[CML 001483] 内海愛子教授インタビュー
half-moon
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2009年 9月 27日 (日) 08:43:58 JST
半月城です。
今年8月、ソウルで開かれた歴史NGO世界大会に出席された内海愛子教授のインタ
ビュー記事が「東北アジア歴史財団ニュース」10月号に掲載されました。先生のひた
むきな情熱に心を惹かれましたので翻訳文を掲載します。翻訳は機械翻訳に若干手を
加えた程度なので、日本語として少し読みづらいかも知れません。
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内海愛子教授インタビュー
“被害者を加害者にした歴史を正してこそ”
東北アジア歴史財団ニュース、2009年10月号
文_イ・ユンジョン
歴史は忘れられる過去でなく、現在とともにして未来に影響を与える生きた現実だ。
未来の責任を負っている青少年らは誤った過去の歴史を正しく知り、それを土台に歴
史の葛藤を平和的に解決していく見解を持たなければならない。 このような趣旨で
去る8月に開いた第3回歴史NGO世界大会ではBC級戦犯問題など、韓国・日本歴史関連
の主題を持って専門学者と青少年らが一緒にする‘歴史対話’時間が用意された。
ここで30年間余り戦犯問題,戦後補償問題を研究してきた内海愛子教授に会った。
韓国まできて,孫のような高校生らと会って講演して話を交わしたが所感は?
今日講演に自ら参加した学生たちは特別な問題意識を持っている優秀な学生たちだ。
歴史に距離をおいて,特別な意識なしに生活している学生たちが多いが,このように歴
史の影響を感じて,関心を持って勉強しようとする若者たちが育っているという事実
を確認できてうれしく、喜ばしい。 歴史に対する情熱を見せる美しくて純粋な学生
たちを見ると韓国の未来が明るいという気がした。
歴史問題、特に戦争責任問題,戦後補償問題に個人的に関心を持つことになった契機
は?
偶然に在日朝鮮人差別に対して書いた一編のドキュメンタリー本を読み、それまで知
らなかった事実にびっくりした。 二十三才の教師であった当時,これからどのように
生きていくべきなのか悩んでいたが、そのことを契機に日本の歴史をもう一度振り
返ってみる仕事をしなければならないと決心した。 教師の仕事を辞めて大学院を
通って,在日朝鮮人関連主題で論文を書いたりもしたが、当時そのような主題で論文
を書けば就職も難しいと、指導教授をはじめ周囲で引き止めた。 就職できなくても
関係ないとし,論文主題に固執して着実にそのテーマで調査,研究をした。 おかげで
就職はとても遅く,46才でまたすることができた。(笑い)
研究をしながら困難は?
まず資料を調査する時,望む資料を求めることができないという困難がある。 日本で
は資料公開に制限が多くて見られない資料がある。 日本植民支配時期に徴用された
朝鮮人らに支給されなければならない供託金リストを要求すれば、金額だけあって受
ける人の名前は消したまま出てくる場合が一例だ。 政府で意図的に隠そうとするこ
ともあり、無視することもある。 それで資料調査のために米国,オーストラリア,イ
ンドネシアなど関連国家を直接尋ね歩いた。 おかげで日本軍に徴集されて,インドネ
シアで仕事をしてインドネシア独立運動に功績を立てた朝鮮出身の梁チルソンのよう
な人物を探して,光を当てることができた。 余裕があって海外を回って調査をしたの
ではない。 アルバイトをしながらお金を集めてリュックサックを持って通って貧し
い旅行をしたが期するところがあって大変ではなかった。 問題意識があって意欲が
あれば方法はいくらでもある。
日本の科書問題に見られるように、現在の歴史教育は平和共存を目指した教育よりは
自国の優越主義を強調する教育に向かっているようだが、これに対する意見は?
教育が政府権力から自由で中立性を持たなければならないのに、現在の日本ではそう
なるのが難しい状況だ。 教科書採択問題に先立ち教科書を採択するシステムの変化
がなければならない。 これのために日本教師たちは1950年代からずっと戦ってき
た。 それだけに教師たちのこういう運動のおかげで扶桑社教科書が広く採択されな
くなっている。 教科書問題は政治とも関連がある問題だから容易ではない。
現在は子供たちを教える先生らが力を蓄え,正しい方向に引っ張っていくことが方法
だと考える。 そのためには先生らが力量を育む時間,勉強できる自分の時間を確保し
なければならないのに現実がついていかない。 とても忙しくて,時間がない。 その
ため、政府で提供する指導要領のとおり教えることになる。 先生らの権利を保障し
て,研究をしながら自ら感じて悟って,共に変化を作る運動をできるように環境を作る
運動をできるように環境作りをすることが必要だ。
国の未来のために,今後の歴史のために若者たちが自らできることを助言するなら?
直接海外を回って資料調査をする時,“日本人より韓国人がさらに悪い。 悪質だ”の
ような話をたびたび聞いた。 捕虜収容所で捕虜生活をした戦争被害者と家族らがそ
のような話をした。 これらは捕虜収容所で見張り役をした朝鮮人を思い出させて歯
ぎしりしたが,これは誤った状況だ。 日本によって連れられてきて,監視人にされ,任
務を果さなければならなかったその朝鮮人も被害者だ。 それにもかかわらず、却っ
てBC級戦犯で裁判を受けて刑務所暮らしもしたが日本政府から疎外され,日本でも韓
国でもまともに生きることができなかった朝鮮人らがいる。 そのような事実をそこ
まで知らずにいる人々が多い。
若い世代はその事実を正しく知って,正しく伝達しなければならない。 それに対し
て,説明をしなければならない。 そのためには問題意識を持って,歴史に関心を持っ
て勉強をしなければならない。 まず、最も簡単に開始できるのは、両親,祖父母,親
戚らが体験した歴史に関心を持ってインタビューをしてみよう。 彼らの人生が歴史
で,彼らの証言が資料だ。 その資料が土台になって,また他の気がかりなことが生
じ、また調査して研究できる基礎になるだろう。
今年で3回目を迎えた歴史NGO世界大会が日本の平和運動家や市民社会ではどんな意味
があるだろうか?
歴史NGO世界大会は充分な支援と大きいエネルギーが必要な行事だ。 日本では簡単に
開かれることはできない行事なので参加して大いに驚いたし,羨んだ。 “これがまさ
に韓国の力だな”と感じた。 歴史をテーマとする世界のNGOらが集まって交流するの
は良い機会だ。 こういう交流の回数と時間がこれからますます増えなければなけれ
ばならないと考える。 歴史NGO世界大会に望むなら、学生たちと戦争体験者などが
一ヶ所で会うことができる対話の場をさらに多く作ることだ。 本と資料で見ること
よりは体験者などに聞く一言がより一層関心を呼び起こし、直接動かすことができる
動機になるためだ。
内海愛子
恵泉女学院大学教授,日本朝鮮研究所研究員,インドネシア パジャジャラン大学講師
などを歴任した。早稲田大学で社会学を専攻し、現在日本早稲田大大学院客員教授で
日本とアジア関係,戦後補償問題に関心を持ってアジアの歴史および平和に関し研究
している。
http://www.historyfoundation.or.kr/data/Newsletterlist/0910/sub02.html
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