[CML 004476] 民主党への逆風を活かせない谷垣自民党
Hayariki
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2010年 6月 10日 (木) 21:06:57 JST
【PJニュース 2010年6月9日】横浜市議泉区補欠選挙が2010年6月6日に投開票され、民主党公認の新人で元小学校教諭の麓理恵氏が初当選した。この補選は菅直人新首相選出後に行われた初の地方選挙で、夏の参院選の前哨戦と位置付けられる。自由民主党公認の萩原雅彦氏、みんなの党公認の横山勇太朗氏の三つ巴の争いになった。自民党公認候補の得票は、みんなの党公認候補にも劣り、自民党が民主党への逆風を活かせていないことを改めて印象付けた。
これは谷垣禎一元財務相が麻生太郎前首相の後継として自民党総裁に選出された時点で予想できたことである。谷垣氏は2009年9月28日に投開票された自民党総裁選で第24代総裁に選出された。総裁選は谷垣氏、河野太郎元副法相、西村康稔元外務政務官の三つ巴の争いであったが、谷垣氏が国会議員票でも地方票でも過半数を占めて順当勝ちした。
http://news.livedoor.com/article/detail/4816017/
http://www.pjnews.net/news/794/20100608_5
谷垣氏の選出により、自民党総裁選におけるリピーターの強さが改めて裏付けられた。谷垣氏は小泉純一郎元首相や麻生氏と同じく、過去に総裁選に出馬し、惨敗した経験もある。今回の総裁選候補者の中では最も馴染みのある古株である。この谷垣氏を選出した点で、自民党はオバマを大統領に押し上げた米国のダイナミズムとは対照的であった。
一方で自民党では安易に総裁になると、安易に政権を放り出す傾向がある。安倍普三元首相や福田康夫元首相が好例である。このため、粘り強く再挑戦する人物が選ばれることは必ずしも悪いことではない。
谷垣氏の課題は衆院選で惨敗した自民党の立て直しであるが、茨の道である。谷垣氏の特徴は保守本流に位置することにある。この点で小泉純一郎元首相や安倍普三元首相らタカ派・新自由主義の色彩が強まった従前の自民党からの揺り戻しになる。しかし、それが過激なタカ派・新自由主義を嫌悪した層を取り戻すことには直結しない。本記事では2点指摘する。
第1に保守本流の発想は格差社会化した現代日本では賞味期限切れになっている。保守は本質的には民衆よりも権力や大企業寄りの立場に立つ。それにもかかわらず、日本で保守本流が広範な国民的支持を得られたのは産業優先の政策で企業の業績が向上すれば、国民の所得も拡大するという期待があったためである。池田勇人元首相の所得倍増計画が典型である。ところが、格差社会では社会全体が豊かになるという発想は幻想である。非正規労働者が象徴するように企業が好業績になっても、労働者の給与は増えない。「皆で豊かになろう」という保守本流の思想は白々しい絵空事になってしまった。
第2に保守本流は政治的な対立軸にならなくなった。衆院選で圧勝した民主党は、かつての自民党タカ派から社会党までを含む寄り合い所帯である。リベラル対新保守のような対立軸では民主党は成り立たない。この寄り合い所帯を一つの党として結びつけた思想が官僚政治の打破であった。政治主導対官僚主導という対立軸を国民に浸透させたことが民主党の勝因である。この状況で消費税増税を持論とする谷垣氏は官僚の論理に立つ政治家というマイナスイメージが強くなる。
自民党を立て直すためには単なる揺り戻しではなく、問題点を直視し、真摯な反省による変化が必要である。【了】
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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