[CML 001315] 弁護士が依頼人の住所をネット上で公開

Hayariki hedomura2 at hotmail.co.jp
2009年 9月 12日 (土) 17:44:42 JST


インターネットは組織力や資力に欠ける個人に情報発信能力を付与し、大組織の不正
を糾弾できるようにした点で大きな功績がある。一方で匿名性を隠れ蓑にしたイン
ターネット上の誹謗中傷の問題が指摘される。本記事では弁護士が誹謗中傷への対処
法を誤って事態を悪化させた事例を紹介する。
問題はインターネット掲示板「2ちゃんねる」の大手金融グループに属する資産運用
会社についてのスレッドで起きた。このスレッドでは名指しで「かなりのノイローゼ
野郎と聞いたことがある。協調性も無く、上司や同僚と問題起こしては、会社辞めて
転々としてるんだと。辞めたのは会社に居場所が無くなっただけ。決して優秀だから
ではないと思われ。」との書き込みがなされた。当初の書き込みは2008年12月になさ
れ、2009年1月にも同内容がコピー・ペーストされた。
これに対して書き込まれた人物D氏はN弁護士を代理人に立て、西村博之氏を債務者と
して、書き込みの削除を求める仮処分を東京地方裁判所に申し立てた(平成21年
(ヨ)第2206号)。D氏側は「投稿内容が私人に過ぎない債権者(注:D氏)の病歴、
会社員としての資質に問題があるとの指摘であり、債権者の社会的評価を低下させる
事実の摘示である」と主張した。
東京地裁は2009年8月6日、担保を立てさせて仮に削除することを命じる決定を出し
た。西村氏は2009年1月2日に「2ちゃんねる」をシンガポール企業PACKET MONSTER
社に譲渡したと発表しており、西村氏への仮処分決定が「2ちゃんねる」に対して効
力を持つかは疑問であるが、本記事で扱う問題は別にある。
この仮処分決定を根拠にN弁護士は「2ちゃんねる」に削除依頼をしたが、問題はN弁
護士が削除依頼の根拠として仮処分決定書をインターネット上に公開したことにある
(2009年8月18日)。N弁護士は仮処分決定書をスキャンし、PDFファイルの形式で
サーバにアップロードした。このPDFファイルでは債務者の氏名や住所を墨消しして
いたが、それはPDFファイルの操作で墨消しを表示させないようにすることも可能で
あった。
この結果、D氏の氏名や住所が「2ちゃんねる」の当該スレッド閲覧者に周知のもの
となってしまった。N弁護士は「2ちゃんねる」の書き込みが個人を特定し、その社
会評価を低下させると主張して仮処分を申請した筈だが、自らの行為によって依頼人
が一層特定され、プライバシーまで危うくしてしまった。削除依頼スレッドでは「債
権者の氏名・住所等の個人情報を弁護士事務所の方が全世界に向けて公開するのは問
題にならないんですか?」との書き込みがなされている。
問題の書き込みは8月26日現在も削除されていない。法律専門家がインターネットの
進歩にキャッチアップできていないと指摘されているが、弁護士の対応誤りによって
依頼人の立場を一層悪化させた事案である。
http://netnews.222.co.jp/netnews.php/articles/detail/SN/40316
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