[CML 004746] 目取真俊さんの「『佐藤優のウチナー評論』を読む」を読む

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 6月 29日 (火) 14:31:17 JST


沖縄在住の作家の目取真俊さんが沖縄在住者の視点から琉球新報に掲載されている「佐藤優のウチ
ナー評論」という連載評論を厳しく批判しています。

■「佐藤優のウチナー評論」を読む 1(目取真俊 海鳴りの島から 2010年6月27日)
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/6321dfbc75acdbb74156fe11cc7d6b3b
■「佐藤優のウチナー評論」を読む 2(目取真俊 海鳴りの島から 2010年6月27日)
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/fc65bc8e3bde4de7eadcc74ee74b3cf3

それにしても沖縄で生まれ育った沖縄人の矜持を著しく踏みにじっておいて(下記抜粋記事参照)、逆
に「本物の矜持を持とうではないか」などとご託宣する厚顔無恥の輩、夜郎自大にしてかつ「保守、国
家主義者である」と自ら言揚げして憚ることもない輩であるところの佐藤優なる人物を、これもまた「良
質な情報と深い学識に支えられた評論によって、戦後史を切り拓いてきた日本唯一のクオリティマガ
ジン」と自己規定してみせる雑誌『世界』や「日本で唯一の、タブーなき硬派な総合週刊誌」を標榜し、
かつ反ファシズムのフランス人民戦線が刊行した『Vendred(i 金曜日)』をその誌名の由来に持つ『週
刊金曜日』がなぜこれほどまでに(両雑誌のバックナンバーをご参照ください)重用し続けるのか? 
金光翔さんならずとも『世界』編集長の岡本厚氏、週刊金曜日の社長にして発行人・編集委員の佐高
信氏らの編集責任を厳しく追及したくもなります。もちろん、琉球新報という沖縄県で最も古い新聞社
であることを看板にする地元紙の編集者の面々の責任も、です。

                         * * * * *

以下、「『佐藤優のウチナー評論』を読む」から一部抜粋。

「琉球新報で毎週土曜日に連載されている〈佐藤優のウチナー評論〉で、佐藤氏が〈平成の琉球処分
その4〉(2009年6月19日付)、〈平成の琉球処分その5〉(同6月26日付)と題して、沖縄の〈革新〉と〈保
守〉への提言を行っている。一見、双方を対等に扱い中立の立場から提言しているかのように見せか
けているが、内容はといえば〈革新〉を批判する一方で〈保守〉を礼賛し、〈目に見えない沖縄党を強化
しよう〉という美名の下に、沖縄の総保守化を促しているにすぎない。自らは保守、国家主義者である
と公言していながら、〈保守、革新という冷戦時代の残滓を引きずり〉などと恥ずかしげもなくよく書ける
ものだ。」

「佐藤氏が提起しているのが、〈保守〉陣営を厳しく批判するなということであり、具体的には仲井真知
事への〈評価〉を厳しくせず、〈非難〉をするなと主張している。佐藤氏はこう書いている。/〈まず、革
新陣営に苦言を呈する。あなたたちは、頭がいい。しかし、過剰な美学がある。小さなプライドが強す
ぎる。他者に対して厳しすぎる。「正しいことをやっているからわれわれについて来るのが当たり前だ」
というおごりがある。結果としてそれが東京の政治エリートに事実上の白紙委任状を与え、「平成の
琉球処分」の環境整備をしてしまう〉/(略)〈あなたたちは、頭がいい〉といったん持ち上げたうえで
〈革新陣営〉をこき下ろすその内容の浅はかさ、傲慢さには辟易させられる。」

「〈革新〉から〈保守〉に向かって、あるいは〈保守〉から〈革新〉に向かって批判がなされるとき、沖縄で
はその批判は生活に密着した生々しい声として発せられる。東京の論壇で交わされている議論とは
次元が違う。基地問題は住民の生活に深く関わりつつ、政治、経済、文化、風俗など多様な影響を
沖縄社会に与えているのであり、それが多様な議論、批判を生み出すのは当たり前のことだ。それ
を〈革新陣営〉の〈過剰な美学〉や〈小さなプライド〉、自己絶対化から来る〈おごり〉からなされているか
のようにとらえるのは、基地問題をめぐる沖縄内のダイナミックな動きから浮いた寝言に等しく、佐藤
氏は自らが日々暮らしている東京の論壇の視点から沖縄を眺め回しているにすぎない。」

「もとより、沖縄の〈保守〉になんの問題もなければ、だれがわざわざ批判をするだろうか。それは沖
縄の〈革新〉に対してもそうだ。基地問題をめぐって相手の主張、政策に疑問を抱き、問題を感じるか
らこそ批判するのであり、沖縄の〈保守〉の具体的な問題は不問に付して、〈革新〉の批判の理由を
〈過剰な美学〉〈小さなプライド〉〈おごり〉という心理的問題へすり替えるのは欺瞞でしかない。」

「佐藤氏は〈沖縄人としての本物の矜持を持とうではないか〉だの、〈保守陣営も革新陣営も、もっと
深く沖縄を愛そうではないか〉などと書いているが、よくもこういう言葉を、沖縄で生まれ育ち、何十
年も沖縄で生きてきた琉球新報の大多数の読者に向かって書けるものだ。沖縄人としての矜持の
持ち方や沖縄の愛し方は、人それぞれ多様であっていい。佐藤氏が偉そうに沖縄に住む沖縄人に
教えさとす類の問題ではない。夜郎自大も大概にしてもらいたいものだ。」

参考:
■目取真俊さんの「『佐藤優のウチナー評論』を読む」を読む(「草の根通信」の志を継いで 2010年6月29日)
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/5337920.html



東本高志@大分
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http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi



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