[CML 004739] 林田力「二子玉川東第二地区再開発問題で住民集会」

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 6月 29日 (火) 07:53:24 JST


東京都世田谷区の二子玉川地域の住民団体が共同で2010年6月27日に玉川町会会館(二子玉川ライズ・バーズモール2階)で住民集会を開催した。二子玉川東地区住民まちづくり協議会、にこたまの環境を守る会、二子玉川の環境と安全を取り戻す会、二子玉川公園と道路を間う会など8団体の共催である。

二子玉川東第二地区第一種市街地再開発事業では多数の住民が反対の意見書を提出し、口頭意見陳述を行ったが、口頭意見陳述終了後僅か一ヶ月後に意見書不採択が通知された(林田力「二子玉川第二地区再開発への意見書採択結果通知」PJニュース2010年6月23日)。
http://news.livedoor.com/article/detail/4843071/

不採択通知内容を住民間で共有し、今後の行動につなげることが住民集会の目的である。最初に形式的な通知に対して憤りが表明された。東京都都市整備局市街地整備部の風間初美・民間開発課長は住民の口頭意見陳述に何度も頷いていた。あの頷きは何だったのか、と怒りの発言がなされた。

また、意見書提出者宛の通知文がほとんど同一であることも問題視された。そこでは都市計画決定など意見書や口頭意見陳述よりも前に行われた手続きを持ち出している。現段階で都知事が一人一人の意見に対し、どのように考え、どのように対処したのかという審査内容が示されていなかった。

意見書提出者の中には具体的な質問をした人もいた。それに対する都の回答も粗末であった。まず質問に対して回答していないものもある。回答があるものも、第二地区再開発準備組合や世田谷区などに「問い合わせ下さい」と、たらい回しにするものがほとんどであった。
http://www.janjanblog.com/archives/7460
以下、住民から意見書・陳述内容や東京都の対応その他の問題について説明された。

第一に意見書採択基準である。「どのような場合に意見書を採択するのか」との質問には都市再開発法第17条の「認可の基準」によるとの回答であった。しかし、第17条は抵触していたならば認可できない最低基準であって、より良い街づくりのために意見書を採択するかの基準とすることは、すり替えである。

第二に道路問題である。駒沢通りや多摩堤通りなど渋滞の緩和にはなっていない。再開発工事をやるための道路の整備にしか見えない。地域内の車両通行状況など様々な質問をしたが、返事は一括でなされ、「再開発準備組合に問い合わせよ」というものであった。

第三に二子玉川公園問題である。東急自動車学校解体工事の協定書締結協議は前進していない。事業主の学校法人五島育英会が捺印しようとしないためである。施工業者の東急建設も担当支店が二子開発建設事務所であることさえ住民には中々明らかにしようとはしなかった。東急側の頑迷さは仲介に入った世田谷区の担当者が呆れるくらいであった。

第四に再開発の事業遂行能力への疑問である。高層ビルを林立させる時代遅れの大規模再開発は失敗する。これは多くの住民が予想するところである。口頭意見陳述では再開発の失敗事例を持っていった住民がいる。

二子玉川東地区再開発が失敗したら、誰が責任をとるのかとの質問したが、再開発組合との回答であった。再開発組合は再開発が完了したら解散してしまう。後は野となれ山となれの無責任状態になる。また、「東急に再開発を成功させるだけの能力があるのか」と質問には、「心配しなくてもテナントは入る」との回答であった。何を根拠にしているのか、無責任ぶりに驚いた。

別の住民は「東急電鉄が責任をもって再開発を担うことができる会社か」と問題提起した。東急電鉄の財務基盤は脆弱である。東急電鉄の有利子負債は一兆円を超過する。普通の会社ならば、二子玉川再開発のような大規模開発はできない。文字通り補助金あっての再開発である。補助金を出す側の世田谷区も財政は厳しい。二子玉川ライズは展望なき計画である。税金の使い方を徹底的に勉強する。誰でも事実を知れば、このようなことに何故、税金を使うのかと思う筈である。

第五に二子玉川ライズの人工地盤である。人工地盤は周辺住民を拒絶し、圧迫する壁として批判されている。この人工地盤に登った住民がいる。人工地盤の上から眺めると、二子玉川の街が大変なことになっていると実感できたとする。

第六に多摩川暫定堤防問題である。現在は見苦しい土のうが積み上げられた状態である。住民は個別の開発問題で異なる事情を抱えている。そこを行政や東急グループに突かれて、いいようにやられている。

第七に外環道(東京外かく環状道路)との関係である。外環道と二子玉川ライズは不整合を起こしている。東名以南が延びるとすれば第一に想定される場所は二子玉川である。喜多見ジャンクションの本線設計は二子玉川を向いている。まっすぐ進めば二子玉川ライズになる。こうなったら最早街ではない。国は余計なことをすべきではない。郷土の自然や景色を残すことが大切である。

意見書採択結果に対しては行政のポーズ作りに利用されたとの不満が上がった。東京都は準備組合や世田谷区に回答をたらい回しにしており、当事者能力のなさをさらけ出した。それにも関わらず、許認可権限があるところが矛盾する。日本の政治は腐っている。

一方で住民運動の広がりには期待の声が出た。かつて住民団体は「二子玉川東地区再開発を考える会」一つだけであったが、今は運動が広がっている。多くの住民団体が結集し、多数の住民・専門家から意見が出された。このため、東京都はまともに立ち向かったら大変なことになると考え、形式的な回答で逃げたのではないか、との分析も提示された。

これからの住民運動についても様々な意見が出された。この先どうするかが一番大事である。知りたいことは沢山あるから、フランクに話をする場所を作る。シンパシーが重要である。些々たる法律論を語るつもりはない。最終的に力になるのは住民である。政党も住民運動を値踏みしている。住民運動が盛り上がれば、行政は引く。今は行動の時であり、外に向かって発信しなければならない。



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