[CML 003019] 民主党の後退に継ぐ後退(2) そして、社民党の後退 普天間「移設」問題
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 2月 17日 (水) 19:29:39 JST
きょう開かれる予定(もう開かれたのかもしれませんが)の政府・与党3党の沖縄基地問題
検討委員会では普天間基地の移設先の協議は延期されることになりましたが、 同検討委
員会メンバーの社民党、 国民新党からはこの会合の日程に合わせてたくさんの移設先候
補地の名前があげられています。 いわく、国外ではグアム、サイパン、テニアン。 沖縄県
外としては佐賀空港、大村基地、 東富士演習場。国民新党からはこのほか嘉手納基地統
合案、キャンプ・シュワブ陸上案なども提起されています。
が、 肝心の政府・民主党側からは同移設先候補地の具体名はいまのところ一切あがって
いません。報道によれば、 民主党の意向は、 「社民、国民新両党がそれぞれ候補地案を
出した後に民主党案を提示する」 というもののようです。 上記記事で平野官房長官は「検
討委には私や松野頼久官房副長官らもおり、案は出す。いろいろ温めている」と述べてい
ます。 「平野氏らが示す民主党案は、実質的に政府案になるとみられる」 というのが同報
道の見方です(東京新聞 2010年2月16日)。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010021601000720.html)
朝日新聞はこの件について次のように報じています。「鳩山内閣は、これ(注:社民、国民
新両党案)とは別に水面下で移設候補地を探す作業を進めているとみられ、政権内には
検討委は両党の意見を聞く『アリバイ作り』 との見方もある」(朝日新聞 2010年2月16日)。http://www.asahi.com/seikenkotai2009/TKY201002150507.html
上記2紙の推測を証するのが北沢防衛相の国会での次のような発言です。 「北沢俊美防
衛相は15日午前の衆院予算委員会で『我が国の防衛やアジア太平洋の平和と安定の意
味で、沖縄という地政的地位は極めて重い』と米海兵隊が沖縄に駐留する重要性を強調し、
社民党などが主張する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のグアムなどへの移設に否
定的な考えを改めて示した」(毎日新聞 2010年2月15日)
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20100215k0000e010040000c.html
社民党と国民新党は、民主党、 鳩山政権の「アリバイ作り」のために道化まわしの役回り
を与えられている公算が極めて強いのです。 いや、ピエロとして踊っているのは社民党た
だひとりなのかもしれません。琉球新報の「北沢氏は、検討委の議論との整合性を図るた
め、検討委員である国民新党の下地幹郎政調会長に、国民新党案としてシュワブ陸上案
を委員会に提案するよう要請した。国民新側は、これまでも陸上案を移設案の一つとして
提唱しており、17日の委員会で提案する予定」 ( 「普天間移設先 政府、シュワブ陸上模
索 「県外」不可も想定」2010年2月15日) という記事から推察すれば、民主党と国民新党
はあらかじめ連携してシュワブ陸上案を 「移設 」案の本命として画策していた疑いが濃厚
です。蚊帳の外に置かれてピエロの踊りを踊らされていたのは社民党さん、可哀想だけど
お前さんただひとりだよ、ということになるでしょうか。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/d092bfd07814879cd1d322d27c2a2eb7
この点についての沖縄在住の芥川賞作家、目取真俊さんの下記の指摘は重要です。
「当初、17日の検討委員会では社民党、国民新党が『移設』先候補地を提案する一方で、
民主党は提案しないということが報じられていた。琉球新報の記事を見れば、 そのからく
りが分かる。 昨年の衆議院選挙前に鳩山党首自ら『県外移設』を唱えていた民主党が、
キャンプ・シュワブ陸上案を検討委員会で提案すれば、 公約違反の強い批判を受けるの
は必至だ。 それを回避するために自らは提案せず、 国民新党の下地議員に働き掛けた
ということだろう。実に姑息なやり方だ」(「民主党と下地幹郎議員の画策」2010年2月16日)。
http://blog.goo.ne.jp/awamori777/e/d092bfd07814879cd1d322d27c2a2eb7
上記の報道、論説をたどれば、民主党に、鳩山首相が先の総選挙時に「国外移設、最低
でも県外移設が期待される」 と沖縄県民、 また私たち本土の選挙民に明確に約束してき
た「政権公約」 を順守するつもりはないことはもはや明らかです。人々の中には小沢幹事
長の 「普天間基地の辺野古移設反対」 発言に期待する向きもあるようですが、小沢氏は
たしかに普天間の辺野古移設には反対する発言はしていますが、 同時に小沢氏は、「移
設」先として沖縄県内の下地島や伊江島の可能性に言及しています(目取真俊 「〈辺野古
移設反対〉の虚々実々」2010年2月8日)。「県外移設」を望む沖縄県民の願いとは相容れ
ない考え方です。 「最低でも県外移設」という鳩山政権のウルトラCを期待することはまず
できない相談というべきだろう、と私は思います。 ただ一点だけ可能性があるとすれば、
沖縄の「県内移設」は公約違反だとする同県内外の民主党批判が怒涛のような高まりを
みせ、同党の参院選勝利の展望が大きく崩れ去ろうとするときでしょう。そのときはじめて
民主党はおのが過信の大きなる誤りに気づかざるをえなくなるはずです。 その例外を除
いて同党に「県外移設」の実現を期待するのは絶望的だというのが私の判断です。
それにしても社民党のていたらくには目も当てられません。社民党の県外、すなわち国内
移設の主張はそもそも無理筋のものでした。社民党は国内移設案として佐賀空港、大村
基地などなどをあげましたが、佐賀でも大村でも市民のみならず自治体首長、 自治体議
員がこぞって反対の声をあげています(たとえば 「大村市議会、普天間移設 『反対』決議
案可決」読売新聞 2010年2月12日)。その他の国内候補地でも同様です (たとえば私の
地元の日出生台演習場のある地元住民は、同党の北部九州案が提起された段階で、ま
だ候補地として名前があがっていないにも関わらずすでに北部九州案絶対許さじの警戒
の声を高めています)。社民党にはそれらの候補地、住民の反対を説得するなにか特別
な材料でもでも持っていたのでしょうか。持っているはずもありません。結局、「本土移設」
は無理だとして、沖縄県内移設案、または統合案のやむをえない理由に回収される根拠
を他の与党2党に与えるだけのピエロの役割を演じた、 もっときつくいえば上記のとおり
蚊帳の外にあって演じさせられただけにすぎない、ということにしかなりません。社民党に
対する市民の落胆はいや増しに増すばかりです(CML 003005を見よ。インターネットで見
ることができます)。私には、 同党は自ら好んで自滅の道を歩もうとしている、というように
しか見えません。
社民党も民主党とともに後退に継ぐ後退を重ねている、というよりほかありません。 社民
党よ。眼を覚ませ、といわなければなりません。
東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
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