[CML 004439] Fw: 中国の人権と東洋の知恵
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 6月 8日 (火) 09:01:38 JST
中国の人権と東洋の知恵に関しての弁護士の河内謙策さんと映画評論家の川西玲子さんのおふたり
の会話(応答)を転載させていただこうと思います。
川西さんのご論には特に共感しました。
私の近しい知り合いの娘さんは今年大学院を卒業して某新聞社に就職したのですが、大学院では中国
語を専攻していました。彼女が大学院に進学する際の志望動機を見せてもらったことがあるのですが、
大学生時代に中国に短期留学したときの経験が書かれていて中国と日本の現況というか、いまの両国
の関係性を非常に憂えている様子が伝わってきました。またそれとは別の話ですが、彼女には韓国の
友人がいて、その友人と一緒に買い物をした際のいわれなき朝鮮人差別に激しく憤ったことがあるけれ
ども、なにも言うこともできずにすごすごと帰ってしまったという挫折のエピソードも記されていました。
こうしたまっとうな感性を持つ若い人たちに川西さんのおっしゃる中国人との「揺るぎない信頼関係」を
築くことのできる「本物の中国通」に育ってもらいたいものです。できうればすくすく、と。「木は規に依っ
て直く人は人に依って賢し」ということわざを思い出しました。
以下、おふたりの会話(応答)
河内謙策さん:
………………………………………………………………………………
(前略)
中国の人権状況について私が入手した情報を、シリーズの形で発信させていただきたいと思います。
ただ私の能力等の問題もあるため、不定期で、気ままな発信になります。お許し下さい。
さて、私が、先日、6月18日と25日に行われる[中国人権派弁護士にたいする支援と連帯を考える
集い]の案内を差し上げたところ、私の友人から、アムネスティの声明があったら教えてほしい、とい
うお尋ねがありました。アムネスティの声明は以下にアクセスしてください。
http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=790
アムネスティの声明は、立派なものです。私には、声明の中で、中国政府に対して、「弁護士の役割
に関する国連の基本原則」の遵守を求めていることが目に入りました。私は不勉強で上記の基本原
則の認識がなかったので、早速手に入れて翻訳してみました。その16項、20項に以下の文章があり
ました。
16 政府は、弁護士が、(a)脅迫、妨害、嫌がらせ、不当な干渉を受けることなしに 職務が遂行でき
るように、(b)その国の中においても、外においても、自由に旅行 し、彼らの依頼者と自由に相談が
できるように、(c)弁護士の職業的義務、スタンダード、倫理に一致しているすべての活動が、刑事的
訴追、行政的処分、経済的 あるいは他の形での制裁によって脅かされることのないようにしなけれ
ばならない。
20 弁護士は、裁判所において、あるいは裁判官や他の法的機関や行政当局に対して、彼らの職
務の遂行の形で、口頭または文書で述べられた誠実な発言に関し、民事的あるいは刑事的に責任
を問われることはない。
以上によれば、中国政府の人権派弁護士に対する迫害・抑圧が国連の定めた基本原則にも反す
ることが明白です。
したがって、中国政府の人権派弁護士に対する迫害・抑圧は必ずやめさせなければならないし、
人権派弁護士に対する迫害・抑圧を続ける中国と日本の真の友好はありえない、自由で民主的な
中国こそが私たちの隣国でなければならないと思うのです。
(後略)
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川西玲子さん:
………………………………………………………………………………
川西玲子です。
(前略)
全く同感です。
問題は、どうすれば中国がそうなるのかということですね。
イスラエルを国際社会は60年批判してきましたが、事態は改善させるどころか、ひどいことになって
います。あの独特の精神構造は、外側からの批判で崩せるものなのでしょうか。
中国の場合、長い圧政の歴史があり、近代化も民主化もないままに、また新しい専制が始まった
わけです。そして経済成長が軌道に乗って、やっと中間層が形成されたところです。以前と比べる
と、驚くほど自由に意見が言えるようになりました。
先日は歴史の人気教師が毛沢東を、ヒットラーやスターリンと並ぶ専制者だとTVで発言。降板に
なりましたが、ネットでは言論の自由を守れという声もあります。一方で、試験的に始めている村
レベルの選挙では、しばしば乱闘が起き、武装警察が出動してやっと収まったこともあります。政
府だけではなく国民も荒っぽいわけです。
広い国土と他のどの国とも違う特殊な事情を抱えつつ、長期的には民主化に向かっていて、でも
まだ圧倒的な時間差がある中国と、どう付き合うか。主体と客体とを厳密に分ける、欧米的なシン
プルでストレートな批判だけで、この時間差を埋めることができるでしょうか。
ここは東洋の知恵、日本の知恵が試されているのではないかと思います。日本人はあまりにも、
欧米的な発想や方法論しか持てなくなりました。もう一度、欧米化する前に日本人が持っていた
知恵と方法論を、思い出す必要があるでしょう。
一つは、相手の懐に飛び込むということです。こういうことができる日本人がいなくなったというこ
とを、私は残念に思っています。私なりに努力はしていますが、あまりにも非力で。
日本には今、本当の中国通がいません。いるのはチャイナウッチャーだけ。何なんですかね、今
あちこちにいるチャイナウォチャーって。知ったかぶりの浅薄な情報を流しているだけです。
中国と胸襟を開いた対話をするには、本物の中国通が必要です。そして揺るぎない信頼関係が
必要なのだと思います。これなくして中国に何を言っても、あまり効果がないように思えます。
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東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi
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