[CML 004471] 新刊 笹本潤『世界の平和憲法 新たな挑戦』
maeda akira
maeda at zokei.ac.jp
2010年 6月 10日 (木) 12:42:57 JST
前田 朗です。
6月9日
転送歓迎
弁護士で、2008年5月の9条世界会議の発起人の一人であった笹本潤さんがステキな本を出しました。
笹本潤『世界の「平和憲法」 新たな挑戦』(大月書店)
1,600円+税
「世界の平和憲法」というタイトルにご注目ください。「平和憲法という言葉は珍しくない」と思うでしょうか。違いますね。「世界の」なのです。
従来、「9条は世界で唯一の平和憲法」といったスローガンを使ってきました。間違いなのですが、目くじら立てて間違いを指摘するほどのことでもありません。
しかし、コスタリカ憲法の例が知られるように、平和憲法は日本だけではありません。さまざまな平和憲法があります。ちなみに、コスタリカ憲法については、昨年、足立力也さんが『丸腰国家』(扶桑社新書)を出しています。こちらも重要。
笹本さんは、9条世界会議の後、コスタリカに留学して、中南米の憲法について調べてきました。
本書では、コスタリカ、パナマ、エクアドル、フィリピン、ベネズエラ、ボリビアの憲法が取り上げられています。それぞれの平和憲法ための闘いが取り上げられています。平和憲法の条文がそれ自体として重要なのではありません。平和憲法を作り、支える人々の闘いが重要なのです。
笹本さんは、基地問題、「核なき世界」にも提言を試みています。
世界の平和憲法に学びながら、日本国憲法9条の理念を活かし、そして9条を世界に広げる運動の新しい武器が笹本さんの本書です。
みなさん、ようこそ、平和憲法への旅へ。
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本の内容は、大月書店サイトが詳しいです。「9条世界会議の記録」と同じ出版社です。
http://www.otsukishoten.co.jp/book/b61800.html
アマゾンのサイトです。
http://www.amazon.co.jp/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%92%8C%E6%86%B2%E6%B3%95%E6%96%B0%E3%81%9F%E3%81%AA%E6%8C%91%E6%88%A6-%E7%AC%B9%E6%9C%AC-%E6%BD%A4/dp/4272211021/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1274322295&sr=1-1
(以下目次)
世界の「平和憲法」 新たな挑戦
「外国軍事基地禁止」や「軍隊廃止」などをおりこんだ世界の新しい平和憲法
を紹介しながら、平和構築を考える新たな視点を提示。
著者 笹本 潤 著
1 世界に広がる9条と国際連帯
■パトカーに先導されて会場へ――ベトナム「ハノイ大会」
■世界の9条認知度に驚く日本の法律家
■北朝鮮ウォッチャーの収穫
■国連憲章よりも貴重な「国際的な法」
■世界各国の憲法に平和条項を
■「9条世界会議」で得たもの
■朝鮮半島統一のときにこそ9条をもちたい
■軍事的緊張関係があるなかで軍隊をなくすのはむずかしいが……
■フランスで9条署名を集める老弁護士
■言葉の障害を乗り越えて
2 外国軍事基地も軍隊もなくした新たな憲法
■日本国憲法9条とコスタリカ憲法12条
■軍事の予算を教育の予算に
■コスタリカの隣国・パナマも軍隊を廃止
■中米でくり返される軍事独裁とクーデター
■外国軍の軍地基地禁止を勝ち取った「エクアドル新憲法」
■軍事基地を追い出したフィリピン市民
■外国の軍事基地を認めない憲法の制定――ベネズエラとボリビア
■ネパールで制定されようとしている平和憲法
3 法と市民の力で実現する「武器・核なき世界」
■戦後60年間戦争をしないで過ごすことができた
■自衛のための必要最小限度の実力
■韓国憲法と日本憲法のちがい
■「武力によらない平和」型憲法の効果
■9条から生まれた「非核3原則」「武器輸出3原則」
■防衛費のGDP1%枠はいつから?
■欧米から来る武器で殺し合うアフリカの青年が願うこと
■国連でも議論されている武器の取り引き禁止・核兵器の廃絶
■「軍隊をなくそう」と「軍事費を最小限にしよう」の関係
■軍拡競争をなくすための方法
4 アジアからみた日米安保
■日本の報道と異なる「北朝鮮ロケット発射」
■海外からみた日米安保条約
■冷戦構造のなかにいる日本・韓国
■そろそろ次の時代へ 二つの軍事同盟
■慣れてしまっていた自分
5 みえてきた、「武力によらない平和」のつくり方
■その1 市民パワーで米軍基地撤去
■その2 「9条+安保・自衛隊」からの脱却
■その3 「アジア人権裁判所」の設立
■その4 武力によらない平和外交
■その5 平和的生存権からのアプローチ
■その6 憲法違反に敏感に反応する
おわりに 弁護士の仕事と平和活動の接点
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