[CML 003834] アジアを考えるための本(19)

Ken Kawauchi kenkawauchi at nifty.com
2010年 4月 25日 (日) 15:32:14 JST


 河内謙策と申します。独善的立場から、最近読んで面白かった本を紹介させていた
だいております。(このメールを重複して受け取られた方は、失礼をお許しくださ
い。転送・転載は自由です。)

*浜矩子著『ユーロが世界経済を消滅させる日』フォレスト出版
 何事も幻想やイデオロギーを優先させてはいけないはずであるが、日本の知識人の
一部を捉えているのがEU幻想である。そして、それをアジアに移し変えて「東アジア
共同体」万歳をとなえる馬鹿が出てくる。それを薄めて独創的と勘違いしているのが
鳩山由紀夫である。
 さて、この本は、EU危機の現実を教えてくれる。また、EUがリーマンショック以降
陥っている苦悩をあますところなく明らかにしているから、東アジア共同体を結成し
た場合の問題点を検討するうえでも参考になる。浜氏は、「本格的に統合しないから
こそ、統合体としての姿形を保ち続けることができる」というEUの矛盾を指摘してい
る。これは鋭い。

*宮崎正弘・佐藤優『ロシア・中国・北朝鮮 猛毒国家に囲まれた日本』海竜社
 この本のタイトルは、おっかないが、中身は面白い。特に新しいのは、ロシア帝国
主義(ソ連崩壊後のロシア)と中国覇権主義の文明論的比較である。これは、最近で
は初めて、と思われる。たとえば「金より友情が大切なロシア人」「友情より金が大
事な中国人」とか「あの世を信じない中国人」「来世を信じているロシア人」などと
いう面白い比較がぼんぼんと出てくる。一読の価値がある。

*古田博司『日本文明圏の覚醒』筑摩書房
 古田氏は、著名な韓国・朝鮮問題の研究者だが、この本は、彼の立場からアジア文
明全体を総括している。その際、クーパーなどの、プレモダン、モダン、ポストモダ
ンの3分類を参考にして、モダンの中国・韓国等に取り囲まれたポストモダンの日本
というシェーマにもとづき、日本の現状を分析している。たしかに、クーパーの3分
類は面白いが、それは、21世紀初頭の幻想だったようにもみえる。また、古田氏が、
佐藤優氏と同じように、日本神道にたどりついているのも気になる。しかし、日本問
題は重く、私自身解けていないから簡単にコメントできません。


河内謙策

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