[CML 001802] Fw: 反貧困ネットワークの「貧困率測定についての声明」
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 10月 26日 (月) 09:54:43 JST
厚労省はこの20日、国民の経済格差を表す指標である「相対的貧困率」を初めて発表しましたが、
この厚労省発表の貧困率測定の問題点、同測定の本来のあり方について、反貧困ネットワークが
10月24日付で声明を発表しています。
「貧困率の統計は子ども・母子家庭・父子家庭・若者・女性・高齢者・外国籍・障害、基礎疾患をもつ
人など特に貧困に陥りやすいグループ、ならびに雇用労働者について個別に算出すべきである」こ
と、「また統計はすべて男女別統計であるべき」ことなどを指摘しています。
以下、同声明の転載です。ご参考にしてください。
東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
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貧困率測定についての声明
http://www.k5.dion.ne.jp/~hinky/seimei/091024hinkonritsu.html
2009年10月24日
反貧困ネットワーク
(代表 宇都宮健児)
2009年10月20日、政府は日本の相対的貧困率を15.7%と算出・発表した。私たちは、日本政府
がついに政府公認の貧困率を算出したことを強く歓迎する。
これまで、貧困率についての政府の態度は極めて曖昧だった。OECD基準による相対的貧困
率は政府資料(厚労省「国民生活基礎調査」資料)に基づいているにもかかわらず、政府として
それを公認することには消極的で、他方で「絶対的貧困は大したことない」との言辞を繰り返して
いた。貧困問題に関わり、現場の切実さを日常肌身に感じている私たちからすれば、そうした政
府の姿勢は単に「逃げをうっている」以外の何物でもなく、端的に言って無責任と映っていた。
日本政府が貧困率を公認したのは、1965年以来である。歴史的な政権交代の果実として、半
世紀ぶりに政府は日本の貧困問題に向き合う意志をもった。日本の貧困問題は、これにより、
ついにスタートラインに立った。
大切なのはここからである。
スタートラインから、どこに向かって、いかに駆け出すか―私たちは、政府が次のような課題を
検討し、実行することを求める。
一、 OECDの相対的貧困基準は、国際比較のための指標である。日本には別途生活保護基
準がある。国民生活基礎調査を生活保護基準で分析する貧困率測定を併せて行うべきである。
専門家によれば、技術的には2〜3ヶ月で可能。年内の発表を目指すべきである。
二、 貧困率の統計は子ども・母子家庭・父子家庭・若者・女性・高齢者・外国籍者・障害、基礎
疾患をもつ人など特に貧困に陥りやすいグループ、ならびに雇用労働者について個別に算出
すべきである。また統計はすべて男女別統計であるべきだ。
三、 今回の発表で、貧困率が1998年以来傾向的に上昇し続けていることが明確となった。なぜ
1990年代の「失われた10年」からの脱出期に、そして2002〜07年まで続いた戦後最長の好景気
時に、貧困率が上がり続けたのか。1990年代以降一貫して推進されてきた、いわゆる「構造改
革路線」の総括的評価を行うべきである。
四、 厚生労働省はすでに、国民生活基礎調査の低所得世帯再分析などを行うことを決定して
いる。すみやかに調査を実施し、貧困状態にある人々のより具体的な生活実態を把握し、必要
な対策を行うべきである。また、国民生活基礎調査からは、若年単身世帯やホームレス状態に
ある人々・外国籍者が把握できない。補完的な調査を実施し、より正確な貧困率を把握すべき
である。
五、 貧困率15.7%という厳しい実態を直視し、貧困率削減目標とそのための行動計画を立て
るべきである。このままでは、日本は荒廃し続け、持続可能な社会ではなくなる。経済成長率の
みに一喜一憂するこれまでの姿勢を改め、貧困率の削減を国の重要な長期戦略の一つに明確
に位置づけ、それに向けた諸政策の総合を図るべきである。大切なのは「暮らしのための政治」。
その成否は、まさに貧困率削減によって達成される。
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