[CML 004801] Re: 消費税のカラクリ

Hideo Iwasa iwasa at minami-lo.jp
2010年 7月 2日 (金) 16:41:00 JST


東本 様
わざわざ御返事いただきありがとう御座いました。改めて、コピペして送信させてい
ただきます。 京都 岩佐英夫

CML会員の皆さん、消費税問題の論点を私なりに整理した論稿を以下に貼り付けさ
せていただきます。長くて恐縮ですが、御批判・御意見をいただければ幸いです。


                                   記


消費税増税論の「まやかし」を広く市民に知らせよう!!

      2010年7月2日 京都 岩佐英夫



一、はじめに:消費税大増税「大連立」への危険な動きと私たちの課題



1、財界の意を受けて急浮上した消費税率アップ・法人税減税問題

菅首相は6月17日、民主党参院選公約発表の記者会見で、消費税増税の方針を述べ
て「超党派の協議」を求め、当面の税率として「自民党のかかげた10%を参考にす
る」と明言し、6月22日の日本記者クラブの「9党党首に聞く」でも同様の立場を
表明した(但し、マニフェストに税率は明示していない)。こうして消費税増税問題
が普天間基地問題と並んで、参院選挙の一大争点に急浮上した。

これは、党首・首相の差し替えだけで一時的にマスコミ宣伝により作られた内閣支持
率アップを絶好の機会として、消費税率アップ・法人税減税という財界要求を実現す
る「税制改革」を一気に強行しようとするものである。



2、各党派の状況

|q、自民党は勿論消費税10%を明言しており、公明党も「社会保障のため」の増税
を否定していない。「みんなの党」は、参院選挙公約(6月17日)で「将来的な増
税を一切認めないという立場は我々もとらない。」「社会保障の財源のありかたを、
所得税、消費税、相続税などを含め検討」と明記し、6月20日NHK日曜討論でも
「将来的な増税は不可避だ」と述べていながら、「みんなの党だけです。消費税増税
に反対しているのは」(6月21日 江田憲司幹事長、福岡市内での演説)などと演
説したり、マスコミのアンケートに対して全員「消費税増税反対」との回答をする
(6月26日「毎日」)等、欺瞞的な態度をとっている。

まさに消費税増税の「大合唱」「大連立」が形成されており、「超党派の協議」とい
う形で密室協議を行い、国会では審議を殆どしないまま早期成立をはかるという危険
性がある。民主党・玄葉政調会長は「最速なら2012年秋にも増税を実施」として
いる。民主党「参院選マニフェストQ&A」では、消費税増税法案を「2010年度
内にまとめる」とし、消費税増税実施時期は「2、3年後」としている。

  「超党派の協議」は、後述(3、|t)する1986年の「密室協議」を想起せざ
るを得ない。



|r、消費税増税反対の党派

消費税の増税反対・廃止を明確に掲げているのは日本共産党だけである。社民党は
「マニフェスト2010」で消費税増税に反対しているが、廃止には触れていない。
また、同党は飲食料品について「消費税額控除・還付制度」の導入や「輸出免税等の
見直し」を主張し、インボイス方式導入も主張している。さらに、地方消費税の税率
拡大を主張しているが、これは地方自治体の消費税依存体質を強め、消費税率引下げ
・廃止をますます困難にする問題点がある。なお、社民党の前身である社会党は、1
994年の村山内閣(「自社さ」政権)が消費税率を3%から5%に増税する法案を
強行可決した前歴がある。



3、私たちの課題

|q、先ず、消費税が憲法13条(生命権・幸福追求権)、同25条(生存権の保障・
税制面では応能負担の原則)の精神に反しており、消費税問題は憲法問題であるとい
う認識を持つことが重要である。

|r、消費税増税の口実にあげられている、「社会保障のため」「財政再建のため」
が、これまでも・現在も・これからも、まやかしであること、真の目的は大企業減税
の財源確保のためであることを、徹底的に事実に基づいて明らかにし、消費税増税反
対の世論を広める。とりわけ、上述した「みんなの党」の欺瞞性を暴くことは、共同
通信の選挙情勢報道では、同党は現在の0から7議席に迫る勢いとなっており、社民
党や日本共産党は「低迷」とされているだけに、極めて重要である。

|s、消費税増税10%に賛成か反対かだけに争点を限定するのではなく、格差・貧
困、非正規雇用、後期高齢者医療制度、中小零細企業の支援、農林漁業の再建等々、
暮らしの問題全体の中に消費税問題を位置付けることが重要である。

|t、1986年の売上税反対運動の教訓に学び、大きな運動をつくること。

自民党中曽根内閣の時代、1986年夏の衆参同時選挙では自民党が大勝し、次ぎの
通常国会に「売上税法案」(大型間接税)を提出した。しかしながら、全商連を中心
とする大きな反対運動が法案提出前から起こり、遂には、自民党の支持団体であった
業界団体にまで反対運動が広がり、1986年12月2日「朝日」に掲載された意見
広告は日本小売業協会、日本百貨店協会、日本商店連盟、全国中小企業団体総連合等
が加わった。売上税反対の地方議会決議は1487の自治体(人口で9900万人を
カバー)に及んだ。こうして、ついに「売上税法案」を廃案に追い込んだ。

 しかし、その後、自社公民が「税制協議会」で密室協議を行い、「直間比率の見直
し」が合意され、消費税導入につながっていってしまった。



二、民主党の公約違反

民主党は2009年総選挙マニフェストでは「衆議院の任期中の4年間は消費税を増
税しない」とし、三党連立合意でも「今回の選挙において負託された政権担当期間に
おいて、税率引き上げは行わない」としており、明らかな公約違反である。



三、民主党の「税制改革」の根本思想の危険性



1、民主党のマニフェストを評価する視点として重要なことは、単に消費税増税問題
だけに目を奪われるのは視野が狭すぎるという点である。民主党の「税制改革」の根
底にある思想は、ある意味で自民党以上に新自由主義的でドラスティックな改革思想
であることを直視しなければならない。同党の税制改革は、社会保障改革と一体であ
り、基本的に現在のさまざまな「人的控除」を全廃し、「控除から手当へ」という思
想がある。これを更に徹底させたのが、社会保障を基本的に全廃し「ベーシック・イ
ンカム」(BI)を社会の構成員全員に保障するという思想である。民主党の提言す
る「給付付き税額控除」は、この思想に通ずるものがある。



2、このBIについては一見「基礎年金」の考え方に通ずる面もあり、積極的に評価す
る意見もある。しかしながら、全ての国民に一定の安定収入という点では魅力的では
あるが、実は財界はこれを歓迎していると言われている。なぜなら、BIは全て税金
で賄うものであり、企業は社会保険料の企業負担分から解放されるからである。結
局、その財源は消費税大増税等により賄われることになる。



四、天下の悪税・消費税の四大罪悪



消費税は、ゝ嫂弊の問題、大企業は完全に転嫁できるが、零細企業は転嫁できず
事実上自己負担になるという問題、M⊇仟膣覿箸砲狼佞望暖饑任還付される輸出戻
し税の問題、と鸚亀雇用促進の隠れた誘因となってきたという問題点、をかかえ憲
法13条、同25条の精神に反する「天下の悪税」である。以下、具体的に敷衍す
る。



|q、「逆進性」

ー知のとおり消費税は所得税と異なり、収入がゼロでも赤字でも、赤ん坊でもお年
寄りでも、全ての人に対して、消費行為があれば容赦なく課税される最悪の弱い者い
じめの税である。消費税が10%になると(5%の増税)、4人世帯で年間16万円
の負担増となる。

¬閏臈泙蓮峙嫂弊対策」として、「給付付き消費税額控除」を提唱している(20
08年12月24日「民主党 税制アクションプログラム」)。これは家計調査など
の客観的な統計に基づいて年間の基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税
額控除し、控除しきれない部分については「給付」するという制度である。民主党は
日用品の低減ないしゼロ税率による「複数税率」導入は「消費税の物品税化につなが
り、消費税の特性である「水平的公平性を大きく損なう」として、むしろ「給付付き
消費税額控除」の導入が適当としている。

また生活保護などの社会保障制度の見直しと併せて、基礎控除に代わって「低所得
者に対する生活支援を行う給付付き税額控除」、就労への動機付けのため、就労時間
の伸びに合わせて「給付付き税額控除」の額を増額させ、就労による収入以上に実収
入が大きく伸びる形で「就労を促進する給付付き税額控除」等の制度も提案してい
る。

これは現在の生活保護制度が受給者が就労して収入を得ると、その分給付がカットさ
れ自立を妨げているという批判を意識しているものと思われる。

なお、「給付」を受けることになる場合は、その給付額はまずは年金や医療等の社会
保険料負担分と相殺としている。

ぜ匆駟歉磴範動することにより、「不正還付・不正受給を防ぐためにも所得の正確
な把握が必要」として、「納税・社会保障給付に共通の番号制度」の導入を提案して
いる(民主党政策集INDEX2009)。「国民総背番号制度」への重要な一里塚
である。

イ泙拭峙嫂弊対策」の一環として、もし日常品等の低減税率を導入した場合は複数
税率になり、インボイス制度(仕入税額控除の際に税額を明示した請求書等の保存を
求める制度)を早急に導入するとしている(同INDEX2009)。この制度が導
入されると零細業者には、大きな事務負担となるばかりか、インボイス発行の専門的
事務処理負担に耐えられない零細企業は、大企業の下請から排除される危険もある。

δ∧軆駑爐良堡や税務調査過程での「立会い」問題を口実に「仕入れ税額控除」を
否認されると、数千万円の更正処分がなされることも珍しくない。消費税仕入れ税額
控除否認による更正処分は、所得税についての更正処分より、はるかに恐ろしいので
ある。



|r、「転嫁」の問題

‘本の消費税は、付加価値税型とされ、基本的建前として「転嫁」が根本的に重要
としている(1988年・税制改革法)。

¬叛播整焚爾了業者について「益税」を云々されたことがあったが、現実には零細
事業者は「転嫁」が極めて困難なのが実態である。現在の5%でも「転嫁」が困難な
のに、もし10%になったら「上乗せ」が大変困難であることは、容易に理解できる
であろう。

また、零細業者は、自分の売上に転嫁することが困難であるのみならず、仮に免税事
業者の場合でも仕入れについては消費税を負担しているのである。

「益税」攻撃は実態を無視した議論

大企業は消費税を売上に完全に転嫁しているので、実際は消費税を負担しない(負担
者は消費者)。のみならず、大企業は仕入れについても、実際は下請け企業に単価切
り下げをおしつけ、仕入れについての消費税も負担してないのと同様である。しかる
に仕入れ税額控除の実益は得ることになる。

い海里茲Δ防娉嘆礎誉之疹暖饑任隆靄榲建前である「転嫁」についても、大企業に
は有利で、零細企業には不利なのが実態である。



|s、輸出戻し税の驚くべきからくり

消費税は日本国内での取引にのみ課税され、国外との取引には課税されず、しかも国
内での仕入れに関する税額控除は認められる。この仕組みの結果、輸出額の多い大企
業には「輸出戻税」の「還付」という信じ難い事態が発生する。

2005年度の実績でみると、消費税収入13兆円のうち3兆円(23%)が大企業
への純還付税額であり、輸出上位10社で合計8727億円もの純還付となってい
る。この10社を個別にみると、純還付金額は、トヨタ2291億円、日産自動車11
98億円、ホンダ964億円、ソニー1126億円、松下616億円、キャノン77
3億円、東芝526億円、マツダ621億円、日立307億円、三菱重工業305億
円である(関東学院大学・湖東京至教授 試算)。

輸出大企業は輸出が増えれば増えるほど、毎年、消費税を1円も払わないどころか、
逆に巨額の「輸出戻税」の還付を受けることになる。消費税のこうした構造が、大企
業が内需を軽視し、輸出に過度に依存する日本型経済構造を推進する役割を果たして
きたのである。



|t、非正規雇用を促進する誘因

非正規雇用促進の隠れた誘因となってきたことも消費税の重要な罪悪である。即ち、
正規雇用労働者の賃金は「消費税仕入税額控除」の対象とならないが、非正規雇用に
置き換えた場合には、人件費自体を切り下げるメリットと同時に、派遣会社や下請、
外注先への支払いは「消費税仕入税額控除」の対象となり、この点でも企業にとって
大きな実益がある。これが、実は非正規雇用促進の隠れた誘因のひとつとなってきた
のである。こうして日本の非正規労働者は37.8%にも達している(厚生労働省
「就業形態の多様性に関する実態調査」2008年)。しかし同様の付加価値税制度
を導入しているEU諸国では労働者の闘いにより、非正規雇用は「臨時的・一時的業
務」に限定され、10%前後に抑えられている。



五、消費税増税の口実の欺瞞性



1、「社会保障のため」という嘘



|q、消費税は導入当初から「福祉のため」と宣伝されてきたが、実際には消費税導入
(1989年4月)以降の22年間で、福祉・社会保障は改悪につぐ改悪がなされて
きた。他方では法人税の減税や所得税最高税率の引き下げが繰り返されてきた。



・法人税関係

1986年まで 基本税率43.3%

1987年   基本税率42%に

1989年   基本税率40%に

1990年   基本税率37.5%に

1998年   基本税率34.5%に

1999年   基本税率30%に、 有価証券取引税廃止

2002年   連結納税制度導入

2003年   研究開発・IT減税

2007年   減価償却制度見直し



こうした法人税率引下の結果、消費税導入以降22年間の消費税収入224兆円に対
して、この間の法人3税の減収の総額は208兆円である。結局、消費税収入の大部
分は法人税減収の穴埋めに消えてしまったのであり、「福祉のため」というのは、明
白なウソである。



・所得税の最高税率引き下げの経過

 〜1986年70% → 1987年60% → 1989年50% → 199
9年37% 

  このように、大金持ちに対しては、消費税導入の2年まえから所得税率の大幅引
下げを実施し、消費税導入の1989年には1986年に比べて20%も引き下げて
おり、1999年には37%にまで引下げ、大資産家への優遇税制が実施されたので
ある。



・消費税導入後の社会保障改悪の歴史

 1994年 村山内閣:厚生年金1階部分の支払い年齢繰延べ法案成立強行(20
01年から段階的施行) 、 入院給食の有料化

 1997年 橋本内閣;健康保険・本人負担1割 → 2割へ

 2000年 小渕内閣:厚生年金2階部分の支給年齢繰延べ法案成立強行(201
3年から段階的実施)

       介護保険制度導入、老人医療に定率負担制度導入

 2002年 老人医療を完全定率負担に

 2003年 健康保険・本人負担2割 → 3割負担へ

 2004年 生活保護の老齢加算廃止

       厚生年金などの保険料引き上げ(→ 以後、毎年実施)

 2005年 生活保護の母子加算廃止(05〜09年度で段階実施)

       介護保険のホテルコスト導入

 2006年 障害者自立支援法実施による福祉・医療の負担増

       「骨太の方針2006」で2011年度まで、社会保障毎年2200
億円削減方針を決定。老人医療「現役なみ所得者」を3割負担に

 2008年 後期高齢者医療制度を導入。

 2009年 9月 民主党連立政権 

       ・実現したのは、母子加算の復活、父子家庭にも児童手当支給、子供
手当の支給 等

       ・後期高齢者医療制度廃止は先送り



|r、民主党マニフェストは「社会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確
に」とし、自民党も「社会保障のため消費税増税」を強調する。しかしながら、「社
会保障以外に充てないことを法律上も会計上も明確に」することは、裏返せば「消費
税以外は社会保障の財源に充当しない。福祉・社会保障を改善してほしければ消費税
率アップに応じよ」という脅迫に過ぎない。



2、「財政再建のため」という嘘

|q、消費税導入後、とりわけ1997年の5%への増税以降、中小零細企業・庶民に
とってはずっと不況の状態が続き、この10年間で労働者の賃金は1割も低下した。
これに対して、大企業はリストラ・非正規雇用への転換、上記のような法人税減税、
消費税のしくみをも巧みに利用もしながら、もうけを2倍にふやし、内部留保を14
2兆円から229兆円にふやした。法人税の減収に加えて、こうした歪んだ構造のも
とでGDPは停滞し、税収も減少し続けた。

 |r、また財政悪化の大きな原因は日米安保条約第2条に基づく「日米構造協議」に
よるムダな大型公共事業が大きな原因である。1990年(消費税発足の翌年)「日
米構造協議」に基づき海部内閣は10年間で430兆円の公共事業投資を対米公約し
た(当時の自民党幹事長は小澤一郎氏である)。1994年には村山内閣が630兆
円にまで膨張させた。

 |s、このように「財政赤字」は、大企業のための減税、無駄な大型公共事業、消費
税導入、リストラ、格差・貧困等の政策により引き起こされたものである。しかる
に、こうしてできた「赤字」の責任を何ら反省せず、「財政再建のため」と称して消
費税増税というのは「居直り強盗」の論理というほかない。

   現在の5%でさえ大変なのに、さらに10%に増税したら、3%から5%に上
げたとき以上に景気悪化を促進することは明白である。



3、法人税率引下げ要求の大合唱

こうして発生した「税収不足」の「財政再建」と称して増税勢力は、いずれも「日本
の法人実効税率が欧米やアジアに比べて高すぎる」からとして、法人税率の引き下げ
を明言している。2010年5月18日、経済産業省は「産業構造ビジョン」で「法
人税実効税率」について、国際的水準(25〜30%)を目指して引き下げることを
要求し、民主党マニフェストでは「強い経済」の柱として「法人税率引き下げ」を明
記している(但し、中小企業法人への軽減税率も、現行18%を11%に引き下げる
としている)。

そして、「2015年度までにプライマリー・バランス赤字(対GDP比)を201
0年度の2分の1に、2020年度までに黒字に」とし、消費税大幅増税の口実とし
ている。「自民党政策集Jファイル−2010」は、「法人税率を国際標準の20%
台に思い切って減税」とし、公明党は法人税減税はひとことも批判していない。



4、日本の「法人実効税率」は、本当に高いのか?



|q、まず、注意しなければならないのは、そもそも零細企業の大部分は赤字が実態で
ある(実質的には8〜9割が赤字といわれる)。法人税はそもそも「黒字」の場合の
み課税されるので、赤字続きの零細企業にとって「法人税減税」は何のメリットもな
い。



|r、「法人実効税率」とは、法人の「利益」に対する、国税である法人税・地方税で
ある法人住民税・法人事業税のいわゆる「法人3税」の合計額の割合をいう。200
7年度での「法人実効税率」は40.69%である。財界や民主党・自民党等は、日
本の法人実効税率は高すぎるからEUないしアジア並に25〜30%に引下げよと主
張している(即ち10〜15%の引下げ)。



|s、上位100社の「実効税率」平均は、実は30.7%に過ぎない

しかしながら、日本の40.69%は表面だけの税率にすぎず、実際には「試験研究
費税額控除」「外国税額控除」等により、実際の実効税率は大幅に低くなっており、
経常利益上位100社の平均で既に30.7%になっている(税経新人会の菅隆徳氏
が、2006年度3月期の有価証券報告書から計算)。いくつか例をあげると、トヨ
タ自動車32.1%、NTTドコモ14.6%、日産自動車28.7%、三菱商事8.1
%、三井物産9.3%、住友商事20.3%等である。

  「試験研究開発研究減税」の具体例では、2007年決算データによる推計で
は、トヨタ自動車の減税額は822億円、キャノンの減税額は330億円である。

  

従って、日本の「法人実効税率」は、実際にはEUやアジア以下の水準より、はるかに
低いところも少なくないのである。これをさらに15%も下げよというのは、いかに
実態を無視し、大企業に迎合する主張であるかは明らかである。



|t、いまでも法人税納税ゼロの大企業、これを応援する民主党

そもそも現在の法人税率のもとでも、「損益通算制度」を利用して、三菱UFJ、み
ずほ、三井住友の三大グループの銀行は10年以上も法人税を1円も払っていない。
しかるに、さらに法人税を引き下げるというのである。

また、民主党マニフェストは、消費税増税・法人税引き下げを主張するのみでなく、
他方では「当分の間は金融所得については分離課税、損益通算の範囲を拡大。証券税
制の軽減税率については、経済金融情勢等にかんがみ当面維持」とし、大企業・大資
産家優遇税制の温存を明記している(民主党政策集INDEX2009)。



5、法人税15%引下げで9兆円も減収 → 消費税増税の8割分は消える

もし、財界要求に従って法人税率を15%引き下げると9兆円の減収になり、消費税
10%(5%アップ)にすることによる増収は11兆円なので、8割以上は法人税減
税に消えてしまうことになる。

  こうした批判におそれをなしたのか、民主党は参院選公示後の法定ビラでは、
「法人税率引下げ」に全くふれていない。



6、「無駄遣いを省く」のまやかし



|q、事業仕分け:「入り口は事業仕分け、出口は消費税大増税」

民主党は、「無駄を省く」・「予算編成の透明化」という美名のもとに鳴り物入りで
マスコミの支援を得て「事業仕分け」を実施したが、これは消費税大増税のための世
論造りのパフォーマンスに過ぎないことは明らかである。まさに「入り口は事業仕分
け、出口は消費税大増税」なのである。「無駄を省く」といいながら、軍事費には全
く手をつけず、逆に2010年度防衛予算で162億円も増えた。グアム移転経費の
環境対策まで日本が負担し、米軍再編関係予算は3370億円になっている。「1m
1億円」もする、しかも東京の自然を破壊する東京外環状道路計画もそのままであ
る。



|r、議員定数削減と連動する危険

危険なのは、この「無駄を省く」の一環・議員自ら「身を切ることの象徴」として衆
議院比例定数80、参議院の定数40削減という、民主主義の根幹をゆるがす危険な
「改革」が民主党マニフェストに掲げられていることである。その真の狙いは、国会
内では「少数派」の、憲法9条擁護、消費税増税反対という日本共産党や社民党等を
議会から排除することにある。菅首相は7月1日のテレビ朝日の番組で参院選後の次
期臨時国会で実現したい旨明言し、緊迫の度を増している。



7、やはり消費税増税・「税制改革」の真の目的は大企業減税の財源確保:黒幕は財
界

日本経団連は2010年4月の「成長戦略2010」で消費税増税、法人税引下げを
強く要求している。民主党や自民党等の消費税増税、法人税引下げの大合唱は財界の
要求を受けたものであることは明らかである。



8、北欧の高負担・高福祉について

|q、マスコミの一部には最近、スウェーデン等、北欧諸国の高負担(消費税率20
%)・高福祉を紹介し、あたかも「福祉」のために、消費税増税はやむなしであるか
の如き論調が見られる。たしかに北欧の高負担・高福祉は事実であろう。しかしなが
ら、スウェーデンと日本を比較する場合に、いくつかの留意点がある。第1に、ス
ウェーデンでは医療窓口負担なし、大学までの教育費無料、国民年金、育児休暇など
は全て租税が財源である(国民健康保険料、年金掛金等を別に払う必要なし)。第2
に、社会保険料はスウェーデンでは雇用主(企業)による全額負担となっていて、個
人負担はゼロである。第3に、社会保障費用について徹底した個人責任主義を取る米
国型だと、米国や日本で存在する「固定家計費」という別途支出がスウェーデンでは
無用であるという点である。また、日本の租税負担率は21.8%ということになっ
ていて(2003年OECD)「低すぎる」と言われるが、「潜在的国民負担率」
(国及び地方自治体の財政赤字合計を国民所得で割った比率)では、日本は一挙に5
0%前後になる。(竹yu 孜「スウェーデンの税金は本当に高いのか」あけび書房 
2005年)



|r、しかしながら、根本的な重要問題は、日本では「福祉」のためと言いながら、実
際には大企業の減税のために消費税収入は消えており、これに対する反省の声は一言
もないのである。この点に対する根本的な総括・厳しい批判を抜きに、「福祉のため
に消費税増税已む無し」と云々する論調は客観的には、財界応援団と言われても仕方
がない。



9、日本には、真に福祉・社会保障を充実する財源はあるのか?



1)、財源提案の一例

|q、例えば、日本共産党は次ぎのように主張している(2009年8月15日 しんぶん赤
旗)

‖膩審発等の無駄遣いや、米軍思いやり予算の無駄削減で約5兆円

大資産家減税(株式の配当や譲渡益への課税10%)を20%に戻すことで2兆円

(アメリカは25%、フランス30%)

K/誉芭┐鬘械亜鵑ら、1990年〜1997年の37.5%に戻すことで5兆円

これだけで12兆円(消費税5.4%分に相当)の財源を生み出すことが可能。



|r、「不公正な税制をただす会」の税理士富山泰一氏の著書「消費税によらない豊か
な国ニッポンへの道」(あけび書房 2009年5月)によれば、同氏が主査を務め
る「財源試算研究会」の検討で、歳入面では不公正税制の是正により年間20兆円を
確保でき(2008年度)、歳出面では税金の使途の改善で年間38兆円を削減でき
るという。



2)、世界から貧困をなくすためにト−ビン税の実現を

かっては、理想主義者の夢に過ぎないと思われてきたト−ビン税(イェール大学教授
・ノーベル経済学賞受賞者トービン氏が提唱、投機目的の短期的な取引抑制のため、
国際通貨取引に低率の課税をする。市民団体は、その収入を発展途上国の債務解消・
融資やエイズ、環境問題対策等に使用することを提案している)が世界各地の市民運
動が「世界社会フォーラム」等の粘り強い運動をひろめ、今やEUでは正面から正式
議題として検討され、2009年のG20の議題にもなっている。

                            以 上





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