[CML 004436] 「はり半」跡地の渓流改築許可無効を求めて提訴

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 6月 7日 (月) 23:02:45 JST


【PJニュース 2010年6月7日】兵庫県西宮市甲陽園の老舗料亭「はり半」跡地ではマンション建設に伴い、敷地内を流れる渓流が埋め立てられ、西側の市道沿いに人工水路として付け替えられる。これに対し、近隣住民らが2010年5月30日に西宮市長による水路(渓流)改築許可の無効確認を求めて神戸地方裁判所に提訴した。

「はり半」は山荘形式の風雅な料理旅館であった。敷地内には自然渓流が流れ、沢蟹、ヤゴ、カワニナなどが生息する。水上勉や小林秀雄ら多くの著名人に愛されたが、2005年に廃業した。跡地では日本エスリードが232戸のマンションを建設する計画を進めている。この計画では敷地の90%余りの樹木が伐採される。渓流も埋め立てられ、3面コンクリート張りの水路に付け替えられる。

これに対し、近隣住民らは「はり半跡地開発問題対策委員会」を結成し、跡地の素晴らしい自然、住環境を次の世代に引き継ぐことを求めて活動している。住民らは「甲陽園の良さを保つには自然を壊さないことです」と主張する。跡地では2009年2月から工事がストップし、静かな日々が続いていたが、2010年4月19日から工事が再開し、近隣住民は騒音や埃で窓も開けられない生活を強いられている。
http://news.livedoor.com/article/detail/4812135/
http://www.pjnews.net/news/794/20100606_6
既に西宮市を被告とした開発許可の取り消しを求める訴訟が神戸地裁に係属中である。今回、新たに水路改築許可を争点とした訴訟を提起した。住民側の主張は以下の通りである。

西宮市は渓流の埋め立て及び人工水路の付け替えを西宮市は地方自治法の特例として、開発許可の手続きの中で許可した。しかし、これは地方自治法の特例としての「付け替え」事件には当たらず、行政処分の市長裁量権を濫用し、法律違反である。付け替えの重大性に考慮を払うことなく、安易に開発行為許可処分を行ったもので、市民に対する行政の背信行為である。

渓流は市民の大切な財産(行政財産)である。水路の付け替えは行政財産の処分に該当する。地方自治法第238条の4は「行政財産は、次項から第四項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない」と定める。

西宮市の許可処分は、あくまでも都市計画法上の一排水施設としての機能にしか着目していない。渓流が有してきた貴重な歴史的・文化的価値への考慮を欠いている。景観利益や持続可能な自然生態系保護に対する検討・評価もなされていない。自然の渓流と人工水路は全く価値の異なる異質のものであり、これは地方自治法の特例として扱うべき「当然交換される」事案に該当せず、違法であり、その瑕疵は重大である。
結論として行政財産の処分違反(地方自治法238条4項)であり、裁量権の逸脱・濫用(行政事件訴訟法30条)に該当するとする。【了】

林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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