[CML 005244] マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携(上):林田力

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2010年 8月 9日 (月) 10:17:08 JST


【PJニュース 2010年8月9日】私は2003年6月に東急不動産(販売代理:東急リバブル)から新築マンション(東京都江東区東陽)を購入したが、それは不利益事実(隣地建て替えによる日照・眺望・通風の喪失など)を隠してだまし売りされたものであった。

引渡し後に真相を知った私は消費者契約法第4条第2項に基づき、マンション売買契約を取り消し、東急不動産を相手に売買代金返還を求めて東京地裁に提訴した(売買代金返還請求事件 平成17年(ワ)3018号)。東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金の全額返還を命じた。
http://news.livedoor.com/article/detail/4934534/
http://www.pjnews.net/news/794/20100808_3
これは消費者契約法で不動産売買契約が取り消されたリーディングケースであり、マンション購入被害者にとって画期的な救済策となる判決である。この経緯を多くの方に知ってもらうために私は本裁判の内容を書籍にまとめて出版した(林田力『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』ロゴス社、2009年)。

勝訴した要因には様々なことが考えられる。その一つは自ら積極的に情報収集し、敵である東急不動産の手の内を把握し、東急不動産の主張や証拠の虚偽・矛盾に反論したことである。孫子の兵法「敵を知り己を知らば百戦危うからず」通りである。それを可能にした要因にマンション建設反対運動との連携がある。本記事ではマンションだまし売り被害者と建設反対運動が連携する意義について論じる。

マンションだまし売り被害者と建設反対運動の連携は双方にとってメリットがある。しかし、残念なことにマンションだまし売り被害者と建設反対運動の接点は乏しい。だまし売り被害者はマンションを購入したことで被害に遭った。マンション建設反対運動はマンションの建設自体で被害に遭う。マンションに対する意識が異なることが両者の距離を広げている。

大きな溝は、だまし売り被害者がマンション購入者である点にある。地域環境を破壊し、住民の反対を無視してまで、デベロッパーがマンション建設を強行する理由には買い手の存在がある。それ故にマンション建設反対運動にとってマンション購入者は憎むべき敵となる可能性がある。

この点で東急不動産だまし売り裁判には複雑な事情があった。東急不動産だまし売り裁判ではマンション建設時に東急不動産のために近隣対策を行った地上げブローカーが裁判でも暗躍した。一般にマンション建設反対運動は近隣対策屋に苦しめられている。これがマンションだまし売り被害者と建設反対運動を結びつけた背景である。

以下、マンションだまし売り被害者と建設反対運動の各々について連携のメリットを詳述する。

最初に、だまし売り被害者である。だまし売り被害者はマンションの売主の実態をマンション建設反対運動から知ることができる。意外かもしれないが、だまし売り被害者はマンションの売主をあまり知らない。そもそも消費者にとって不動産の購入は一生に一度あるかないかの買い物である。一見客ばかりであり、過去の経験に学ぶことは難しい。それを見越して不誠実な不動産業者は売ったら売りっぱなしの対応になる。この点は購入経験者を先達として調査するしかない。

より大きな問題は販売代理という分譲マンション市場のシステムによって、デベロッパーが隠されていることである。新築分譲マンションの売主(デベロッパー)は自ら消費者への接客活動を行わず、系列子会社を販売代理として、営業活動を委託する。

たとえば記者は東急不動産のマンションを購入したが、記者が接したのは東急リバブルの従業員であった。売買契約書も東急不動産に対してではなく、東急不動産の代理人である東急リバブルと交わした。最初の勧誘から契約、引き渡しに至っても東急不動産の従業員と接することはなかった。私が東急不動産の従業員を知るのは不利益事実不告知のトラブル対応が長引いた後であった。【つづく】



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