[CML 003013] Re: アンジェイ・ワイダ監督の新作映画『カティンの森』とスターリンの犯罪
まっぺん
mappen at red-mole.net
2010年 2月 17日 (水) 09:40:53 JST
まっぺんです。
映画『カティンの森』、話題になっているようですね。
私はまだ観ていませんが、批評を最近ふたつ読みました。
ひとつは川柳家の乱鬼龍さんが「コモンズ」2月1日号に
投稿した短いもの。
http://www.com21.jp/journal/020/020_08.html#00
もうひとつは「思想運動」2月1日号に遠藤裕二さんが書
かれたもの。(ネット上に見つからず)
前者は短いこともあって、映画の内容を簡単に説明する
ものですが、カティンの森虐殺事件がスターリンの命令
によるものであったことを前提としています。
後者は「ソ連犯行説」の断定を避けており、どちらの犯
行なのかわからないという前提に立って書いていますが
それと切り離した形でアンジェイ・ワイダ監督のソ連軍
への反ソ的描写を批判し、ワイダ監督を「人間に飼われ
た像」「衰弱した作家精神」「もう可能性はひとかけら
もない」と口を極めた辛辣批判ぶりです。
ソ連におけるスターリン主義がどれほどひどいものであ
ったかについては歴史の証人がたくさんいるわけですが、
カティンの森虐殺事件がどちらの犯行だったのかを巡る
論争に結論が出なければ、確かにこのような正反対の評
価も生まれると思います。現在ではソ連犯行説の方にか
なり説得性があるようですが、確定的な結論は出ている
のでしょうか。
しかしそうした前提に立って考えても、私は遠藤氏によ
るワイダ監督へのこの批判は行き過ぎではないかと考え
ています。ワイダ監督はソ連犯行説に立って映画をつく
っているわけですが、そうだからといって、監督の態度
を「人間に飼われた象」とまで罵るのは、ソ連への批判
をすべて反共主義と断定するに等しい態度と言わねばな
りません。スターリンへの批判は批判として受けとめた
上での冷静な批評が望まれると感じました。
紅林さん。詳しい紹介をありがとうございました。
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