[CML 003546] 政党機関紙配布:旧社保庁職員に逆転無罪 東京高裁判決

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 3月 30日 (火) 18:46:17 JST


BCC送信。重複ご容赦ください。

標題の東京高裁判決についてはみなさんご存知のとおりだと思います。同高裁の堀越事件逆転
無罪判決について少しまとめてみました。

同高裁判決の要旨は下記で読むことができます。

■赤旗配布で逆転無罪判決要旨 東京高裁(共同通信 2010年3月29日)
http://www.47news.jp/CN/201003/CN2010032901000357.html

また、同判決についてはメディアはほぼ一斉に以下のような社説を発表しています。産経新聞の
主張を除いてほぼ肯定的な評価です。

■「赤旗」 配布無罪―時代に沿う当然の判断だ(朝日新聞 社説 2010年3月30日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20100330.html?ref=any#Edit1
■公務員ビラ無罪 注目すべき問題提起だ(毎日新聞 社説 2010年3月30日)
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100330k0000m070110000c.html
■[政党紙配布に無罪] 時代を踏まえた判決だ(沖縄タイムス 社説 2010年3月30日)
http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-03-30_5088/
■機関紙配布逆転無罪 異例の付言に耳を傾けよ(愛媛新聞 社説 2010年3月30日)
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201003305396.html
■公務員法違反/「逆転無罪」 の判断は重い(神戸新聞 社説 2010年3月30日)
http://www.kobe-np.co.jp/shasetsu/0002824398.shtml
■公務員と政治 むやみな規制許されぬ(北海道新聞 社説 2010年3月30日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/223434.html
■堀越事件逆転無罪 弾圧の意図挫(くじ)く意義ある判決(赤旗 主張 2010年3月30日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2010-03-30/2010033001_05_1.html
■公務員の赤旗配布 適正さ欠く逆転無罪判決(産経新聞 主張 2010年3月30日)
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100330/trl1003300335000-n1.htm

そのほかこれは社説ではありませんが、東京新聞のコラム『筆洗』が堀越事件の本質、すな
わちわが国の公安権力のあまりにも甚だしい違法捜査、その異様さ、問題点にふれたよい
記事を書いています。

「共産党を支持する社会保険庁(当時)の職員を、警視庁公安部などの捜査員は約四十日間、
徹底的に尾行した。自宅を出た後に、昼食に何を食べ、夕方にだれと会ったのか。夜はどん
な集会に参加したのか▼行動は分刻みに記録された。多い日には十人以上の警察官が出動
し、三、四台の車両、ビデオカメラ四〜六台がたった一人の尾行に使われた。私生活に踏み
込む執拗(しつよう)さは、戦時中に戻ったような錯覚さえ抱かせる▼一人のプライバシーをな
ぜ、ここまで監視しなければならなかったのか。それは国家公務員が休みの日に、政党機関
紙を配った行為を『犯罪』とするためだった▼東京高裁はきのう、堀越明男さんに逆転無罪の
判決を言い渡した。政治活動を禁じた国家公務員法の罰則規定を適用することは『国家公務
員の政治活動に限度を超えた制約を加えることになり、(表現の自由を定めた)憲法二一条
に違反する』という明快な判断だった」(東京新聞 筆洗 2010年3月30日)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2010033002000064.html

上記『筆洗』での筆者の指摘は、堀越事件の弁護団のおひとり泉澤章弁護士が下記のシン
ポジウムでの「警察の調書にはどこの飲み屋に行って、どこそこの女性と手をつないで歩い
ていた(あるいはどこそこでキスしていた?)、というところまで記録されていた」という証言とも
符合します。ほんとうにあまりにも異様な違法捜査といわなければなりません。

■[裁判員制度についての勉強会] 「前夜」 〜秘密の中の裁判員制度〜パート1 68'(1:10:
28秒頃)
http://www.videonews.com/asx/press/090520_saibanin-1_300.asx

この堀越事件2審無罪判決、あるいは国家公務員の政治活動の制限・禁止の問題性につい
て下記のブログのコメントがあります。ご参照ください。

■堀越事件2審無罪判決(中山研一の刑法学ブログ 2010年3月30日)
http://knakayam.exblog.jp/14057241/
■国家公務員の政治活動の制限・禁止について(ペガサス・ブログ版 2010年3月30日)
http://pegasus1.blog.so-net.ne.jp/2010-03-30

さて、冒頭に示した今回の東京高裁の判決要旨の最後には裁判官の下記のような「付言」
が付されています。 

「さまざまな分野でグローバル化が進む中で、世界標準という視点からもあらためてこの問
題は考えられるべきだろう。公務員制度の改革が論議され、他方、公務員に対する争議権
付与の問題についても政治上の課題とされている中、公務員の政治的行為も、さまざまな
視点から刑事罰の対象とすることの当否、範囲などを含め、再検討され、整理されるべき
時代が到来しているように思われる」

判決の付言はきわめてまっとうな裁判官の現代認識というべきであり、また、現代社会考
というべきであり、また、そういう意味で常識的な所感ともいうべきものだろうと私は思いま
す。が、最高裁はこの東京高裁の裁判官の「思われる」という言葉で結ぶ所感を「客観的」
なものととらえるか「主観的」なものにすぎないととらえるか。私は大変心もとないものを感
じます。神頼みではもちろんいけないわけですが、先の最高裁裁判官の国民審査で私たち
はその審査権を行使したばかりで(罷免率6〜7%台で全員が信任)、私としていま有効に
なにかを為す術を知りません。この東京高裁裁判官の現代認識が最高裁裁判官にもきっ
と及ぶことを私としては期待するばかりです。あと、できること。政治をもっとよりよい方向
に変革させることだろう、と。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp


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