[CML 003159] ニューヨーク州司法長官のトヨタ被害者救済活動
Hayariki
hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 2月 28日 (日) 12:56:58 JST
プリウスのブレーキ不具合などトヨタ自動車の大量リコールは米国で大きな消費者問題になっている。消費者問題では消費者に損害を与えた企業の責任追及は当然であるが、行政が被害者救済に果たす役割も重要になる。この点でトヨタ問題でのニューヨーク州のアンドリュー・クオモ司法長官の活動は注目に値する。
クオモ長官は「nytoyotahelp.com」という独自ドメインのウェブサイトを開設してトヨタ車の所有者向けに情報提供している。行政機関によるウェブサイトでの情報提供は既に一般的であるが、NY (New York) TOYOTA HELPという意味の独自ドメイン取得にはトヨタ問題への意気込みを感じさせる。
このウェブサイトではリコール対象のトヨタ車には修理済みのものもある一方で、大多数のトヨタ車が修理されておらず、少なからぬ所有者にはリコールの通知も送られていないと指摘する。
全世界で850万台以上という大量リコールはトヨタの品質の問題を示すものだが、トヨタ贔屓をしたい層からは850万台もリコールできるトヨタの底力を逆に評価する声もある。しかし、それは全ての対象車を迅速に修理してから判断すべきことである。リコールは宣言しただけでは意味がない。トヨタのリコール宣言で終わりにせず、修理状況を確認する姿勢は適切である。
自動車は「走る凶器」とも呼ばれる。欠陥車両による事故は運転者だけでなく、無関係な通行車両や通行人にも災いを及ぼす。故にラフード連邦運輸長官の「リコール対象のトヨタ車を運転すべきではない」との指摘は正しい。リコール対象車両の速やかな修理は社会的要請である。
しかし、所有者にとって自家用車は貴重な移動手段であり、修理に出したならば生活に支障が出るケースもある。そこでクオモ長官はトヨタにリコール対象となったトヨタ車所有者のレンタカー代やタクシー代などの費用負担を要請し、トヨタは2010年2月24日に応じた。
同日の下院監視・政府改革委員会の公聴会において、北米トヨタ自動車の稲葉良み(目へんに見)社長が「ニューヨークだけでなく、全米で費用負担する」と信頼回復のためのコストを惜しまない姿勢をアピールした。これは全体的には不満が残った公聴会におけるトヨタの得点となったが、元々はクオモ長官の要請であった。
行政の積極的な活動によって、加害企業の被害者救済策を充実させる。ここには理想的な消費者行政の姿がある。日本では行政の企業寄りの傾向が反省され、消費者庁も発足した。日本の消費者行政にもクオモ長官のような積極的な活動を期待したい。
http://www.janjannews.jp/archives/2762635.html
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