[CML 003118] 中井拉致問題相の(「朝鮮学校を高校無償化から排除」発言は憲法にも鳩山首相の理念にも反する

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 2月 25日 (木) 01:13:33 JST


中井拉致問題相の「朝鮮学校は高校無償化の対象外」発言に関して、「法律で高校無償化を
実現する場合に朝鮮学校だけ排除するのは憲法違反」であるという法律家の指摘があります
(「朝鮮学校を高校無償化から排除?!」徳岡宏一朗弁護士 2010年02月22日)。
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/7a435df52a557eec7309e1cd24bc6830

その論理は次のようなものです。

「日本国憲法は教育について以下の通り定めています。『第二十六条 すべて国民は、法律
の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。/すべて国
民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。
義務教育は、これを無償とする』/当然ですが、人権規定について保障される対象が『すべ
て国民は』とあっても、日本国籍保有者に限らないとするのが判例・通説・行政の立場です。
朝鮮学校の場合は日本国籍の人もいるからなおさらです。/ですから、法律で高校無償化
を実現する場合に、朝鮮学校だけ排除するのは憲法違反です」

上記にいう「判例」とはおそらくマクリーン事件上告審判決のことを指しているのだろうと思い
ます。同判決は外国人の基本的人権について「憲法第三章の諸規定による基本的人権の
保障は、権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解されるものを除き、わが国
に在留する外国人に対しても等しく及ぶ」(最大判昭53.10.4)と判示しています。

憲法第3章の標題が「国民の権利及び義務」となっていて「何人」という規定になっていない
ことから外国人には憲法第3章の基本的人権の諸規定の権利は及ばないのではないか、
という「文言説」に対して、最高裁は、「いや、そうではない。『国民』という文言になっていて
も憲法第三章に規定する基本的人権は『権利の性質上日本国民のみをその対象としてい
ると解されるものを除き』、『何人』に対しても保障される性質のものである」と判示した、と
いうことです。この最高裁の判示が現在の通説にもなっています。なお、憲法26条の「教育
を受ける権利」は「権利の性質上日本国民のみをその対象としていると解され」ないので、
その権利は、日本在住の外国人にも当然及ぶものと解されています。

ちなみに鳩山首相の「教育を受ける権利」の解釈も「何人も」説(日本在住の外国人にも「教
育を受ける権利」はある)です。2006年164国会の教育基本法に関する特別委員会で当
時の民主党・鳩山委員は次のように述べています。

「教育を受ける権利でありますが、私はこれは、すべての国民ではなくて、何人もであるべき
であろうかと思うんです。この日本という国の中で日本人が主として暮らしているわけであり
ますが、それだけではありません。やはり外から、外国からやってきて、一生懸命努力をして
学んでいる人たちもいるし、働いている人たちもいる。そういう人たちも含めて、何人も教育と
いうものに対する権利を与えるべきではないか」
http://www.stop-ner.jp/detabase/0750.htm

上記の鳩山委員の発言は以下の国会議事録でも確認することができます。
http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_kaigiroku.htm

この鳩山発言は重要です。中井拉致問題相の問題発言を撃退する決め手になる可能性が
あるように思います。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp



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