[CML 004426] だまし売り被害者にも宗教勧誘(折伏)
Hayariki
hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 6月 6日 (日) 11:15:34 JST
中学時代の同級生から創価学会への勧誘を受けた。記者は東急不動産株式会社と新築マンション購入で裁判トラブルとなった。東急不動産(販売代理:東急リバブル)から購入した新築マンションを購入したが、引渡し後に隣地建て替えなどの不利益事実を隠していたことが判明した。そのために消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した。しかし、東急不動産は売買代金の返還に応じなかったため、裁判を起こし、東京高裁において訴訟上の和解が成立した後も、和解条項の履行を巡り、トラブルが続いた(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。
裁判も裁判後のトラブルも記者にとっては初めてな経験であり、多くの人に相談した。冒頭の同級生も、その一人であったが、彼の場合は結局のところ、創価学会への勧誘が目的ではないかと思わせるものであった。
http://www.janjanblog.com/archives/4811
彼が親身になって記者の話しを聞いてくれたことは事実である。彼は埼玉県民であったが、時には東京都江東区の東急不動産マンションにまで来て、裁判で争われている日照・眺望が皆無になった状況を確認した。それまで彼とは中学校卒業後は会ったことはなく、選挙の度に公明党への投票依頼が電話でなされる程度の関係であった。投票の依頼も単に電話をかけて終わりという程度で、政策や候補者の話はせず、挨拶程度のものに過ぎなかった。しかし、東急不動産とのトラブルの相談後は、メールや電話で頻繁に連絡を取り、たまに会う関係になった。
旧交を温める中で、彼からは創価学会の話を聞かされることが多くなった。彼は両親が創価学会員で、子どもの頃は家の宗教という感覚でしかなかった。しかし家庭の経済的な事情で大学院への進学は難しいと言われていたが、必死に題目を挙げて祈ったところ、奨学金を勝ち取り、信仰に目覚めたという。それから創価学会の活動家になり、地域の学生部長などの役職にも就き、学会会館の自主警備を担当する学会内部の人材グループ「牙城会」にも所属したという。
彼による宗教勧誘の内容は以下の通りである。
第1に入信そのものの勧誘である。これに対しては早い段階で「東急不動産と裁判している状況では他のことを検討する余裕はない」と断った。
第2に創価学会の会館で開催される本部幹部会の同時中継への出席の勧誘である。当時居住していた東急不動産マンションから歩いて行ける距離に創価学会・江東文化会館があり、そこに誘われた。同時中継というのは本部幹部会の映像を流すものである。中継とはいうものの、リアルタイムではなく、録画したビデオを流すものである。池田大作・名誉会長の講演で大半の時間が占められていた。
第3に題目(南無妙法蓮華経)を唱えることを勧めた。題目で東急不動産への勝訴祈願をするとよいという。彼自身は毎日、題目をあげているそうだが、題目をあげる直前に「今日も祈ります」という内容のメールを送信してくるようになった。毎日来るので、「毎日同じメールを送ってくるね」と返したところ、送信してこなくなった。
第4に聖教新聞の購読依頼である。記者が断ると、彼が費用負担すると主張し、贈呈という形で、しばらく購読することになった。聖教新聞では前月20日頃に翌月の配達を申し込む仕組みになっており、連絡を取っていない時期でも、大体、20日前には彼から「来月も新聞を配達していいか」という確認の連絡だけは来た。
こちらの状況を考えずに新聞購読の確認だけはしてくることもあったため、最後には購読を断った。東急不動産との裁判は多くの人々や団体の助けを借りて進めてきたが、その中には創価学会と対立する組織もあった。むしろ対立する団体から有益な支援を受けたことも事実である。購読拒否には、その辺りのバランス感覚が働いた面もある。
購読を断って以来、勧誘はなくなった。それどころから彼からの連絡自体が来なくなった。これが彼の目的が勧誘にあったと判断する理由である。創価学会については執拗な勧誘や拒否した場合が問題視されることが多いが、記者については問題ない。記者の経験から執拗な勧誘で困っている人に対して助言することがあるとすれば、断る時はキッパリと断ることとなる。但し、それくらいは恐らく既に行われていると思うので、役に立てそうにない。
記者が聖教新聞購読など一部でも彼の依頼に応じたのは、東急不動産との裁判の中で創価学会に関心を持つべき事情があったためである。東急不動産が問題のマンション建設時に近隣対策をさせていたブローカーが、少なくとも表向きは東急不動産とは別の立場で、記者の訴訟代理人弁護士に接触してきた。ブローカー側も弁護士を連れてきたのだが、その弁護士が創価学会の元信者が損害賠償を求めて池田名誉会長を訴えた事件の原告(元信者)側の訴訟代理人の一人であった。
この裁判は判決の認定するところによると、損害賠償の根拠となる事実が存在しないとして池田名誉会長が勝訴した。判決に従えば、元信者は池田名誉会長を陥れる目的で存在しない事件をでっち上げて訴えたことになる。裁判では原告側が提出した証拠が捏造であると被告側によって反論された。事実ならば訴えを起こした元信者も、その訴訟代理人も、とんでもない人間となる。
元信者の方は創価学会に対する恨みが動機になっていると説明できる。しかし、それに弁護士も加担するというのは、社会正義を追求する弁護士に対する信頼を失墜させるものに感じられた。その弁護士がブローカー側の弁護士として接触してきたため、記者は緊張した。虚偽の証拠を捏造するような弁護士と対決する可能性が浮上したためである。
そこで池田会長が訴えられた裁判を通して、その弁護士について詳しく知るために彼から話を聞いた。しかし彼との話は実のあるものではなかった。裁判について尋ねれば打てば響くように「火のないところに煙を立てた狂言裁判」と創価学会の出版物に書かれているようなキャッチフレーズを返してくる。その実、裁判の内容はあまり知らない。調べた記者の方が詳しいほどであった。学会に対してマインドコントロールや洗脳と非難する立場がある。その当否をここで論じるつもりはないが、そのような非難を打ち消すような、自分で考えて判断する人の態度とは乖離していた。
最後に記者の経験をまとめたい。学会員にも色々な人がおり、一般化するつもりはない。しかし、彼は人材グループの牙城会員であり、地区の役職にも就いている活動家である。特殊な一学会員の事例という以上の価値はあると考える。
第1に創価学会員が悩んでいる人、困っている人に親身に相談に乗る姿勢を持っていることは評価する。実際、記者のように不動産という一生に一度あるかないかの買い物で問題物件をだまし売りされ、権利回復のために大企業と戦っていく身には彼のように話を聞いてくれる存在はありがたかった。
たとえ布教が目的であっても、行動自体は褒められるべきものである。それで問題が解決するならば素晴らしいことであり、まさに信仰の力となる。宗教上の聖人とされる人々も、創価学会における功徳経験のようなものが信仰のきっかけとなった例は少なくない。
吟味すべきは創価学会員のアプローチで悩みや困ったことが解決するのか、という点である。彼は何かあるとすぐに「祈る」と言うが、祈りでは解決できない問題も多い。現実逃避にしかならないこともある。その結果、元々の問題は解決せず、変わったことは創価学会に入信しただけということになりかねない。信仰という別のことに熱中することで嫌なことを一時的に忘れられるかもしれないが、それで心が救われることはない。悩みの原因を脇に置いて信仰にのめりこんでしまうならば、原因を作り出した悪徳不動産業者のような存在を喜ばせるだけであり、最大の不幸である。
そもそも相談に乗るのは勧誘のきっかけのためだけあり、相談そのものには関心がないのではないかという疑いさえある。記者の場合、東急不動産との裁判がうまく進んでいる時は、彼は頻繁に連絡してきた。しかし、そうでない時は話が続かなくなり、連絡も途絶えがちになった(それでも聖教新聞の更新の連絡だけはきた)。うまくいっている人は激励するが、本当に困っている人には冷たいのではないか、という印象がした。「人助けをしている自分」という自己満足のための活動ならば相手を不幸にするだけであり、善行にもならない。
第2に布教すること自体は宗教団体として当然の活動と考える。積極的に布教をしなければ組織を維持できない点をカルトのメルクマールとする見解もあるが、布教をしなくても組織を維持できる伝統宗教の方が既得権に乗っかっており、本来の宗教のあり方と離れているとの考えも成り立つ。
一方で創価学会員になること、即ち宗教を変えることを簡単なことのように説明する態度は問題である。宗教は無宗教であることも含め、人の価値観の大きな部分を占める大事なものである。その宗教を変えるのだから、熟慮を重ねなければできないことである。これは自分自身に置き換えて見れば分かる筈である。自分が別の宗教の人から勧誘された場合のことを考えればいい。軽々しく宗旨替えすることはないだろう。この点についての認識がなければ、対応がソフトになったとしても折伏=迷惑行為と受け止める声は消えないだろう。
林田力(『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』著者)
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