[CML 000085] 朝日新聞コラムニスト・早野透氏の「ポリティカにっぽん 鳩山氏の『友愛』」の読み方
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 5月 25日 (月) 14:40:23 JST
下記は、市民社会フォーラムMLに転載されていた以下の記事への私の批判文です。
手前味噌ですが、大切な観点を含む論説だと思います。本MLにも転載させていただこうと思います。
■〔民主党叩き〕読売新聞は「見出し」を使っての“印象操作”が凄い
http://alcyone.seesaa.net/article/120115769.html
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はなゆーさん
はなゆーさんは、前回に引き続き今回も《おまけ》として『きっこの日記』の「麻生首相が3大紙の記者らと
会食」(http://www3.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=338790&log=20090521)という記事を肯定的、好意的に
紹介されています。 が、私は、その「肯定」を肯うことはできません。若干、私の意見を述べます。
21日付の首相動静を伝える産経新聞「麻生日誌」の《注》まで入れて、上述の記事を紹介されているの
は、同21日付朝日新聞の「ザ・コラム」欄に掲載されている同紙コラムニストの早野透氏の「ポリティカ
にっぽん 鳩山氏の『友愛』」の記事について批判的な見解を述べている同ブログの筆者、きっこさんの
見解にあなたも共感されてのことなのでしょう。
しかし、私は、この点の判断について、きっこさんの目は曇っていると思います。
第一、早野透氏が麻生首相との会食にジャーナリストのひとりとして招かれた翌朝の朝日新聞に同氏
の民主党を批判する「鳩山氏の『友愛』」という記事が載った、というような書き方は、いかにも早野氏が
麻生首相に供応買収されて同記事を書いたかのような印象を読者に与えます。あなたが標記で批判さ
れる「印象操作」という点でいえば、このきっこさんの文章こそ「印象操作」の見本のような文章だと私は
思いますが、いかがでしょう?
きっこさんもそこまでは言っていませんが、私は、ジャーナリストが総理大臣と慣例的に年に1回か2回
程度会食することが悪いことだとは思いません。ジャーナリストにとってえ総理大臣を含む政治家は重
要な取材対象であり、貴重な情報源でもあります。また、政治家の側にとっても自らと自らの党派の政
治理念などを広報するためにもジャーナリストの面々は重要な存在であるはずです。
“ウォッチドッグ”(権力に対する監視者)であり続けることがジャーナリズムの最大の役割というべきで
すから、その意味で、取材する側と取材される側とに分岐する両者の間には適切、相応な緊張関係が
必要であることはいうまでもありませんが、そのような関係だからこそなおさら、時としてお互いの労を
思いやり、懇親(懇親に会食はつきものです)を深めるということがあってもよいのではないか? もち
ろん、懇親(会食)が馴れ合いに結びつくようであれば批判されるべきですが、懇親(会食)したからと
いって適切、相応な緊張関係が保てなくなるなどとは私は考えません。ときに公私の区別もつかないご
仁がいることは確かですが、そういう輩は総体から見ればほんの一部です。立場を異にする者同士の
懇親を拒む風土が仮にあったとして、そのような風土こそ私は憂えます。
また、報道された総理大臣とジャーナリストの「会食」が「首相持ち」だったかどうかも実のところ定かで
はありません。官官接待、官民接待に批判的な折柄、「会食」の会費はジャーナリスト側の自腹だった
かもしれません。あるいは、首相側のいわゆる交際費から支出されたとしても、私は、上記の意味で、
非難されるべき経費の支出とも思いません。
さて、肝心の朝日新聞コラムニストの早野透氏の「鳩山氏の『友愛』」という記事についてです。
きっこさんは、早野氏の記事について、「『(鳩山氏は)『小沢傀儡(かいらい)ではないか?』『友愛が
本物ならば、民主党は官僚をやっけろと言うだけでなく、貧困を正面から見据えるべき』『労働者派遣
法の改正問題を民主党はいつまでぐずぐずしているのか』などと書きつらね、本来は政官財癒着の
自公政権が原因の数々の問題に対して、あたかも民主党に責任があるかのような論調でまとめてい
る」と批判的ですが、私は早野氏のこの指摘はきわめてまっとうな指摘だと思います。
第一。ここでもきっこさんはズルイ書き方をしていますが、早野氏は「(鳩山氏は)小沢傀儡ではない
か?」などとは述べてはいません。先日、鳩山氏の祖父の元首相の旧邸で「由紀夫、邦夫兄弟の祖
父一郎のころからそばにいて、『友愛』運動に献身してきた人である」川手正一郎さん(76)と会ったと
き、その川手さんと「小沢氏の傀儡といわれないようにしっかりしなければね、などと語り合った」と書
いているだけです。同記事のトップの見出しも「小沢氏を乗り越えられるか」です。早野氏はむしろ「小
沢氏を乗り越えてほしい」と鳩山氏を激励しているのです。ここでの早野氏の文章の意はそういうこと
です。それをきっこさんは「(鳩山氏は)小沢傀儡ではないか?」とつくりかえて、おそらくわざと早野氏
の意を曲解しています。
第二。「友愛が本物ならば、民主党は官僚をやっけろと言うだけでなく、貧困を正面から見据えるべ
き」「労働者派遣法の改正問題を民主党はいつまでぐずぐずしているのか」というのは句読点、カッコ
を除いてそのとおりの引用ですが、早野氏はここでも「自由が過ぎれば平等が失われ、平等が過ぎ
れば自由が失われる。この両立しがたい自由と平等を結ぶかけ橋が、友愛という精神的きずなであ
る」という本来の「友愛」の意味を説く鳩山氏の言葉を引用した上で、その言葉が「本物ならば」「『官
僚』をやっつけろと言うだけでなく、『貧困』を正面から見据えるべきだ」「労働者派遣法の改正問題を、
民主党はいつまでぐずぐずしているのか」と、その「友愛」の精神を支持する立場から、そのことを民
主党の政策として「正面」に掲げなければ「本物じゃないよ」とむしろ鳩山・民主党を激励している文章
と読むべきなのです。
「本来は政官財癒着の自公政権が原因の数々の問題に対して、あたかも民主党に責任があるかの
ような論調でまとめている」という読み、そして早野氏批判は、「(政権交代を実現させるためには)な
にがなんでも民主党を支持すべきだ」という気持ちだけが先走ったまったくの読解ミスといわなければ
ならないでしょう。
早野透氏の文字どおりジャーナリストしての懇切な記事を読み誤るような記事をこれからも書き続け
るとするならば、そしてそれを無批判に転載する行為を繰り返すならば、きっこさん、またはなゆーさ
んの意に反して、その記事は、民主党支持者を増大させるどころか、かえって民主党批判者を増大
させるばかりということにもなりかねないでしょう。
私として、そのことを強く指摘しておきます。
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東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
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