眺望の破壊である。家の前に高い堤防ができると、川べりの素晴らしい眺めが遮られる。その眺望をセールスポイントとする飲食店も立地しており、営業上の死活問題にもなる。もともと二子玉川南地区は景観を売り物にする料亭があり、堤防建設に反対したという歴史がある。

第3に治安の悪化である。高い堤防ができると、堤防の内側は人目がつきにくくなる。現に堤防建設済みの対岸の川崎市側では花火などで深夜まで騒々しい状態である。
これら3点の反対理由は直感的に理解しやすいが、マックス・ヴェーバー流に言うならば堤防推進派との間に異なる価値観による「神々の争い」を引き起こすことになる。自然環境も眺望・治安も価値があることは誰も否定できないものである。一方で堤防推進派は洪水被害から生命・財産を守るという大義名分がある。

こうなると堤防建設の賛否は自然や眺望・治安を優先するか、水害防止を優先するかという問題と位置付けられてしまう。実際、このような二派の対立という形で紹介したテレビ番組があった(TBS「噂の東京マガジン」2009年8月23日放送)。

もし平時の快適な生活と災害時の安全のどちらを優先するかという形で一面的な整理をされると、反対運動の分が悪くなる。それ故に反対運動では根本的な反対理由として、そもそも暫定堤防は不要と主張する。

第4に内水氾濫の危険である。二子玉川南地区は堤防(旧堤防)よりも川寄りの地域である。暫定堤防ができると、二つの堤防に挟まれる。まるでタライの底のような状態で、降雨が滞留し、内水氾濫となる懸念がある。

この点については国土交通省にも配慮が見られる(国土交通省・前掲資料)。二子玉川南地区では雨水は下水道に取り込まれて排水されるが、下水道は北側に延び、南地区の外に出る。これで排水されるというのが国土交通省の説明である。既に2009年10月に下水道工事が行われた。

これは土地の低い方から高い方へ排水するという不自然な処理であり、このような処理をしなければならない点で計画は無理筋である。しかも、下水道が延びる先の旧玉川高校近辺は集中豪雨時に雨水が逆流してマンホールが飛ぶような場所である(林田力「二子玉川再開発差し止め訴訟控訴審証人尋問(上)」PJニュース2010年4月14日)。

豪雨時は南地区からの雨水も逆流してしまい、解決策にならないと批判される。また、二子玉川南地区からの不自然な排水は旧玉川高校近辺の住民にとって納得できないものである。公共事業が地域コミュニティーを破壊する例が多いが、ここでも地区間対立を煽りかねない。

この内水氾濫の危険増大という反対理由は堤防が水害の原因になるとする点で、水害の防止という堤防推進派の大義名分を崩す論拠になる。堤防推進派は「100年に一度」または「200年に一度」というレベルの大洪水の備えとして、堤防の必要性を主張する。

これに対して、内水氾濫の原因となる局地的な集中豪雨(ゲリラ豪雨)はヒートアイランド現象などにより、近年になって頻発している。めったに起こらない大洪水に備えるために、頻発する集中豪雨時の危険を増大させるならば本末転倒になる。

住民らは科学的なデータに基づく堤防の必要性の説明を求め、話し合いを望んでいる。しかし、国土交通省京浜河川事務所側は連休中であることを理由に責任ある立場の人間は出てこなかった。末端の工事業者だけが現れて、樹木を伐採し、工事を進めた。これまでに松や竹が伐採された。それでも抗議活動によって連休終了までに松・桜・椿・銀杏・桑など多くの樹木を守ることができた。抗議活動は今後も続ける予定とする。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
http://hayariki.weebly.com/
http://www51.tok2.com/home/hayariki/
市民メディアHAYARIKI
http://hayariki-d2.r-cms.jp/



CML メーリングリストの案内