[CML 004525] J-Flash153:イランへの恐怖をいたずらにかきたてる国際戦略研究レポート

ピープルズ・プラン研究所 muto at jca.apc.org
2010年 6月 14日 (月) 16:39:20 JST


ーー【APA‐Jフラッシュ No.153】ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
それだけの能力のない相手からの攻撃に対し「抑止力」を言い軍備増強を図ろう
という動きがあるのは、いずこも同じ。単純で感情に訴えてくるウソ情報プロパ
ガンダに対抗するには、説得力ある反証をシンプルに! の好例。(M)
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イランへの恐怖をいたずらにかきたてる国際戦略研究レポート
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英国の国際戦略研究所(IISS)は、5月10日に発表したレポートで、イラ
ンはここ4年のうちにミサイルで「ロンドンを狙えるようになるおそれがある」
と警告した。イランが行ったファジル−5ミサイルの試射を受けてのことだ。

そこで、さっそく調べてみよう。

ファジル−5ミサイルの最長射程距離=75Km
イランが現有する最高性能ミサイルの射程距離=1600Km
イランが開発中の最高性能ミサイル、サジル−2の射程距離=2200Km
テヘランからロンドンまでの距離=4490Km

イランが現在保有する最高性能のミサイルは、イスラエルを攻撃することはでき
るが正確さに欠ける。そのため、イランの最長射程距離をもつミサイルの開発
は、射程を劇的に伸ばすことよりも、もっぱら正確さを向上することに焦点をお
いている。

しかも、イランが近年開発に力を注いでいるのは、ファジル−5や対空ミサイル
のようなミサイルであることから、直接の攻撃に対する防御を第一にしているこ
とがうかがえる。

政府当局者たちはこれまでずっと、イランがミサイルの長距離化に取り組んでい
ると主張してきたが、イラン側には、そのような取り組みを実際に行っていると
いう証拠はもちろん、合理的な理由もないように思われる。イランにとっての
「長距離」ミサイルとは、イスラエルによる最初の攻撃に対して効果的に応酬す
る能力を意味し、それ以上でも以下でもなさそうだ。

しかし、イランに対する「抑止力」として、核兵器備蓄の大幅な増強を図ろうと
いう英国に好意的な政治的議論の場では、このIISSレポートは受けがいい。
だが当のイランには、英国を攻撃することに特別な関心があるわけでもないし、
それだけの能力もないのである。
                      ジェイソン・ディッツ
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出典:Antiwar.com(2010年5月10日)
翻訳協力:四季(APA‐J翻訳チーム)
翻訳チェック:野口順子 監修:APA‐Jデスクチーム
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