[CML 004417] 命を救うために尽力する勇気のない欧米のリーダーたち(転送)
Yasuaki Matsumoto
y_matsu29 at ybb.ne.jp
2010年 6月 5日 (土) 18:26:06 JST
////////////////以下、転送・引用可///////////////////
命を救うために尽力する勇気のない欧米のリーダーたち
ロバート・フィスク
インディペンデント、2010年6月1日
今度こそイスラエルは敗北したのではないか? 死者1400名を出し
た2008-2009年のガザ攻撃、死者1006名を出した2006年のレバノン
戦争、これまでイスラエルがやってきたすべての戦争の上に、昨日
の公海上の殺戮が積み上げられて、世界はついに、もはや二度とイ
スラエルのルールを受け入れることはないと断言できるところに到
達したのではないか?
早まってはいけない。
ホワイトハウスが出した腑抜けの声明を読めば一目瞭然、オバマ政
権は「この悲劇をめぐる状況の解明に努めているところ」で、イス
ラエルを非難する言葉はひとこともない。死者9名。中東での膨大
な死者数に新たに9という数字が加わっただけのこと──要するにそ
ういうことだ。
しかし、事実は違う。
1948年、我々の政治家──アメリカとイギリスのリーダーたち──はベ
ルリンへの空輸作戦を敢行し、ロシアの非情な軍隊とフェンスに包
囲されて飢餓状態に追い込まれていたベルリン市民(つい3年前ま
で我々の敵だった人々)に食料を送り届けた。冷戦下の偉大な行動
のひとつに数えられるベルリン空輸作戦──我らが兵士、我らが空軍
部隊は危険を顧みず、飢えたドイツの人々のためにみずからの命を
かけたのだ。
信じられないことではないか。あの時代、我々の政治家たちは決断
した。我々のリーダーは命を救うという決断を下した。ミスター・
アトリー(当時のイギリス首相)やミスター・トルーマン(当時の
アメリカ大統領)は、ベルリンが、政治的な観点からだけではな
く、モラルと人間の観点からも重要だということを認識していた。
ひるがえって、今日はどうか。ガザに行くという決断を下したのは
普通の人々だった。ヨーロッパの人々、アメリカの人々、そしてホ
ロコーストの生存者──そう、まぎれもないナチの暴虐を生き延びた
人たち──だった。これはただひたすら、もう長いあいだ、自分たち
の代表であるはずの政治家たちがガザの人々を救う決断を下せない
ままに来たからだ。
昨日、我々の政治家たちはどこにいたのか? 国連事務総長パン・
ギムンのあまりに馬鹿ばかしい言葉、ホワイトハウスのあまりに情
けない声明、そして我らが親愛なるトニー・ブレア氏の「多くの命
が失われた悲劇的な事態に深い衝撃と遺憾の念を覚えている」とい
う発言は耳にした。ミスター・キャメロン(現イギリス首相)はど
こにいた? ミスター・クレッグ(現副首相)は?
1948年に立ち返って、もちろん、当時、彼らがパレスチナと同様
に、ベルリン市民を完全に無視することもありえたはずだ。結局の
ところ、イギリスがベルリン空輸作戦を敢行したこととアラブ・パ
レスチナが破壊されたこととがまったく同時期に起こったというの
は、恐るべきアイロニーだと言わざるをえない。
今回、ごく普通の人たちが、平和活動家たちが身をもって、政治家
に向けて、今こそあなたがたも事態を変える決断を下す時だと呼び
かけたことは、まぎれもない事実だ。だが、我々のリーダーたちは
あまりに意気地なく、あまりに臆病で、命を救う決断を下すことが
できない。これはどういうことなのか? どうして昨日、私たちは
ミスター・キャメロンやミスター・クレッグから勇気づけられる言
葉が聞けなかったのか?
過去には、ヨーロッパ人が(もちろんトルコ人もヨーロッパ人だ。
そうではないとでも言うのか?)中東の異国の軍隊(イスラエル軍
もそのひとつだ。そうではないと言うのか?)の銃弾に撃ち倒され
たら、間違いなく激しい怒りの波が沸き起こっていたはずだ。それ
とも、そうではなかったとでも言うのだろうか。
一方のイスラエルにとって、この事態は何を意味しているのだろ
う? トルコはイスラエルと近しい関係にあったのではなかったの
か? これがトルコの望んでいることだとでも考えているのか?
今やイスラーム世界唯一のイスラエルの同盟国だったトルコが、こ
れは虐殺だと言っている。そして──イスラエルは気にかけている様
子もない。
このイスラエルの態度はこれまでとまったく変わっていない。偽造
されたイギリスとオーストラリアのパスポートがハマースの幹部マ
フムード・アル=マブフーフの暗殺に使われ、ロンドンとキャンベ
ラのイスラエルの外交官が国外退去させられた時も、イスラエルは
一向に気にしなかった。同盟国アメリカ合衆国の副大統領ジョー・
バイデンが東エルサレムに滞在していたその時に、イスラエルは何
ら気にすることもなく、東エルサレムの被占領地に新しい入植地を
建設すると発表してはばからなかった。今さら、イスラエルが何を
気にするというのか。
こんな状態に至ってしまったのは、いったいどうしてなのか。それ
はたぶん、私たちみんなが、イスラエルがアラブ人を殺すのを見る
のに慣れてしまったからだ。たぶん、イスラエル人がアラブ人を殺
すのに慣れてしまったからだ。そして今、イスラエル人はトルコ人
を殺している。ヨーロッパ人を殺している。この24時間で、中東で
何かが変わった。そして、イスラエル人は(自分たちが行なったこ
の殺戮に対する超常的に愚かしい政治的対応を見る限り)何が起
こったのかをまったく把握していないように思える。世界の人々は
心の底から、こうした非道な行為はもうたくさんだと考えている。
沈黙しているのは政治家たちだけなのだ。
【イスラエルの外交騒動】
●ゴールドストーン報告書:2009年11月
2008年12月、イスラエルはガザからイスラエルへのロケット砲撃を
やめさせると宣言して、キャストレッド作戦を開始した。3週間で
1400人を超えるパレスチナ人が殺戮され、13人のイスラエル人が死
んだ。南アフリカのリチャード・ゴールドストーン判事をリーダー
とする国連調査委員会の報告書は、イスラエルおよび、ガザ地区を
統括しているハマースの双方に戦争犯罪行為が認められるとした
が、より大きな責があるのはイスラエルだと言明した。イスラエル
はゴールドストーンの調査に協力するのを拒否したばかりか、報告
書は先入観に基づいており、事実を歪曲していると言い張った。
●ハマース幹部の暗殺:2010年1月〜5月
1月、ドゥバイのホテルでハマースの幹部マフムード・アル=マブ
フーフを殺害した実行犯たちがイギリスとオーストラリアの偽造パ
スポートを使っていたことが判明したのち、両国政府はイスラエル
の外交官を国外退去させた。アル=マブフーフ殺害への関与につい
て、イスラエルは否定も肯定もしていない。イギリスは、このよう
な形でイギリスのパスポートが使われたのは「絶対に認容できな
い」と述べ、オーストラリアは、これは断じて「これほど親密で友
好的な支援関係を続けてきた国」のふるまいではないと述べた。
●入植地建設宣言:2010年3月
イスラエルは、アメリカのジョー・バイデン副大統領が訪問してい
るさなか、イスラエルに併合されている西岸地区にユダヤ人のため
の家を新たに1600戸建てるという計画を発表した。これは合衆国か
らいつにない激しい反発を招き、ワシントンは、中東和平プロセス
の再開の努力を台無しにするものだと述べ、国務長官ヒラリー・ク
リントンは、これはアメリカに対する侮辱だとまで言った。ネタニ
ヤフ首相は、自分の知らないうちに官僚たちが計画を作ってしまっ
たのだと言って、バイデンに謝罪した。今日(6月1日)予定されて
いたホワイトハウスでのバラク・オバマとの会談はネタニヤフ側か
らキャンセルの申し入れがあり、ネタニヤフは急遽イスラエルに
戻って自由船団事件に対処することになったが、この会談そのもの
は、イスラエルとアメリカの同盟関係に入りかけたひびを修復する
のが目的のひとつだったと考えられている。
●核の秘匿:2010年5月
イスラエルが中東唯一の核保有国であることは公然の秘密だが、イ
スラエルは核兵器の拡散を防止する世界条約への加盟を改めて求め
られることになった。先週、核拡散防止条約(NPT)加盟国は、中
東全域における大量破壊兵器の保有・開発禁止について討議する会
議を2012年に開くことを決定──これは、アメリカ合衆国を含む189
のNTP締約国の全会一致で採択された。これによって、イスラエル
は、NTPに加盟し、国連の査察団に核施設を公開しなければならな
い局面に追い込まれたことになる。
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Western leaders are too cowardly to help save lives
Robert Fisk
The Independent
Tuesday, 1 June 2010
原文:
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-western-leaders-are-too-cowardly--to-help-save-lives-1987989.html
翻訳:山田和子
※この翻訳は以下に掲載されています。
http://palestine-heiwa.org/news/201006050236.htm
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パレスチナ連帯・札幌 代表 松元保昭
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