[CML 003036] トヨタ自動車・豊田章男社長会見に改めて失望

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 2月 18日 (木) 23:12:43 JST


 トヨタ自動車の豊田章男社長は2010年2月17日、大量リコール問題について東京本社(東京都文京区)で記者会見した。しかし具体的内容に乏しく、最初の会見と同様に不安解消には程遠いものであった。

 もともとトヨタ車の欠陥が大問題になっているにもかかわらず、豊田社長が表に出てこなかったことがトヨタ批判を拡大させた。ようやく2月5日になって会見したが、逆効果で「子ども社長」とまで揶揄された。焦点のプリウスのブレーキ問題は「調査させる」、米国議会の公聴会には「米国に行かないと言っている訳ではない」と要領を得ない回答であった。特に米国時間を意識して夜間に会見時間を設定したはずであるが、トップの率直さが感じられなかったことは米国の不満を高める結果となった。

 それに比べると、2月9日の2度目の会見は一応成功と評価できる。「ニューヨーク・ポスト」は豊田社長のお辞儀について「たった40度だった先週末のお辞儀よりも誠意がこもっていた」と報道したが、9日の成功要因はブレーキシステムの欠陥で「プリウス」「プリウスPHV」「SAI」「レクサスHS250h」のリコールを発表したことにある。既にプリウスなどでブレーキが効かないというクレームは多数寄せられていたが、前日の4日に横山裕行常務役員は運転者の感覚の問題と主張した。

 この時点ではアクセルペダルの欠陥は認めてリコールしていたが、ブレーキの欠陥は否定した。運転者にとってアクセルが戻らないこと以上にブレーキが効かないことは恐怖である。ブレーキを効かせたい時に効かせられなければ、即事故につながる。ブレーキの欠陥を認めないトヨタの頑迷さは強い反発を受けた。
http://www.janjannews.jp/archives/2664010.html
 それが9日の会見ではリコールすると態度を翻した。当たり前のことをしただけであるが、それまでの印象が悪すぎたために、社長がリコールを発表することで社長自身は批判を免れた面がある。特に日本人は歴史性に欠けるために、相手が少しでも態度を変えて歩み寄ると、簡単に過去を水に流してしまう。トヨタが狡知に長けていれば最初から下位の役員が憎まれ役を引き受け、創業家の社長に花を持たせるというシナリオを用意することも可能だろう。

 それに比べると、17日の会見は踏み込んだ内容がなかった。アクセルよりブレーキを優先させる「ブレーキオーバーライドシステム」を今後生産する新モデルに搭載することが目玉であった。しかし、これはBMWなどの他社では既に標準装備となっている機能である。会見でも「これまでの車になぜブレーキオーバーライドシステムは搭載されていないのか」と追及された。

 公聴会については「米国トヨタの稲葉社長を始めとする北米の経営陣を信頼している」とし、出席しない考えを明らかにした。これは豊田社長が公聴会出席を検討しているとの先行報道よりも後退している。会見で豊田社長は「一部報道に誤解がある」と述べたが、報道内容よりも後ろ向きの対応であることは事実である。期待よりも失望が勝った会見内容であった。

林田力(『東急不動産だまし売り裁判』著者)
http://sky.geocities.jp/hayariki4/book.htm
東急不動産で買ってはいけない 被害者が語る「騙し売り」の手口
http://www.mynewsjapan.com/reports/1101









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