[CML 004490] Re: Fw: 中国の人権と東洋の知恵

hagitani ryo liangroo at yahoo.co.jp
2010年 6月 11日 (金) 21:25:30 JST


東本さん、早速のレス、どうもすみません。
もちろん、東本さんや川西さんを非難する気はないのですが、コメントします。
あらかじめお断りすると、東本さんや川西さんと考えが異なるとは思いません
が、表現に疑問をもったということです。

(2010/06/11 19:06), higashimoto takashi wrote:
>
> 萩谷さんが問われている問題は重要かつ難しい問題ですが、川西さんが言われ
> る「東洋の知恵、日
> 本の知恵」の中には、「日本人が(略)明治以来のアジア人に対する傲慢さを
> あいかわらず引きずっ
> ている」「日本は、先の大戦で中国人の人権を最大限に蹂躙した当の国」とい
> う認識と自覚も含まれ
> ているように思います。

 まったくそうだろうと思います。
 わたしは、そういう自覚はべつに東洋的でも日本的でもないと思うのです。

>
> だから川西さんは、中国の人権状況について、「国際人権規約に反する」とか
> 「『弁護士の役割に関
> する国連の基本原則』に反する」とかいう国際法の「人権」規定を盾に取った
> 「主体と客体とを厳密
> に分ける、欧米的なシンプルでストレートな批判」、ものごとを「正」と
> 「邪」などと二項対立的に区分し
> て「明解」に批判する「(「西欧の知」流の)正義」の姿勢では問題は一向に
> 解決しないだろう、と指摘
> されておられるのだろう、と思います。その川西さんのご認識は、萩谷さんの
> ご認識ともそう遠くない
> ところにある、というのが私の理解です。

 欧米の対中批判もまた、自分が何をしてきたかを忘れた批判であったり、いわ
れなく相手をアプリオリに見下した批判であってはならない、ということです。
 
 自分のしてきたことを忘れるな、とか、よその国をアプリオリに見下すなとい
うのは、「主体と客体を厳密に分ける」かどうかというのとは、次元が別ではな
いでしょうか?

 「ものごとを『正』と『邪』などに二項対立的に区分して、『明快』に批判す
る」ことは「人と人、あるいは国と国や異なる文化圏などを『優』と『劣』に二
項対立的に区分して『明快』に差別すること」とは違うはずです。

 後者のような二項対立の誤りや危険性を自覚することも「正と邪の対立を明確
にしようと」する営みのひとつではないでしょうか。

 西欧が中国の人権状況を批判する態度において問題なのは、思考法だとか論理
だとかいうよりも、傾向、習性と呼ばれるほうがふさわしいようなものなのだろ
うと思います。

 きょうも、オランダでイスラム圏からの移民の排斥を唱える極右が選挙で24%
の議席を獲得したという忌まわしいニュースがありました。中国を批判するばか
りで、実のある話し合いにつなげていけない人たちは、こんな極右とどこかで通
じていないでしょうか。フランスでは先ごろ、極右でもないのに、チャドル(ブ
ルカ、ヒジャブ)の着用の禁止が法制化されてしまいました。宗教の支配を退け
る世俗主義の立場からは当然だ、などと言うのにはあきれます。西洋人の世俗主
義はカトリックなどキリスト教の支配と戦うためのもので、少数者であるイスラ
ム教徒が自分たちの文化を大事にしていることは、同列ではないはずですから
ね。彼らが、チャドルは女性差別の象徴と言うとき、私はそれに賛成なのです
が、イスラム教徒に性差別性を自覚させるためにも、彼らの文化を排斥するよう
な法律を作るべきではないと思います。だって、それはあくまで象徴でしかなく
て、差別そのものではないのですからね。
 こういう西洋人の頭の硬さは、彼らの思考法や論理の問題ではなくて、歴史か
ら形成された傲慢さの問題だと思いますよ。その思考法を東洋哲学に置き換えれ
ば、たぶんもっと過酷なことも平気でやるようになるでしょう。
 また、国連その他の国際機関も自分たちが作ったという意識があるから、そこ
では自分たちは自分たちの原則を一貫させる義務があるんだくらいに思ってるの
ではないでしょうか。組織のイニシアティヴをもった人間が陥りがちなことで、
これまた洋の東西を問わぬことだと思います。

 チャドル禁止の法律が話題になっていたとき、フランスに詳しい友人とその話
をしていたら、あの法律は世俗主義だから当たり前だというので、呆れました。
日本人ってのはしょうがないねえ、と、言いたくなります(もちろん、こんなこ
と、心あるまっとうな日本人には失礼ですけど、私は、こういうフランスかぶれ
を、西欧化しすぎた人というふうには思わないのです。西欧化が足りないんじゃ
ないかと思います)。

>
>>  私がこのようなことを言うのは、小泉改革の旗振りから批判派に転じた中
>> 谷巌のような、一辺倒
>> の日本の伝統礼賛、悪いことはみな西洋という、にわか攘夷派に、つねづね
>> 嫌悪を覚えるからで
>> す。
>
> 上記の萩谷さんの「嫌悪」感は私も共有します。
>
 
 はい、これも、私の思ったとおりです。

 日本が西洋のやっている中国批判に同調したら、ほんとにこっけいで、非生産
的ですね。前回の発言のうち、「相手のふところに入ろうとする」ことが無駄だ
というような言い方になったのは、この際訂正します。日本的なのか東洋的なの
かというようなことはともかく、相手の懐に入るのは大事です。

 繰り返し、ご返事にお礼を申し上げます。

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