[CML 003751] 東京・文京区長の「育休宣言」はほんものか? あるインタビュー記事を読んで考える

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2010年 4月 19日 (月) 13:33:18 JST


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■東京・文京区長の「育休宣言」はほんものか? あるインタビュー記事を読んで考える
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi/2276516.html

「さんきゅうパパプロジェクト」(NPO法人ファザーリング・ジャパン)というホームページに自治体首長
として初の育休宣言をして全国的に話題になっている成澤廣修(なりさわひろのぶ)文京区長(44)
へのインタビュー記事が掲載されています。同インタビュー記事のリード文には「自治体首長としては
初の育休宣言に、国内外からの賛否両論もあり、反響は大きい」とあるものの、同記事には「否」の
部分についての視点は乏しく、もっと端的にいえば欠落しており、「賛」の部分のみを強調する著しく
バランス感覚を欠いた狭量な記事になっているように見受けられます。果たして成澤文京区長の「育
休宣言」は評価に値するものなのでしょうか? 同区長に対するある文京区民の評価を紹介しなが
ら検証してみようと思います。私の結論は批判的なものです。
 http://www.fathering.jp/sankyu/talk1.html

成澤文京区長が自ら提案した「育休」は2週間程度のもののようです。2週間程度の「育休」であって
も、男性の「育休」取得が1パーセント台という現況にあっては、今回の成澤区長の「育休」取得は男
性の同「育休」取得率向上のためにもかなりのインパクトのある行動であると思いますし、「特別職の
妊娠出産休暇・育児休暇・介護休暇」の新条例提案にも賛成できます。しかし、2週間程度の「育休」
がほんとうに「育休」という名に値するのか。

成澤区長はまがりなりにも自治体の首長なのですから、ふつうのサラリーマンのような勤務時間を拘
束するしばりはおそらくありません。同区長がほんとうに「育休」を取るつもりであるのならば議会や
執行部とよく話し合って1〜2年間ほどはたとえば保育園に送り迎えするための時間帯を確保すると
か(お連れ合いがいわゆる専業主婦であればそういう時間帯を確保する必要は生じませんが)、また、
朝ごはんや夕ごはんをつくるための時間帯を確保するとかまだまだいろいろな方策があろうか、と私
としては思うのです。成澤文京区長の育休宣言は、そうした男と女がいて小さな子どもがいる家庭の
日常生活スタイルの基本形を踏まえた上での育休宣言であるといえるのか、というのが私がこの報
を聞いたときの最初の印象です。

その私の最初の印象を裏づけるかのように、それほど時を置かずに、大分を在所にする私の耳にも
「文京区民のフェミニストの方から、成澤文京区長が区長になってから特にジェンダー関連の課題に
積極的に取り組んでいるというようなことは一度も聞いたことがない」。「なにやら政治的なパフォーマ
ンスのような匂いを感じる」。「来春の区長選をにらんでの息子誕生を利用した話題づくりではないの
か」、という文京区民の声が少なからず聞こえてきました。

上記のインタビュー記事(全文4頁)を読んでみます。

1頁目。「子育てしていると、男の非力さを感じますね。どうしたって、おっぱいは出ないわけですから。
夜中に子どもが起きて、妻はおっぱいをあげて寝かしつけるわけですけれど、一緒に起きてもやるこ
とないから、先に寝てしまったりして」という成澤区長の発言が出てきます。しかし、私はこの発言にク
エスチョンを感じます。おっぱいをあげることはできなくとも、男の非力さを嘆く前にたとえば赤ちゃん
のオムツを替えてあげたりすることは男にだってできるだろう。成澤区長にはなぜそういう発想がな
いの?

同じく1頁目。成澤区長は「炊事は、子どもが生まれる前から日常的にしています」という一方で「育
休中は私が作るつもりだから」とも言います。この発言には齟齬があるのではないの? 日常的に
炊事をしているのであれば「育休中は私が作るつもり」などという発言は出てこないのではないの?

2頁目。成澤区長は育休宣言に全国から賛否両論が届いたその否定的な反響のひとつとして「男は
男らしく」という否定論があったことを挙げます。この否定論について同区長は「性別役割意識(男は
こうあるべき、女はこうあるべき)というところを強く持っている方も、社会の中にいらっしゃるというこ
とは事実です」と言うだけで、そうした考え方のどこが悪いのかということには話は及びません。もし
かしたら、いや、もしかしなくとも、同区長はこうした問題についての定見を持っていないのかもしれ
ません。おそらくそうなのでしょう。読者にそうした疑問を抱かせる発言ではあります。

同じく2頁目。成澤区長が否定的な意見の4番目に挙げる「保育園の待機児童になってしまったの
に、休んでいる場合ではない」という否定論については、同区長は「育休を取って、自分で子育てし
てみることで、何かを得て、これからも子育て支援の充実に取り組み続けるしかない」などという頓
珍漢な受け答えをしています。おそらくこの否定的な意見を述べた市民は育休宣言をする(それは
それとして評価するにやぶさかではないけれども)前に区長には「保育園の待機児童」問題という重
要な案件を解決するという責務があるのではないか、ということを問うているのです。成澤区長の答
はまったく問われている問題についての答となっていません。

同インタビュー記事は、成澤文京区長の育休宣言に対して住民が少なくない「否」の感覚を持つ、そ
の住民感覚の在り処に対する視点を持ちえないがゆえに、上記記事中の成澤区長の発言の齟齬
に気づかないのです。同記事が著しくバランス感覚を欠いている、とはそういうことを言っています。

さて、成澤文京区長に対するある文京区民の評価の一部を以下に紹介します。ある文京区民は同
区長がまだ区議(区議会議長)だった3年前のことを次のように語ります。

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「4、5年前、文京区の2箇所ある保健センターのひとつを、庁舎内にある健康センターを廃止し、そ
の後へ保健センターを移設しようとしました。健康センターは専門のトレーナーの指導の下、年末年
始をのぞき、日曜・祝日も夜間も健康を維持したい若者ばかりか老人たちも自分の都合の良い日
時に利用しておりました。その廃止案が提示され、当然のように利用者を中心に廃止反対運動が
起きました。利用者たちは、署名を集めたり区議たちに陳情したりしました。もちろん成沢議長(当
時)にもです」。

「彼曰く。『健康センターのようなスポーツセンターはそこらじゅうにあるじゃぁないか。5000円近く
掛かる費用を利用料金500円では区の負担が多すぎるし、キッズルームに子供を預け、健康セン
ターや美容院に通うような母親もいる。あそこも経費が15000円くらいかかる。一部の利用者だけ
にこのように多額の公費を使うのはおかしいじゃないか。』と健康センターどころかキッズルームも
廃止したいような発言でした。当時は成澤氏にはお子様はいらっしゃいませんでした。キッズルー
ムとは健康センターと同じ階にある小学校就学前までの子供を1回3時間以内預かって保育してく
れる施設です。東京は江戸の昔から地方出身者が多く、母親が歯医者に通ったり、上の子の学校
行事に参加するために、幼児を預けられる実家や親類が近くにいない人が多いのです。母親たち
は安心して、ちょっとのあいだの気休めや必要な用事をとどこおりなく済ませることが出来るのです」。

「私たちは区へさまざまな質問をしました。『民間のスポーツセンターでも1回の料金が1000円台
であるのに5000円近いとはおかしい。下請け業者に搾取されているのか、内訳を示せ』という質
問には『一回1470円。差額の3000円あまりは区庁舎の償却費も含んでいる』とのあきれた回
答。結論を急げば、保健センターが使用していないとき、健康センターの使用を同じ場所で認める、
という変則的な形で健康センターは残りました。(スゲェ利用し辛い!)」

「このたびの区長の育児休暇については全国で話題沸騰のようです。しかし、成澤区長がジェンダ
ーフリーの理解者かという点については『否』と答えざるを得ません。これは来春の区長選をにらん
での息子誕生を利用した話題づくりと私はにらんでおります」。

「成澤氏が6月の議会に提案する特別職の妊娠出産・育児・介護休暇の給与は半額にするそうで
すが、氏の休暇は4月3日からだそうでこれからの新条例には引っかからず《区長丸儲け》なので
す。それにしても、半額でももらえるなんて、やはり役人天国ですね。成澤氏は休暇中でも必要な
時や、緊急時には出勤するとしていますが、4月1、2日は新年度の人事異動があり、その引継ぎ
に各部・課は1〜2週間忙しいのですが、人事異動のない区長は暇なのです。顔見世興行ともい
うべき入学式などにはばっちり出席の予定のようです。(これが氏の言う《必要時》です)。また氏は
休暇中の過ごし方のひとつとして『“ぴよぴよひろば”へ親子3人で行く』そうですが、ここは親子で
参加のお遊び広場なのです。つまり選挙権を持っている人間もいる所なのです。先に記しました
《キッズルーム》には預けられた子供ばかりで有権者はいません。選挙の折の公約である『子育て
への応援』って自分にだけかい? と言う感はぬぐえません」。

「以上のように、私はあまり拍手喝采でこの話を受け入れられませんが、これを機会に男職員が
本当の“育メン”に育ち、育児行政にしっかりと目を向けられるようになって欲しいと願っています」。
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上記のある文京区民の素朴な疑問は私の疑問とするところでもあります。成澤文京区長の「育休
宣言」をあなたはどのように評価されますか? 私はあざとい言葉には注意が必要だろう、と思っ
ています。検証は始まったばかりです。まだまだ続きます。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
http://blogs.yahoo.co.jp/higashimototakashi







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