[CML 003655] 日本が食料を自給できない理由

坂井 貴司 donko at ac.csf.ne.jp
2010年 4月 12日 (月) 09:20:05 JST


 坂井貴司です。
 
 私が送りました「それでも農業に生きる」[CML:00362]に対して、石垣さん
[CML:003643]が、レスを送ってくださいました。
 
 ありがとうございます。
 
 石垣さんが指摘された通り、日本が真に自立していないのは、食料が自給でき
ない、というより、自給できなくさせられているからです。日本の農業は、自給
どころか、輸出さえできるのです。資源小国日本とよく言われていますけれど、
農業に欠かせない水資源は、世界でも有数の豊かな国です。また、農業生産性は
きわめて高いのです。
 
 それが世界一の食料輸入国になっているのは、農業問題で以前から鋭い指摘を
続けてきた小説家、井上ひさしさんが著書「コメの話」・「どうしてもコメの話」
(新潮文庫)で述べているとおり、1950年代ごろから、アメリカ政府と農業
族議員、農業関係団体、そしてアグリビジネス企業が一体となって、余剰になっ
たトウモロコシや小麦、大豆などの穀物を日本人に消費させるため、貿易の自由
化という大義名分を振りかざして圧力をかけ、工作活動したからです。
 
 コメやイモ類が主食であった日本人の食卓が、パンや肉類、乳製品中心になっ
たのは、1950年代から70年代にかけて、栄養改善キャンペーンなどと称し
て、アメリカのバックアップで大々的なプロパガンダを行った結果です。そして、
輸出補助金をつけて価格を安くしました。
 
 これにより、アメリカ側の思惑通り、日本では、コメの消費量が減少し、小麦
やトウモロコシ(牛やブタの飼料を含めて)の消費量が激増しました。日本人の
胃袋は、アイオワやモンタナなどのアメリカ中西部のトウモロコシ畑や小麦畑、
コロラドの牧場に依存しています。工業では日米は対当かもしれませんけれど、
農業では完全に日本はアメリカに従属しています。もし、アメリカが日本への穀
物輸出をストップしたら、日本は飢餓地獄に突き落とされます。
 
 そして、農産物輸入自由化を行った結果、日本はアメリカ以外に、世界中から
食料を輸入するようになりました。カナダ、中国、オーストラリア、台湾、タイ、
ニュージーランド、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、フィリピン、イン
ドネシア、ブラジル、アルゼンチン・・・。「国産和牛」・「国産ブタ」と銘打
ってあっても、アメリカやカナダのトウモロコシや麦で太らせたものです。国産
の大豆や小麦で製造した豆腐やうどん麺はほとんど見たことがありません。
 
 次に、私が日本の食料輸入に懸念を抱いている理由の一つに、水資源の略奪と
いうことがあります。
 
 農業に水は欠かせません。大量の水が必要です。農産物に姿を変えた水という
視点で見ると、日本は世界一の水輸入国になります。水不足が深刻な中国やオー
ストラリアからも大量に食料を輸入している日本は、水が少ない国から水を奪っ
ていると言えます。
 
 このままだと、日本は「砂漠化を進行させている国」として叩かれるだろうと
思います。
 
 さて、このような状況に長年ペンで戦っている農家を私は一人知っています。
佐賀県唐津市で農業を営んできた山下惣一さん(1936年生まれ)です。
 
 農業の「の」の字を知らないくせに、やれ、日本の農家は甘えているだの、補
助金泥棒などと言う連中に対して、農業の現場から反撃し続けてきた人です。
 
 以下の著作があります。
 
  『海鳴り』(1969年)
  『減反神社』(1979年)
  『ひこばえの歌』(1981年)
  『身土不二の探究』(1998年)

編著、共著書 
 『安ければ、それでいいのか!?』編著(コモンズ、2001年)
  『百姓が時代を創る』大野和興との共著(七つ森書館、2004年)
  『儲かれば、それでいいのか』本山美彦、三浦展、古田睦美、佐久間智子との
共著(「環境・持続社会」研究センター、2006年)
  
  ウェブで以下のエッセイが読めます。
  
  みなとん里だより〜山下惣一 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
  http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/sato/
    
  惣一つぁんの酒のみ話 : 九州発 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
  http://kyushu.yomiuri.co.jp/magazine/sakenomi/
  
  山下惣一:「誤解」だらけの農業問題(2) (News Spiral)
  http://www.the-journal.jp/contents/newsspiral/2009/08/2_5.html
  
  また、農業をしたことが全くない二人の大学生が、トウモロコシ栽培を行うこ
とによって、アメリカの農業の歪みと食糧問題を肌で知るドキュメンタリー映画
があります。
  
  キング・コーン
  http://www.espace-sarou.co.jp/kingcorn/top.html
  
  DVDも発売中。
  
  補助金なしではやっていけない低価格、規模拡大の影で次々に離農する農家、
大量の化学肥料使用と、生では食べられない遺伝子組み換えトウモロコシ、銃や
麻薬よりも深刻な糖尿病の蔓延などを明らかにしていきます。
  
坂井貴司
福岡県
E-Mail:donko at ac.csf.ne.jp
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