[CML 003942] 迷走する「普天間問題」における陰謀論の効用

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 5月 3日 (月) 10:06:11 JST


【PJニュース 2010年5月2日】米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)問題が迷走している。鳩山由紀夫首相は4月30日に普天間問題の迷走を否定したが、迷走は事実である。移設先の方針が二転三転し、その度に移設先候補として取り沙汰された地域では強烈な反対運動が起きている。大勢の人が二転三転する方針に振り回されている状態であり、文字通り迷走している。
http://news.livedoor.com/article/detail/4749767/
http://www.pjnews.net/news/794/20100501_8
陰謀論では、この「迷走」が鳩山政権の合理的な戦略であると説明される。そこでは鳩山政権の本音は移設ではなく、普天間閉鎖にあるとする。もともと鳩山首相は「常時駐留なき安保」を掲げていた。小沢一郎・民主党幹事長(当時:民主党党首)も2009年2月に「米国のプレゼンスは第7艦隊の存在で十分」と発言した。

しかし、陰謀論の立場では政治家は面と向かって米国にノーと言えない状況にあるとする。実際、小沢氏は「第7艦隊」発言の直後に、西松建設の献金問題で公設秘書が逮捕され、党首辞任を余儀なくされた。米国の支配勢力は、日本の政治家が米国の支配から脱する動きをすると、検察やマスメディアを使って潰しにかかる。陰謀論ではロッキード事件も対米従属から離れて独自の資源外交を模索した田中角栄潰しの謀略になる。

この状況を鳩山政権は十分に理解しているために慎重に行動している。正面から米国に普天間基地無条件閉鎖を突きつけることはしない。反対に岡田克也外相や北沢俊美防衛相が米国寄りの言動で、米国のために汗を流しているとのアリバイ作りに励んでいる。

本音の普天間閉鎖は、沖縄をはじめとする移設反対の住民運動の熱狂的な盛り上がりを口実にする。「政府としては移設を検討したのだが、反対運動が強くて断念した」という形である。このために普天間問題を意図的に迷走させ、反対運動を盛り上げる。

典型例は鹿児島県の徳之島である。徳之島は政府から正式説明がなされないまま、移設先候補とされてしまった。この経緯が島民の反対意思を強固にした。真剣に移設を考えているならば稚拙な手法であるが、島民を怒らせて移設反対で団結させることが目的ならば深謀遠慮となる。

この種の陰謀論は普天間基地無条件返還を訴える左派市民にも浸透している。左派市民は意外にも鳩山政権に好意的である(林田力「鳩山政権への姿勢に見る左派市民の成熟」PJニュース2010年5月1日)。そして陰謀論を持ち出して鳩山政権の立場を擁護することさえある。

左派の立場では「最低でも県外」の約束も果たさずに迷走する鳩山政権を激烈に批判しても良さそうである。また、陰謀論を鳩山政権の免罪符にする発想も問題がある。反対運動は文字通り命がけで基地建設を阻止している。身を切るような反対住民らの負担を軽減させ、楽にさせためにリーダーシップを発揮することが本来ならば政治家の役割である。反対運動の盛り上がりを密かに期待し、それを口実にすることは政治家として褒められた態度ではない。

このように陰謀論を無批判に受け入れることはできないが、それでも陰謀論には効用がある。鳩山政権と左派市民の本音が一致していることはあり得ない。それでも陰謀論を使うことで鳩山政権を左派の枠組みに引き寄せることができる。陰謀論を流布し、鳩山政権の選択肢を潰していき、陰謀論で説明することしかできないところまで追い込んでいく。それも左派の一つの戦略になる。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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