[CML 004499] 多極化を先取りした鳩山友愛外交と東アジア共同体

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 6月 12日 (土) 09:56:57 JST


【PJニュース 2010年6月11日】管直人首相が誕生した。記者は学生時代にNPOの菅直人を応援する若手の会(CAN2)に参加しており、市民運動家出身の首相の誕生を心から歓迎する。

菅首相の誕生は鳩山由紀夫前首相が国民の支持を失った結果である。支持失墜は鳩山政権の方向性が間違っていたためではない。「最低でも県外」と主張していた米軍普天間飛行場の移設先を名護市辺野古にするなど、自ら提示した方向性と逆行したためである。それ故に鳩山政権の打ち出した方向性については、その実績とは区別して評価する必要がある。

外交面での鳩山政権の特徴として、友愛外交と東アジア共同体がある。これも具体的な成果をもたらすには至らなかったが、ビジョンだけでも戦後日本の対米従属を脱却する画期的な内容であった。現実に賛否両論が噴出し、激しく議論されたことが裏付けている。

対米従属からの脱却を志向する鳩山外交は世界の多極化を先取りしたものである。鳩山外交の批判者は、鳩山外交を理想主義的・非現実的と批判するが、むしろ現実主義(リアリズム)に立脚している。

批判者は鳩山外交が日米関係の軽視しているのではないかと主張する。確かに現代日本にとって米国は重要な国であり、米国の意向が日本を左右するという面は否定できない。しかし、問題は米国自身の方向性が揺れていることである。

これまで米国政府内でネオコンと呼ばれる勢力が強かった。彼らは英米中心の単独覇権主義を維持・拡大しようとする勢力である。一方で米国にはモンロー主義的な勢力が歴史的に根強い。また、連邦政府の権限縮小を主張する州権主義も単独覇権主義への否定に働く。この単独覇権主義の是非という路線対立はブッシュ政権の時から内包していた。実際、対北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)政策では中国主導の多国間協議に委ねる傾向があった。

戦後の日本外交は対米従属路線を採り続けていた。これは米国の覇権主義にとって好都合であった。しかし、米国自身が単独覇権主義を望まなくなるとしたら、日本の対米従属は米国にとって負担になる。特に北朝鮮の拉致問題解決のために米国の強硬姿勢を求めるような日本外交は、米国を北朝鮮や中国との不要な対立に巻き込む危険因子となる。もはや対米従属路線を採り続けていれば日本は安泰という単純な事態ではなくなっている。この点を踏まえるならば鳩山外交は米国の現実を見据えたもので、その意義は高く評価されるべきである。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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