[CML 001623] 祝島の人びとの闘いと抵抗権について〜祝島・中国電力埋め立て工事強行着手

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 10月 8日 (木) 18:46:43 JST


中国電力は昨日7日、とうとう上関原発の海面埋め立て工事に着手しました。

祝島の漁船やシーカヤックがブイの積み出しや台船の接岸をを阻んでいた田名埠頭とは別の
場所から工事区域を示すブイ2基をひそかに運び出し、建設予定地沖に設置したということで
す。中国電力は 「台風接近中に埋め立て作業をするようなことはいくらなんでもしないだろう」
という祝島の人びとや同支援者の「善意の期待」を裏切って、いわばだまし討ち的に同埋め立
て工事に着手した、ということになります。

■中電、上関原発工事に着手(中国新聞 2009年10月8日)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200910080029.html

ある人が台風下のだまし討ち的な埋め立て工事着手を知り、怒りの思いで工事準備事務所
に「海が危険な状態で作業して、作業員の身にもしものことがあったらどうするんですか?」と
電話で糾したところ、担当者と称する男が出てきて「昨日の作業の時点では、海はまだ安全
でした」などとのたもうたそうです。ある人は続けて次のように問いました。「地元の方の反対
の声も、県外からの多くの反対の声も無視して、どうして工事を強行したのですか?」。担当
者の応え。 「県からの許可を得てますし、(マスコミの)取材も受けています」。

ある人はさらに次のように言ったそうです。「県からの許可があれば、地元の方の反対の声
は無視してもいいというのですか?」。担当者はここで斬り返してきました。「工事に反対する
ためなら、違法な行動に出てもいいのですか?」ある人も負けじと斬り返しました。「そこに住
んでおられる方が、自分たちの生活を守るために、阻止行動に出ることは当然のことです」。 
担当者。「なるほど・・・」。ある人は最後に次のように言って電話を切ったそうです。「とにかく、
私以外にもたくさんの方々が反対しておられるので、作業を中止してください」。

私はある人の奮闘を讃えたいと思います。そして、私たちの気持ちを代弁していただいたこ
とに深く感謝したいと思います。それでもある人は言うのです。「祝島の方々、お役に立てな
くてごめんなさい」。

以上は、ある人からのメールを私的に要約したものです。私はある人のメールを読みながら、
その中で触れられている中国電力のある担当者の言葉が気になりました。この中電のある
担当者は自分たち(中電)の行動は「正義(合法的)」だと言っています。法を犯しているのは
お前たちの方ではないか、と。この担当者ならずとも中電の職員であればおそらく同じことを
言ったでしょう。そして実際にそのように思っている(思い込まされている)だろうとも思います。

私たちはこの中電の職員(おそらく職員としては誠実な人なのでしょう)の論理、あるいは思
想なるものを論破しなければならないように思います。その論破のカギはある人が中電の担
当者に反論した「そこに住んでおられる方が、自分たちの生活を守るために、阻止行動に出
ることは当然のことです」という思想に求められるように思います。

わが国の戦後の憲法学界をリードした憲法学の泰斗である宮沢俊義(1899〜1976)はかつ
てその著書「憲法供廖瞥斐閣、1959年)でアメリカ独立戦争やフランス革命の理論的根拠と
なった基本的人権のひとつである「抵抗権」と日本国憲法との関わりについて次のように述
べたことがあります。 

「個人の尊厳から出発するかぎり、どうしても抵抗権をみとめないわけにはいかない。抵抗
権をみとめないことは、国家権力に対する絶対的服従を求めることであり、奴隷の人民を
作ろうとすることである」(『憲法II』第三章 第三節「抵抗権」)
http://www.eris.ais.ne.jp/~fralippo/demo/review/MZT031228_resistance/

宮沢によれば、「抵抗権」とは、権力の行使に課された憲法的な限界を公権力に守らせる
ための保障手段のひとつです。宮沢は、その「抵抗権」の思想は、憲法に明文上の規定
こそないものの、実定法に優越する自然法的法益として憲法上認められる権利である、と
いうのです。最近ではこの「抵抗権」の思想を「この憲法が国民に保障する自由及び権利
は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と規定する憲法第12条
に求める説も有力なようです。

この宮沢俊義の「抵抗権」理論について、弁護士の中谷雄二さんが平和の課題と抵抗権
という形で小論(講演録)を述べておられます。長いので省略しますが、下記にその講演録
にリンクを貼っておきますのでご参照ください(PDFの新規検索欄に「抵抗権」と記入して
検索すれば容易にその要旨を掴むことができるように思います)。

■「戦争をしない国に生きる権利」中谷雄二弁護士の講演
http://www.haheisashidome.jp/shiryou/nakatani20050311.pdf

祝島の人びとの阻止行動は、自分たちの生活を守るための憲法にも保障された基本的
人権のひとつともいうべき「抵抗権」の発露そのものです。国家や自治体、中国電力の説
える「順法」論など憲法の基本的理念すら知らない者の無知の論にすぎません。

中国電力の埋め立て工事の強行着工を決して許すことはできません。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp




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