[CML 000288] 共産党「先祖返り戦略」再び? 共産党第8回中央委員会総会の志位報告を読む

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 6月 9日 (火) 22:21:56 JST


6月4、5日に開かれた共産党第8回中央委員会総会(8中総)の幹部会報告で、志位委員長は、
次の総選挙後に成立することが確実視されている自・公政権に代わる連合政権で勢力的な意味
合いでその中心的役割を担うと目されている民主党について次のような評価を下しています。

(1)「自公も民主も(略)日本の政治の行き詰まりの大本にある『二つの政治悪』――異常な財界
・大企業中心の政治、異常な『軍事同盟絶対』の政治を、共有している(略)。一方は、『二つの政
治悪』の担い手の勢力であり、他方もまた、同じ流れのなかにあります。(略)古い行き詰まった
政治の枠組みのなかで、どちらが政権の担い手になろうとも、国民に幸福は訪れないし、日本の
政治の未来は開かれない」(「しんぶん赤旗」 2009年6月6日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik09/2009-06-06/2009060601_05_0.html

しかし、志位委員長は、2007年8月7日にあった共産党国会議員団総会では、「自公の歴史的
大敗をうけて『新しい政治プロセス』が始まっている」という認識を示した上で、民主党などとの野
党共闘のあり方について次のように述べていました。

(2)「一致点での野党共闘に積極的にとりくむ(略)。民主党が参院運営に重要な責任を負うこと
になったとして、『一致点での共同とともに、わが党から積極的に問題提起や必要な申し入れを
おこなっていく』」(「しんぶん赤旗」 2007年8月8日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-08-08/2007080801_01_0.html

上記は、民主党を野党共闘のパートナーと認め、同党を含めて野党共闘を積極的に行っていく
という日本共産党しての立場の表明にほかなりません。

(1)と(2)には理念的に大きな乖離があります。少なくとも私はそう思います。

(1)と(2)の理念的な乖離を選挙前と選挙後の政党の単なる戦略スタンスの違いと見る見方も
あります。選挙前は自党の優位性を主張し、自党と他党との差別化を図るために、激しく他党
批判をする。しかし、選挙が終われば、「共闘できるところは共闘しますよ」というスタンスに戻る、
というわけです。

たしかに選挙戦術として政党間にそういう側面があることを私は否定しませんが、たとえ「一致
点での共同」であるとしても、他党と共闘するという意志を示すからには、その党に対する最小
限の礼節、信頼のようなものは必要です。その最小限の礼節や信頼なくしては野党共闘を云々
してもそれは口先だけのものということにならざるをえないでしょう。どのような形であれパート
ナーシップは信頼と礼節を前提にするはずです。理念を意味するフィロソフィーは、人生観や信
条、 思想をも意味する言葉ですから、理念の中には信頼や礼節という抽象的所作も含まれる
だろうと私は思います。そういう意味で(1)と(2)には理念的に大きな乖離がある、と私は思い
ます。

さて、志位委員長は、上記の幹部会報告の「4、日本共産党の値打ちの全体像をおおいに押し
出そう」で民主党評価の(1)と(2)の相違について、すなわち(1)で民主党を「同じ古い政治の
枠組みのなかで、(自・公政権と)競い合って悪政をすすめている」と評価する理由について、
次の3つの事例をあげています。

 崗暖饑任琉き上げは、麻生自公政権が2011年度までの増税を明記した法律を強行する
もとで国政の重大争点となっていますが、もともと「年金財源のため」として3%という引き上げ
幅まで提示して消費税増税の先導役を務めてきたのは民主党であり、民主党はいまでもこの
立場を変えて」いないこと。

◆崋衛隊の海外派兵問題でも、『海賊対策』を名目に自衛隊派兵をおこなう提案を最初にお
こなったのは民主党」。

「さらに、重大視すべきは、民主党が、『衆議院の比例定数を80削減する』ことを打ち出して
いること」。

しかし、,砲弔い討蓮¬閏臈泙3%の「年金目的消費税」構想を打ち出したのは、志位委員
長が2007年8月の国会議員団総会で「(民主党に)一致点での共同とともに、わが党から
積極的に問題提起や必要な申し入れをおこなっていく」と述べた以前のことです。すなわち、
志位委員長が民主党との「一致点での共同」を追及すると述べた時点でも民主党は3%の
「年金目的消費税」構想を打ち出していたのです。したがって共産党が今回、民主党との「一
致点での共同」を事実上放棄する宣言の理由にはなりえません(「しんぶん赤旗」 2004年4月
13日)。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-04-13/04_05.html

また、についても、民主党が「衆議院比例定数80削減」を打ち出したのは2007年8月の
国会議員団総会以前のことです。これも、共産党が今回、民主党との「一致点での共同」を
事実上放棄する宣言の理由にはなりえません(「しんぶん赤旗」 2005年8月17日)。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-08-17/2005081702_03_1.html

さらに△砲弔い討蓮△燭靴に2008年10月に「『海賊対策』を名目に自衛隊派兵をおこなう
提案を最初におこなったのは民主党」の長島昭久衆院議員ですが、同党の現代表の鳩山由
紀夫氏は2009年1月23日の民主、社民、国民新の野党3党会談で社民、国民新両党がア
フリカ・ソマリア沖の海賊対策に関し海上自衛隊護衛艦を派遣する政府方針に反対するよう
求められて「『一致できるよう努力する』と述べ、反対の方向で調整する考えを示した」という
事実もあります(「民主党 手のひら返して海賊対策に反対」 2009年01月27日)。
http://blog.livedoor.jp/ulado/archives/51085649.html

一部の事実だけで、少なくとも2007年8月の段階では「一致点での共同とともに、わが党か
ら積極的に問題提起や必要な申し入れをおこなっていく」とした政党を評価、判断するのは、
私には思慮ある政党のふるまいとは思えません。

民主党の評価について、「今日の民主党は、自民党政治の『三つの異常』を共有する政党で
あり、政治の基本でどちらかが『よりまし』とはいえないのであります」という同党3中総決定を
引用した上で、「たしかな野党」(共産党)以外はすべて「自公民『オール与党』」であり、排撃
されるべき存在であるとした2007年の共産党の第4回中央委員会総会(4中総)での志位
報告及び結語について朝日新聞は「共産 先祖返り戦略」(2007年5月19日付)と評したこと
がありました。

いままた共産党はさらなる「先祖返り戦略」をとろうとしているように私には見えます。「先祖返
り戦略」は市民から共産党をさらに遠ざけるだけだと私は思います。「蟹工船で共産党入党ブ
ーム」などと自画自賛している間に、一方で市民は共産党から遠ざかっているという事実もあ
るように思います。昨日述べた千葉市長選挙の例はそういう事実の一端です。

下記はそういう私の思いを綴ったものです。載録します。ご一読いただければ幸いです。

■野党共闘指向に方針転換? 日本共産党の今後に期待 いっそうの改革を
(JANJAN 2007/08/11)
http://www.news.janjan.jp/government/0708/0708090560/1.php


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp



CML メーリングリストの案内