[CML 003115] みどりの未来「普天間」声明

杉原浩司(Koji Sugihara) kojis at agate.plala.or.jp
2010年 2月 24日 (水) 23:58:00 JST


東京の杉原浩司です。「みどりの未来」運営委員会が2月21日に発表した
「普天間基地問題」に関する声明を転送します。

 ……………………… 転送・転載歓迎/重複失礼 ………………………


【声明】  鳩山政権に「普天間基地問題」の真の解決と軍縮を要求します

  2010年2月21日  みどりの未来・運営委員会

http://midorinomirai.seesaa.net/article/141777348.html


 去る1月24日投票の名護市長選挙において、普天間基地「返還」に伴う
辺野古新基地計画に反対する「民意」はあらためて明らかになりました。

 ところが、鳩山政権内部からは「必ずしも民意を斟酌する必要はない」
「移転先が定まらなければ、普天間の継続使用も」(岡田外務大臣)な
どの発言が相次ぎ、沖縄県民の強い怒りと国民の反発を受けています。
こうした発言は、鳩山政権が掲げる「地域主権」「命を大切にする」と
の立場を大きく逸脱するものであり、私たちも強く抗議します。

 この問題の原点は、1995年の米兵による少女レイプ事件にあります。
事件を契機に設置された日米特別行動委員会(SACO)は、米軍普天間基
地(宜野湾市)の全面返還を合意しました。しかし、「代替施設」の建
設がその条件とされ、歴代自民党政権による露骨なアメとムチを用いた
新基地建設計画が、辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸で進められてきま
した。これに対し、「普天間基地の早期閉鎖・県内移設反対」の根強い
運動が展開され、建設計画は頓挫しています。こうした経過の中で、
「全面返還」合意から実に13年間、宜野湾市民は基地被害に、名護市の
住民は新基地建設計画によって、苦しめられ続けてきたのです。
 普天間基地の「全面返還」は、同基地の危険性を一刻も早く除去し、
沖縄県民の基地負担を軽減するため明確に合意されたものであり、日米
の旧政権同士で騙し討ち的に決定された「移設」など、そもそも公正な
ものではありません。そのことを新政権ははっきりと認識する必要があ
ります。また、米国のオバマ政権も、ブッシュ政権の「単独行動主義」
を見直し、国際協調主義を明確にした立場から、辺野古新基地建設の背
景にもなっている「米軍再編計画」自体を抜本的に見直さなければなり
ません。

 宜野湾市の資料【1】や、私たち「みどりの未来」に所属する多くの議
員も関わって実現した「普天間飛行場の閉鎖・返還と海兵隊の米国への
移転を求める自治体首長・議員の共同声明」【2】でも明らかにされてい
るように、辺野古への「移設」計画の一方で、グアムへの海兵隊本体の
移転計画が米軍の関係文書で何度も確認され、実際に進められてきまし
た。ところが「司令部のみグアム移転する」との虚偽答弁が国会で繰り
返されてきたことは、強く糾弾されなければなりません。伊波洋一・宜
野湾市長は「グアムへの移転計画が現実に進行しているのだから、日本
が移設先を探す事自体必要ない」と指摘しています。新政権は、旧政権
が虚偽の答弁と情報の隠蔽の上で進めてきた計画に拘束される必要はあ
りません。しかも、グアムへの移転計画には、日本政府が約61億ドルも
の巨額資金を負担することも明らかになっています。「県内・国内移設」
であれば、この費用は合理的な根拠を失うことになります。
 こうした経緯からは、市街地の中にある普天間基地の運用の制約や限
界を一気に解決し、辺野古には新たな機能を持った新基地を建設する【3】
と同時に、太平洋全体の機動性の観点からグアムにも新基地を建設する【4】、
という意図を強く疑わざるを得ません。しかも、問題の責任は米軍にあ
りながら、基地負担は引き続き沖縄県民に、費用負担は日本の納税者に
押し付けられようとしているのです。
 一方、「移設先」に挙げられるグアムにおいても、自決権の行使を求
めるチャモロ民族が基地強化に反対しています【5】。この問題の解決
が「基地被害の移転」であってはならないことも、強く指摘しておかな
ければなりません。

 「米ソ」が対立し、核軍拡を進めてきた時代は過去のものとなりまし
た。文字通り「前世紀の遺物」とも言える日米安保条約や米軍の存在を
絶対視し、米軍最優先の安保政策を取り続けることは、むしろこの地域
の緊張をいっそう高め、北東アジアに残る冷戦構造を固定化することに
つながります。

 また、米軍基地問題に限らず、外交・安保政策に関する「政治主導」
は極めて脆弱です。鳩山政権は、かつて防衛費5,000億円削減を掲げた
民主党や「平和」を前面に掲げる社民党が参加しているにもかかわらず、
2010年度防衛予算案の総額を、近年の微減傾向から一転して前年度比
0.3%増額させています。「事業仕分け」等で「無駄を省く」と喧伝し
たにも関わらず、防衛予算は依然として「聖域」扱いとなっているので
す。

 普天間基地問題で問われているのは、「移設先」をどうするかという
ことではありません。日本がアジア地域の平和構築に向けて、米国との
関係も含めて、主体的で自立的な外交を展開することができるかどうか、
「安全保障」に関する新しい思想や考え方を政治的に示すことができる
かどうか、試されているのです。

 私たちは、「日米安保」や米軍の存在を絶対視せず、この地域の軍縮
と平和を図り、また沖縄基地問題の一刻も早い解決を求める立場から、
以下を政府に求めます。

1.「普天間基地問題」の原点が同基地の危険性を理由とする早期の全
 面返還合意にあることをあらためて認識し、対米交渉を通して同基地
 の早期閉鎖・返還を実現すること。閉鎖・返還にあたっては、県内への
 新たな「代替施設」を建設しないこと。

2.日米両政府が合意しているグアム移転計画の全容を検証し、その背
 景も含めて沖縄県民・日本国民に明らかにすること。

3.米国政府に対して、アジア太平洋地域の米軍基地の縮小・撤去を求
 めること。

4.PAC3対応改修費、大型ヘリ空母建造費、新戦車導入費、米軍再
 編経費などの削除を含めて、2010年度防衛予算案を抜本的に見直す
 こと。


[註]

【1】http://www.city.ginowan.okinawa.jp/DAT/LIB/WEB/1/091209_tenpsiryo_1.pdf

【2】http://www.peace-forum.com/mnforce/kyoudouseimei.htm

【3】米軍の「2010年会計年度海兵航空計画」(2009年11月公表)では、
普天間基地の「代替」施設に垂直離着陸機「MV22オスプレイ」を配備す
ることが明らかになっている。オスプレイは、特殊な回転翼構造により
垂直離着陸と巡航が両方可能で、「素早く敵地に海兵隊員を送り込み、
回収」(米軍関係者)できる軍用機であるが、開発当初から墜落や炎上
事故が後を絶たない。普天間基地にも配備する計画があるものの、市街
地での危険性を考えれば実現困難と思われ、海兵隊にとっては辺野古の
ような場所に配備できるのは好都合と言える。こうした計画や背景から
も、辺野古は「移設」ではなく新たな機能を持たせた「新基地」建設で
あることが明らかで、沖縄県民の怒りを招く理由のひとつとなっている。

【4】「沖縄からグアム及び北マリアナ・テニアンへの海兵隊移転の環
境影響評価/海外環境影響評価書ドラフト」(2009.11)」では、「グ
アムは海兵隊のプレゼンスを支援できる能力があり、沖縄と比較しても、
活動の自由を最大限得られ、配備にかかる時間の増加を最小限に押さえ
ることができる」とされている。上記宜野湾市資料[2]参照。

【5】http://www.youtube.com/watch?v=JOmrMEhvLOI

【追記】「沖縄の海兵隊を県外・国外移設すると台湾や韓国に1日で展
開できず、抑止力の致命傷になり、日米安保体制に重大な支障を来たす」
とする「学者」や「評論家」の主張があるが、これは根拠の無い悪質な
嘘である。沖縄駐留海兵隊(31MEU)は、佐世保の強襲揚陸艦エセック
ス等に載って西太平洋の同盟国での演習に参加するなどして、1年の半
分は沖縄にいないのである。宜野湾市の新しい資料で明らかにされてい
る。
http://www.city.ginowan.okinawa.jp/2556/2581/2582/37840/38152.html

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◆ みどりの未来 :  http://www.greens.gr.jp/




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