[CML 004614] 参院選の争点として 安原和雄さん(ジャーナリスト)の「もうやめよう!日米安保」参加記

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 6月 20日 (日) 22:29:57 JST


元毎日新聞論説委員で現在はフリージャーナリストの安原和雄さんが6月19日にあった集会「もう
やめよう! 日米安保条約 ― 米国・日本・沖縄の新しい関係をめざして」(2010安保連絡会主催)
に参加された報告記をご自身のブログにアップされています。

■「もうやめよう!日米安保」に参加して 安保条約の自然成立から50年目の日(安原和雄の仏
教経済塾 2010年6月20日)
http://kyasuhara.blog14.fc2.com/blog-entry-289.html

以下、上記の安原さんのご報告の中から、浅井基文さん(広島平和研究所所長)の講演「日米安
保体制の問題点と目指すべき日米関係」のうち「民主党政権はなぜ沖縄の民意を無視するのか」
の講演部分を紹介されている部分と同講演を聞いた安原さんの感想を述べられている部分を抜
粋転載させていただこうと思います。

私は今度の参院選の最大の争点は「民主党政権はなんだったのか。あるいはなんなのか」という
ことだろうと思っています。下記はそのことを考える上での参考資料のつもりです。

………………………………………………………………………………
▽ 民主党政権はなぜ沖縄の民意を無視するのか

 民主党政権はなぜ「米軍基地反対」という沖縄の民意を無視するのか。その背景に日米軍事同
盟の変質強化が進んでいるという事実がある。

 まず武力攻撃事態対処法(2003年)など国内有事法制の整備がある。

 さらに「日米同盟:未来のための変革と再編」(2005年10月)は「世界をにらんだ日米軍事同盟」
として次のようにうたっている。「日米同盟は日本の安全とアジア太平洋地域の平和と安定のため
に不可欠な基礎」、「同盟に基づいた緊密かつ協力的な関係は世界における課題に効果的に対
処する上で重要な役割を果たしており、安全保障環境の変化に応じて発展しなければならない」
など。

 見逃せないのは、「未来のための変革と再編」に基づく日本全土の米軍への支援策で、「日本
は、日本の有事法制に基づく支援を含め、米軍の活動に対して、事態の進展に応じて切れ目の
ない支援を提供する」とわざわざ「切れ目のない支援」という文言を使っている。

 これを受ける形でつくられたロードマップ(2006年5月・具体的な実施日程を含む計画)に「兵力
削減とグアムへの移転」「ミサイル防衛」などと並んで、普天間代替施設について「普天間飛行場
代替施設を、辺野古岬とこれに隣接する大浦湾と辺野古湾の水域を結ぶ形で設置」と書き込ま
れている。

 このロードマップ合意の直後にまとめられたブッシュ・小泉共同声明「新世紀の日米同盟」(200
6年6月)は次の3点を強調した。

・「日米の安全保障協力は、弾道ミサイル防衛協力や日本における有事法制の整備によって深
化してきた」
・「両首脳は日米同盟を将来に向けて変革する画期的な諸合意が行われたことを歓迎した。米
軍及び自衛隊の過去数十年間で最も重要な再編であり、歴史的な前進である」
・「両首脳はこれらの合意の完全かつ迅速な実施が、日米両国にとってのみならず、アジア太平
洋地域の平和と安定にとって必要であることについて一致した」

 つまり「ロードマップ」の完全実施は米国の世界戦略上不可欠ということであり、これこそが民主
党政権が沖縄の民意を無視してまでも対米約束の履行にこだわる理由である。

<安原の感想> 対等な日米関係は「夢のまた夢」か

 「ロードマップ」の完全実施は、世界をにらむ覇権主義に執着する米国にとっては不可欠である
としても、歴史的に観て破綻状態に近い覇権主義は醜悪でさえある。問題はなぜ自民党政権に
代わって登場した民主党政権がその覇権主義に100%に近い形で同調し、支援を重ねなければ
ならないのかである。

 答えは単純である。それは民主党も日米同盟堅持が主流となっているからである。この点は自
民党と変わらない。

 菅政権に居残った岡田外相、北沢防衛相らは自民党顔負けのタカ派ぶりともいえる。誰よりも
菅首相自身が「日米同盟は国際的な共有財産」(所信表明演説)という日米同盟賛美観の持ち
主で、そこに安保批判の入る隙間はうかがえない。これでは「従属的な対米関係」を克服して、
新しい「対等な日米関係」の構築を民主党政権に期待することは「夢のまた夢」というほかない
だろう。

 「米軍駐留は不可欠」という大見出しの記事が毎日新聞(6月20日付)に掲載されている。クリ
ントン米政権の国防次官補などを努めたジョセフ・ナイ米ハーバード大教授との会見記事で、
気になるのは以下の発言である。

問い:米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり日米間がぎくしゃくしたことについて

答え:困難な時期だったが、学習の時期だった。両国が日米同盟の重要性について再認識し、
この時期を経て同盟関係は弱くなるどころか、強化されたと考えている。

 発言の中の「学習」とは日米双方にとっての学習、という意だろうが、日米政府ともに「沖縄の
民意」を学習したとはとても言えない。覇権主義はそもそも民意とは両立不可能であろう。しか
も「日米同盟は強化された」という認識だから、現実を願望と混同する超楽天主義とでもいえよ
うか。
………………………………………………………………………………


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi



CML メーリングリストの案内