[CML 004599] 林田力「米国の戦略ゲームから戦争観の相違を発見」

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 6月 19日 (土) 12:20:58 JST


【PJニュース 2010年6月18日】コンピューターゲームは日本が世界に誇るサブカルチャーであるが、たまには海外発のゲームで、外国文化を味わうことも良い。それによって日本社会で生活していれば気がつかない発想の違いを発見することもできる。米国Sandlot Games Corporationの戦略アクション・ゲーム「Monster Mash」から日本と外国の戦争観の違いを認識させられた。

「Monster Mash」は他の様々なゲームと共にインターネット上に無数にあるゲームのダウンロードサイトからダウンロードできる。私は知人から紹介されて本作品の存在を知った。海外のサイトからゲームをダウンロードして遊ぶことは英語の勉強にもなる。ゲームは有料のものが多いが、国際ブランドのあるクレジットカードがあれば決済も可能である。
http://news.livedoor.com/article/detail/4834134/
http://www.pjnews.net/news/794/20100617_7
「Monster Mash」は牧歌的な世界にあるCurly Valleyの村人をモンスターから守るゲームである。この説明だけでは日本でも似たようなアクション・ゲームがありそうに思える。しかし、このゲームは村に侵攻するモンスターをプレーヤーが守る点が特徴にある。

日本のアクション・ゲームのように敵を倒して進んでいくゲームではない。侵略するモンスターと戦うというゲームの性質に似つかわしくないメルヘンチックな画面やBGMも本作品が日本のゲームでないことを強く印象付ける。

プレーヤーは村までの道の各所に砲台を設置する。砲台は設置されると近付くモンスターを自動的に攻撃してくれる。この砲台が全てのモンスターを攻撃すればクリアである。反対にモンスターが攻撃をすり抜けて村まで到達すれば村人が食べられてしまう。

砲台を設置するには資金が必要であり、無制限に設置できない。資金はモンスターを倒すことで獲得できる。砲台の設置場所によってモンスターを効果的に攻撃できるかが変わり、いかに効果的な場所に設置するかが勝敗の分かれ目になる。このゲームのジャンルがSandlot社のWebサイトでStrategy(戦略)に分類される所以である。

本作品の外敵から村人を守るために砲台を設置するという仕組みは海外の作品らしい。悪を倒すために攻め込むゲームが多いという日本の傾向は、そのまま日本の戦争の歴史に重なる。日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・十五年戦争と近代日本の戦争は外に攻める歴史であった。
http://www.janjanblog.com/archives/6357
また、洋の東西を問わず、海外では城壁は市街地の外に作られ、城壁は都市の一般住民を守るためのものでもあった。これに対し、日本では後北条氏の小田原城総構などを除き、城壁は領主を守るためのものでしかなかった。日本の軍隊には人民を守るという意識が歴史的に希薄である。戦前の軍隊は天皇の軍隊でしかなく、国民に「一億総玉砕」を強いるものであった。彼我の社会的背景の相違を踏まえると、「Monster Mash」のようなゲームは日本では生み出されにくい作品であると痛感する。【了】



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