[CML 003082] 「インテリジェンス」(諜報・情報分析)というとことごとしいけれども、要するに不確かな裏情報のひとつにすぎないのではありませんか?

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 2月 22日 (月) 02:14:43 JST


池田香代子さんがご自身のブログに2010年2月19日付で「孫崎元外務省局長『検察の動きを見れ
ばアメリカの意思がわかる』」 という記事を書かれています。 また、『杉並からの情報発信です』と
いうブログでもやはり上記のジャーナリストの岩上安身さんの孫崎元外務省局長へのインタビュー
記事に材をとった 「『なぜ東京地検特捜部がこれほどまで傍若無人に暴走出来るのか』 の答えを
みつけた」 (2010年2月12日付) という記事が書かれています。おふたりのブログ記事の筆者に共
通するのは「外務省では分析課長と国際情報局長の二つのポストを歴任し」、「日本では数少ない
インテリジェンスの本物の専門家である」 (岩上安身ブログ「孫崎享元外務省国際情報局長インタ
ビュー1」) 孫崎元外務省局長のインテリジェンス (諜報・情報分析)といわれる情報を無条件に信
頼して記事を書いていることです。しかし、私は、インテリジェンスと呼ばれる情報は裏の舞台に隠
されていた情報をあぶりだすという点で蠱惑に満ちていますが、その分真偽不明で不確かなところ
も多く、こうした裏情報のようなたぐいのものを無条件、 無批判に受けとめる姿勢に危うさのような
ものを感じます。

■孫崎元外務省局長「検察の動きを見ればアメリカの意思がわかる」
(池田香代子ブログ 2010年2月19日)
http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51348803.html
■「なぜ東京地検特捜部がこれほどまで傍若無人に暴走出来るのか」の答えをみつけた
(杉並からの情報発信です 2010年2月12日)
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/57ea74ffab6f67755e6a1c269c3d7153
■1月14日、孫崎享元外務省国際情報局長インタビュー1(Web Iwakami 2010年2月11日)
http://www.iwakamiyasumi.com/column/politics/item_245.html

具体的にいうとこういうことです。池田さんは上記記事で次のように言います。

「アメリカは自国の国益に添わない日本の政治家を失脚させてきた、それは鳩山一郎、 吉田茂
(晩年)、田中角栄、武村正義、小沢一郎と続いている、その手段のひとつが検察特捜部による
摘発だった、と孫崎さんは断言します」

上記で池田さんは「その手段のひとつが検察特捜部による摘発だった」と書いていて、政治家の
失脚のすべてが「検察特捜部による摘発」によるもの、とは書いていませんが、池田さんが文章
冒頭で「ゆゆしいこと」と言っているのは、 「検察特捜部が隠匿物資摘発で押さえた政府の資金
をつかってアメリカの意向に反する動きをしそうな勢力を抑えこんだ」ということを指しているはず
ですから、 池田さんの文章全体を読んだ印象としては、 「政治家の失脚のほとんどは検察特捜
部による摘発によるものだった」、というように私たち読者にはどうしても読めてしまいます。

もうひとつ。上記で池田さんは「アメリカは自国の国益に添わない日本の政治家を失脚させてき
た、それは鳩山一郎、 吉田茂(晩年)、田中角栄、武村正義、小沢一郎と続いている」と書いて
いますが、たとえば武村正義氏はアメリカに政治的に失脚させられた政治家、 といえるでしょう
か? 池田さんが上記の文章で引用される孫崎元外務省局長インタビュー13では孫崎氏はた
しかに米国が日本の政府の人事に介入した例として武村官房長官の例を示していますが、 武
村氏は結果として当時の細川首相に罷免されていませんし、 細川政権崩壊後の自社さ連立内
閣(村山内閣) を成立させる大きな役割も果たしており、 同村山内閣では大蔵大臣にも就任し
ています。 武村氏を失脚者扱いするのは明らかに誤っています。この場合、 アメリカの日本政
府への人事介入は失敗しているのです。

また、池田さんは上記の文中では触れていませんが、孫崎元外務省局長インタビュー4では失
脚とは逆にアメリカ側の意中の政治家として岸信介氏の例がとりあげられています。そして、そ
のアメリカ側の意中の政治家である岸氏が「失脚」 (総辞職) せざるをえなくなった直接の原因
は、周知のとおり国会で新安保条約案を強行採決し、国民の大きな怒りを買ったことです。 岸
氏は辞任直前には暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負ってもいます。アメリカ側の意中の人であっ
ても国民は彼を日本国の首相とは認めなかったのです。そういう歴史の真実が「インテリジェン
ス」情報ではすっぽりと抜け落ちてしまう、ということもあります。それが 「インテリジェンス」情報
のひとつの陥穽です。

『杉並からの情報発信です』ブログ(2010年2月12日付)でも孫崎享元外務省国際情報局長イン
タビュー13の記事がとりあげられていますが、同ブログの筆者は左記の記事を見て「なぜ東京
地検特捜部がこれほどまで傍若無人に暴走出来るのか」の答えをみつけた、と言っています。
その筆者がみつけた答えは、 「特捜部は、日本の権力者に歯向かう役割でスタートした。 その
後ろ盾には米軍がいたんです。それが今も続いているんです」。だから、東京地検は日本が対
米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政治家」 (上記インタビュー13)、すなわち小
沢一郎民主党幹事長を「ねらい打ちにしてきた」、というものです。

が、 同ブログの筆者は、 2010年2月20日付には「『小沢幹事長不起訴にオバマ政権の意向が
働いた』と推測します」という記事を書いています。
http://blog.goo.ne.jp/yampr7/e/1b0732cc2c35c9c9910abf578620c637

これはおかしな論理です。 「特捜部の後ろ盾には米軍が」ついており、 その米軍は「自国の国
益に添わない日本の政治家を失脚させ」ることを目的にして「インテリジェンス」活動をしている、
というわけですから、失脚させたい政治家の不起訴などに手を貸すのは筋が通りません。しか
し、その筋が通らない話を同ブログの筆者は次のような筋を立てて説明を試みます。

「オバマ政権は当初在日CIAや在日大使や自民党清和会、 日本の財務 ・司法・外務官僚など
の情報から、小沢幹事長と鳩山民主党政権が『反米的で危険な存在』と判断して『小沢幹事長
追い落とし』と『鳩山政権転覆』の指示をCIAと日本の検察に出したと推測され」る。/  しかし、
「オバマ政権はシギントで得た日本の政治家や検察の内部情報、ルース駐日米大使の現地情
報等から、 小沢の親米的姿勢と類稀な政治力、 さらに自民党の衰退を見抜きCIAに指示して
小沢不起訴を検察首脳に働きかけたという説が有力になっている」が「私も同じ考え」だ。

同ブログの筆者が信頼できる情報として依拠している孫崎元外務省局長のインタビュー記事で
は日本の検察を牛耳っている米国の優秀な「インテリジェンス」 機関とオバマ政権は、「ずいぶ
ん前から (小沢対策を) 正確に分析してい」た(上記インタビュー11)と言っています。その「正
確に分析してい」たはずのオバマ政権の小沢評価が上記のように 「反米的で危険な存在」とい
う評価から「親米的姿勢」を持った政治家、という評価に一転するのはやはり筋が通りません。

そもそも池田さんや『杉並からの情報発信です』ブログの筆者の評価する孫崎元外務省局長の
インタビュー記事13では、小沢一郎氏は「日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もう
とする政治家」と高く評価されています。池田さんも『杉並からの情報発信です』ブログの筆者さ
んもおそらく小沢一郎氏を上記のインタビュー記事と同様の視点で評価されているわけでしょう
から、そういう意味からも「小沢幹事長の『親米的姿勢』を評価して同幹事長不起訴にオバマ政
権の意向が働いた」という推測は成立しがたいものがある、といわなければならないように思い
ます。

私は小沢幹事長が不起訴になったのは、 単純に検察側に同幹事長を起訴するだけの証拠が
なかったからだろう、と思っています。「小沢幹事長追い落とし」や 「小沢幹事長不起訴」にアメ
リカの関与があったのかどうか定かのところはわかりません。関与はあったかもしれないし、な
かったかもしれない。それ以上のことは不明というほかありません。先にも言いましたが、必要
以上に「インテリジェンス」情報を評価することは、大局的に歴史を見る眼、歴史の真実を見抜
く眼を見失う陥穽に陥りやすいという意味で危うさをともなうものであるように私は思います。

最後に。

上記のインタビュー記事13の 「日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政
治家」という小沢氏評価に関わらず、 「小沢は常にアメリカの対日要求の中身を踏まえて発言
している」(浅井基文『新保守主義−小沢新党は日本をどこへ導くのか−』pp127-128) ことは
小沢氏の主張を注意深く見守ってきた者にとっては明白なことのようにも私は思っています。
http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/pdf/07/ozawa01.pdf


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp



CML メーリングリストの案内