[CML 001485] 八ッ場ダム問題 日刊ゲンダイの2つの記事(参考になります)

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 9月 27日 (日) 10:30:01 JST


八ツ場ダムに関する日刊ゲンダイの記事を二つ紹介させていただきます。

ひとつは高野孟さん(フリージャーナリスト)がTHE JOURNALのご自身のブログで紹介されている日刊
ゲンダイの「八ッ場ダム関連に国交省176人天下り!」という記事。

■八ッ場ダム関連に国交省176人天下り!(高野孟の極私的情報曼荼羅 2009年9月26日)
http://www.the-journal.jp/contents/takano/2009/09/176.html

上記は「今日(注:25日付)の『日刊ゲンダイ』の大見出し。これはかつて長妻昭=厚労省が07年に国
交省から得た資料として公表して話題になった数字」だそうです。

以下は同記事を読んでの高野さんの感想の要旨。

「(財)国土技術センター、(財)ダム水源地環境整備センター、(財)ダム技術センターなど八ッ場ダム
に関わる公益法人7団体に04年現在で25人、同ダムの建設工事を落札した土建会社やコンサルタン
ト会社など企業37社に03?05年の間に52人、さらに随意契約業者57社には99人、合計176人の国交省
OBが天下っているという」

「これは、04年前後の数年間でそうだったという話だから、発端から57年も経っている長い歴史の中で
一体何人の天下り官僚がこの愚劣極まりない計画でメシを食ってきたのだろうか。恐らく1000人は下る
まい」 

「『これじゃあ簡単には建設を止められないわけだよな』と妙に納得してしまった」

ふたつ目は翌日26日発売の日刊ゲンダイ記事(2009年9月28日付)。

「八ツ場ダム 隠され続ける地元への巨額補償金」「大マスコミがこの問題を避けている限り混乱は続
く」という見出しを掲げて、さらにこの問題の追跡記事を書いています。

同記事中の「テレビに出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、『群馬を牛耳ってきた自民党の関
係筋ばかり』(事情通)」、また「彼らを”推進派”に押しやっているのが『補償金』だ」という指摘は的を得
た指摘のように思います。同記事の抜粋が他のMLに紹介されていましたので、以下、転送させていた
だこうと思います。ご参照ください。

【「日刊ゲンダイ」(2009年9月28日付、発売日同26日)】(記事抜粋)
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 群馬県は総理大臣を4人も出した保守王国だし、長野原町には古くから地元のドンもいる。テレビに
出て、ダム中止に怒りをあらわにする住民は、「群馬を牛耳ってきた自民党の関係筋ばかり」(事情通)
だという。そうでない地元民は、「おかしいと思っても口には出せない。あからさまにダム建設の中止を
訴えれば、あとで何をされるか分らない」と語る。しっぺ返しを恐れているから、反対の声が聞こえてこ
ないわけである。ダム中止反対は、いわば「つくられた民意」(前出の事情通)というから変な話しだ。

 もうひとつ、彼らを”推進派”に押しやっているのが「補償金」だ。これまでほとんど報じられていないが、
この問題が地元民を縛っている。

「補償金問題は表に出ず、ブラックボックスになっているのが現実です。」

 こう指摘するのは、「八ッ場ダム・足で歩いた現地ルポ」の著者で、ジャーナリストの鈴木郁子氏だ。
水没する世帯や田畑の所有者に対する具体的な説得は1980年代から始まった。しかし、ハッキリし
ないことばかりだ。

「立ち退きのための補償金については個々の家の資産によってマチマチで、どこも言いたがりません
し、情報公開を取っても非開示なのです」(前出の鈴木郁子氏)

 本誌の取材では最高の家で10億円近いが、確たる話ではない。自公政権時代の国交省は地元説
明会でさえ、下流都県から契約済みの家に支払われる感謝のお金に関する資料は配布しなかったと
いう。一説には一戸当たり800万円くらいとされていたようだが、よほど公表されたくない金額なのか
と勘ぐられても仕方ない。

 移転を決意した人にとって、こうした補償制度が見直されたり、元に戻ることが怖い。それで「ダム建
設を計画通りに進めてほしい」の合唱になるわけだ。すでにダム建設予定地周辺には、道路建設費も
含めて3217億円の税金が投じられている。ダム本体建設にはさらに1400億円が予定され、そうい
った工事をアテにしている地元民も多い。地元観光協会や旅館関係者はダム完成後の新しい観光地
に期待している。ここで中止は死活問題というのもうなずける。

 しかし、民主党は生活再建を支援するための特別措置法を準備し、何も過去の補償金を召し上げる
つもりもない。国が買い上げた田畑をもう一度借りて農業を続ける方法だってある。

 世間は水没住民に同情する人ばかりではない。騒動拡大以来、長野原町の役場には全国から「ダ
ム建設中止は当然だ」「地元だけの損得で反対するな」という抗議の電話が殺到している。

 政権交代の意味を深く考えない民放テレビのワイドショーや大新聞は「地元民がかわいそう」の論調
でやっているが、この調子だと「地元のエゴじゃないのか」の大反発をくらいかねない情勢だ。
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東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp






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