[CML 38] 今日から裁判員制度がはじまりました
higashimoto takashi
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 5月 22日 (金) 00:18:42 JST
今日21日からいよいよ問題多き裁判員制度が心ならずも施行されることになりました。
この裁判員制度の問題点に関して、この2、3日の間に特記すべきことがいくつかあったように
私としては思います。
1つ目は、いまの裁判員制度で果たして性暴力被害者の安全とプライバシーは守れるか、とい
う問題です。
この件に関してアジア女性資料センター が下記のような問題提起をしています。
■【緊急署名】裁判員制度における被害者のプライバシー確保を求める要請にご協力ください
(2009-05-17 )
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=454
上記で指摘されている点は裁判員制度そのものの問題性を考える上でもとても重要な観点だ
と思います。ぜひご一読ください。ただし、署名は一応一昨日締め切られました。今後2時募集
も計画されているようです。
上記の署名を持って一昨日アジア女性資料センターなどの女性団体が最高裁に申し入れをし
ています。
■裁判員制度:性犯罪被害者の2次被害防止を 女性団体要望
(毎日新聞 2009年5月19日)
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090520k0000m040086000c.html
■性犯罪被害者の個人情報保護を 裁判員制度で女性団体など要請
(共同/日本経済新聞 2009年5月19日)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090519STXKC055719052009.html
その最高裁への申し入れの報告が下記です。
■最高裁申し入れのご報告
(2009-05-20)
http://ajwrc.org/jp/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=455
アジア女性資料センターの報告(↑)によれば、上記の緊急署名は「日曜日の夜9時頃から呼
びかけを始めて火曜日の13時頃まで、2日間にも満たないわずかな時間の間に、52団体844
名もの賛同が集まりました」とのことです。スゴイことです。この問題に対する女性の怒りの凄
まじさのほどが知れようというものです。
2つ目は、下記の記事。
……………………………………………………
■「呼び出されても拒否」=裁判員候補者ら会見−東京(時事通信 2009年5月21日)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009052100380
裁判員制度が始まった21日、制度に反対する裁判員候補者の元中学校教諭の男性(67)
らが東京都千代田区の弁護士会館で記者会見し、「裁判所からの呼び出しに応じる気はない。
(不出頭で)過料を払うのは仕方がない」と訴えた。
男性は候補者に選ばれたとの通知書のコピーを手に「最高裁に送り返した。被告を死刑だ
とか一生監獄に入れるとかを決める仕事はやりたくありません」ときっぱりとした口調で語った。
……………………………………………………
上記の出頭拒否という意思表示、なかなかの提案のように思えます(上記記事中の方は決し
て提案として問題提起されているわけではありませんが)。
不出頭に対する過料が「10万円以下」(裁判員法第112条)というのは痛いですけれども、10
万円以下の過料(過料は刑罰ではありません)で済むならば私も仮に裁判員に選ばれた場合
不出頭を選択したい。そういう気にさせる記事でした。他国での良心的兵役拒否のように、出
頭拒否運動というのもあってもいいのではないか。本気でそう思わせられました。
3つ目。新聞労連・新聞研究部が出した「裁判員制度と報道のあり方に関する見解」。同見解
では裁判員制度の開始に当たって報道各社はそれぞれ事件報道の見出しや記事の表現を
見直す取り組みを始めているが、その背景には「公権力の『圧力』が存在」があったと指摘し
ています。
■裁判員制度と報道のあり方に関する見解(新聞労連・新聞研究部 2009年5月19日)
http://www.shinbunroren.or.jp/oshirase/oshirase.htm
「危惧するのは、今回の各社の報道見直しの背景に公権力の『圧力』が存在したことである。
2004年5月に成立した裁判員法の制定過程で『事件報道に当たり、裁判員らに偏見を生ぜし
めないよう配慮しなければならない』とのメディア規制の条項が検討されたが、日本新聞協会
などが自主的な取り組みに委ねるよう求め、与党が法規制を当面見送った経緯がある。08
年1月、新聞協会が公表した「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を受けて各社
が事件報道のガイドラインを定めるなどして見出しや記事表現の見直しを始めた。新聞協会
は自主性を強調するが、こうした取り組みは外部からの『圧力』で生まれたと言わざるを得な
い」
メディア関係者自身が反省的に上記の指摘をしていることは重要な点だと思います。
東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
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