[CML 002846] Re: 県外移設しかないのでは…

鈴木俊彦 tosihico at u01.gate01.com
2010年 2月 2日 (火) 18:55:24 JST


東本様

千葉の鈴木です。詳しくご意見を述べて下さり大変勉強になりました。「県外移設」
の受け入れに対し、
厳しい見方をなさっていることがよく分かりました。私は可能だと信じています。
安保条約を終了しない限り米軍基地の問題は解決しません。条約の第10条による終了
通告をするまで、
私たちは米軍基地から逃れられないのです。
安保を抱えたまま基地だけは置きたくないと、沖縄(もしかしたらグアムにまで)の島
民に負担を強いる
ことが私には恥ずかしくてならないのですが、そんな思いでいるのは私だけではない
でしょう。
私は一番近くにある海上自衛隊下総基地を、移設地として受け入れようと友人たちに
提案しています。
米軍基地はおぞましい存在ですが、私には普天間基地を存続させたり、辺野古の海を
埋め立てたりする
ことの恥ずかしさの方が耐えられません。おぞましいものを無関係の人に押し付ける
のは卑怯です。
米軍基地のない日本は安保を終了する以外には実現しません。安保終了通告が唯一で
全ての解決策です。
安保の終了通告をするまで沖縄の基地は「県外」が受け入れるべきだ、という考えを
各地に広げようと
郷里の岐阜の友人には自衛隊岐阜基地、大阪の友人には関空、静岡の友人には静岡空
港への受け入れを
話しています。
1月30日の集会とデモのために来京された辺野古の人たちと、私は運転手として朝か
らずっとご一緒
していました。皆さんは基地の負担が「本土並み」になると信じて「復帰」を迎えた
のだそうです。
当時でも沖縄には在日米軍基地の50%強があったそうですが、それから37年の今「本
土並み」どころか
75%にもなってしまったと嘆いていらっしゃいました。私は言葉がありませんでし
た。
私は人を信じたいです。安保終了まで沖縄の基地を受け入れる、という人たちがきっ
といらっしゃると
思います。忍野村の村長さんもその一人ではないでしょうか。

鈴木俊彦

-----Original Message-----
From: cml-bounces+tosihico=u01.gate01.com at list.jca.apc.org
[mailto:cml-bounces+tosihico=u01.gate01.com at list.jca.apc.org] On Behalf Of
higashimoto takashi
Sent: Monday, February 01, 2010 8:40 PM
To: 市民のML
Subject: [CML 002841] Re: 県外移設しかないのでは…

鈴木さん

私も今朝がたの鈴木さんのメール(CML 002824)には驚きました。

自衛隊の北富士演習場の一部がある山梨県忍野村の村長が米軍普天間飛行場の移設受
け入れ
を表明した、というニュースについて「嬉しい記事」という表現があったからです
(「嬉しい」という表現
は誤りでした、とすぐに訂正されましたが)。

baraさんがすでに指摘されていることですが(CML 002825)、同地にはかつて 「北
富士忍草母の会
による『入会地奪還』の闘いがあり、沖縄海兵隊による北富士演習」に反対する地元
住民の闘いは
現在進行形で今も続いているところです。そういう在所の住民の反対の声を無視して
村長の一存で
いとも簡単に同海兵隊の本拠地であるところの普天間飛行場の移設の受け入れの表明
をする。そ
うした村長の独断専行を伝えるニュースを「嬉しい」とは? というのが私の驚きの
内容でした。

鈴木さんが伝える上記と同様のニュースは岐阜県在住の近藤ゆり子さんは別のMLに
「“北富士演
習場”“忍野村”と聞けば、『忍草母の会』の闘争が頭に浮かぶ世代としては、何と
も『やりきれない』
思いがします(参照:http://www.fujisan-net.jp/news_main.php?news_num=460)」
と伝えてきました。
私の思いもほぼ近藤さんの思いと同じです。「何とも『やりきれない』」というのが
このニュースを聞い
た(見た)ときの私の瞬時の思いでもありました。

鈴木さんと私のこの感じ方の違いは、おそらく普天間基地問題に関する情勢認識の違
いからくるも
のでしょう。

鈴木さんはこの問題について次のような認識を示されます。 「もちろん『普天間基
地即時無条件全
面撤去』 が一番いい方法に決まっています。しかしその『正論』にこだわっている
とやはり普天間や
辺野古の解決が遅れてしまいます」。

しかし、私は、「普天間基地即時無条件全面撤去」の主張は単に「正論」というばか
りではなく、「普
天間や辺野古の解決」のための近道であるだろう、と思っています。

すでに本MLでも何度か紹介させていただいている論攷ですが、ピープルズ・プラン
研究所の武藤
一羊さんはこの問題について次のような認識を示されています。

「普天間基地については、 『代替施設』建設の進捗などとは無関係に、その閉鎖を
要求し、交渉す
る。辺野古基地の建設については、自民党政府の決定を凍結し、計画の撤回を米国と
交渉する。
普天間閉鎖はいかなる交換条件からもきっぱり切り離すことが必要である。それは普
天間基地閉
鎖への近道である。『移設』方式では移設先が見つかるまでは普天間基地は存続する
ことになる。
そして『移設』先をどこに選んでも、そこには激しい抵抗が待っているだろう。『移
設』方式は破産し
たのである。13年間の失敗の実績がそれを証明したではないか。日本政府は、米国
にこの破綻
を認めさせ、その上に立って、SACOと米軍再編合意の見直しと再交渉を申し入れ
よ。タフな外交
交渉なしにこの問題は解決できないのである」 (鳩山政権と沖縄米軍基地 ――
「移設」というワナ
(沖縄タイムス、11月2日、3日)。
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=42

また、 関東学院大学教授で日本ジャーナリスト会議の丸山重威さんもこの問題につ
いて「『基地の
ない日本』をどう作るか−2010年への展望」(「『たらい回し』論をやめよう」の
項)という論攷の中で
次のような認識を示されています。

「よく 『日本の国土の0・6%しかない沖縄県に、在日米軍基地の75%が集中」
「沖縄県の面積の
11%、沖縄本島だけで見れば、20%が米軍基地で占められている』 といわれる
ているが、その
結果もあって、 『基地問題』は全国的な問題にならなかった。/そして多くのメ
ディアは、国民にそ
の本質的な意味を考えさせようとしないまま、ただ時間だけが経っていった。(略)
しかし、どうだろ
う。もう、どこであれ沖縄に移すのは無理なのだし、ほかの都道府県でも『受け入
れ』は『中央』へ
の屈服、『札束』にふるさとを売り渡すことでしかない現実がある以上、その『たら
い回し』にどれだ
けの意味があるのか? (略)話は簡単で、もはやこの際、首相自身が『基地を引き
受ける都道府
県も市町村もないのだから、それをはっきりさせた上で、米側と交渉する』と言い出
せばいいのだ」
(NPJ通信 2010年1月1日)。
http://www.news-pj.net/npj/maruyama-shigetake/20100101.html

私は上記おふたりの認識は 「正論」というだけでなく、「普天間や辺野古の解決」
のための一番の
近道を教える提言でもあろう、と思います。

鈴木さんが 「日本の0.6%の沖縄に75%の米軍基地を押し付け」、「それを放
置したまま『米軍
基地反対』を言い続けて」沖縄を「戦前同様に今なお日本の植民地」同然にしてきた
沖縄「県外人」、
すなわち私たち本土 (という言葉が適当だとは思っていませんが) に住まう日本人
のもうひとつの
戦後責任を自己批判を含めて厳しく指弾しようとするお気持ち、 それゆえに沖縄に
のみ集中的に
犠牲が強いられている米軍基地があるゆえの沖縄の負担を本土で引き受けるべきだ、
というお覚
悟のような思いは私にもよく理解できるつもりです。しかし、普天間飛行場の本土へ
の「移設先」探
しではこの問題は決して決着させることはできない、と私は思っています。その論拠
は上記で述べ
たとおりです。

普天間、辺野古問題の一日も早い解決のためにも、私たちは「普天間基地即時無条件
全面撤去」
で団結するべきだと思います。何度も繰り返しますが、それが「普天間や辺野古の解
決」のための
最短の近道でもある、というのが私の確信です。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp

----- Original Message ----- 
From: "鈴木俊彦" <tosihico at u01.gate01.com>
To: <cml at list.jca.apc.org> 
Sent: Monday, February 01, 2010 10:57 AM
Subject: [CML 002826] 県外移設しかないのでは…


> 千葉の鈴木です。
>
> bara様からご丁寧な返信をいただきました。ありがとうございました。
>
> 「嬉しい」という表現は誤りでした。基地の移設が嬉しいはずがありません。
>
> 移設の可能性が出てきたということでつい「喜んで」しまいました。寝ぼけて
>
> いたのかもしれません。申し訳ありませんでした。
>
> 県外の移設先は既に米軍基地に苦しんでいる地域でないのが好ましいのですが、
>
> それを言っていると普天間の苦痛や辺野古の不安の解消が遅れてしまいます。
>
> もちろん「普天間基地即時無条件全面撤去」が一番いい方法に決まっています。
>
> しかしその「正論」にこだわっているとやはり普天間や辺野古の解決が遅れて
>
> しまいます。今や普天間基地がアメリカにとって、まして日本にとって必要だ
>
> とは思えません。しかし両政府とそのまま撤去する意思はなさそうです。
>
> 普天間の「安全」と辺野古の「安心」こそが、現在の最優先課題だと考えます。
>
> 「最低でも県外」と口にした首相が出現しました。この言質を追及して「県外
>
> 移設」を実現させるのが、今や最も可能性が高いのではないでしょうか。
>
> 「県外移設」を歓迎する民意が「県外」にあるとは考えられません。沖縄県と
>
> それ以外の県との民意が相反するのは「悲劇」です。
>
> 私たちはこの「悲劇」を前に距離を置いて見守る、「全面撤去」の正論でもって
>
> 権力を批判し続ける、いろいろ立ち位置はあるでしょう。
>
> 私は「沖縄の民意」と比べれば「県外の民意」は軽くならざるを得ないと判断
>
> します。逃げたり隠れたりはできません。
>
> 私たち「県外人」は、日本の0.6%の沖縄に75%の米軍基地を押し付けていて、
>
> それを放置したまま「米軍基地反対」を言い続けてきました。
>
> 沖縄の基地の根拠は安保条約です。沖縄県人はこの条約に責任はありません。
>
> 安保は、条約締結の政府を選んだ、あるいは安保闘争に敗北した我々「県外人」
>
> の責任です。
>
> 72年までは、沖縄の基地を提案した裕仁天皇や基地を建設したアメリカ政府の
>
> 責任でした。しかし72年以降は、私たち「県外人」の責任ではありませんか。
>
> 1.30の集会とデモに参加した辺野古の人たちは、「返還」の際に「本土並み」の
>
> 基地を期待したと言っていました。当時日本の米軍基地全体の50%を沖縄が引き
>
> 受けていました。この負担の軽減を期待したのに、37年を経た今「本土並み」に
>
> なるどころか75%にもなってしまったと言っていました。繰り返しますが、彼ら
>
> は安保条約に支持も反対もできなかった人たちです。
>
> 1.30の集会では沖縄はアメリカの植民地だというお話がありました。私はむしろ
>
> 沖縄は戦前同様に今なお日本の植民地ではないかと考えています。
>
> 米軍基地のせめて99.4%を県外に移設すれば、安保条約は多くの「県外人」にも
>
> 可視化されます。それが安保を終了する一番の早道かもしれません。
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> 鈴木俊彦
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