[CML 000206] Re: 松原市長選挙の教訓

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 6月 1日 (月) 22:16:07 JST


藤谷さんの下記のご投稿(000192)は私も一般論としては正論だろうと思いますし、藤谷さんの民主
党評価のスタンスや野党共闘についての一般的な考え方についても私は基本的に賛成です。

しかし、藤谷さんの下記のご投稿は、いくつかの点について認識の不備があるように私は思います。

その第一は、今回の大阪府の松原市長選挙での「共産党候補の大健闘」が今回に限っての「大健
闘」と果たしていえるのかどうかという事実認識の問題です。左記の事実認識の問題は、「この結果
は地方選挙の支持(応援)のあり方に大きな教訓となるものと思います」と果たしていえるのかどうか
という問題にもつながっていく問題といえます。この件についての「事実」関係は下記のようです。

まずはじめにここ3回(12年間)の松原市長選挙の開票結果と参考として2004年の参議院大阪府
選出議員選挙の開票結果を下記に示してみます。

(1)松原市長選挙(2001年6月17日)開票結果 投票率41.60%(過去最低)
当 21432 中野孝則(無新、自・民・公推薦、59歳、初当選)  得票率50.55%
   17148 坂田繁数(無新、共推薦、50歳)                         得票率40.45%
    3811 中野俊夫(無新、53歳)                  得票率  8.99%

(2)松原市長選挙(2005年5月22日)開票結果 無投票
当 中野孝則(無現、自・民・公推薦、63歳、2回目の当選)

(3)松原市長選挙(2009年5月31日)開票結果 投票率41.98%
当 23066 澤井宏文(無新、自・民・公推薦、38歳)       得票率55.79%
   18277 梅木佳章(無新、共推薦、58歳)             得票率44.20%

参考:
2004年7月11日 参議院大阪府選出議員選挙開票結果 投票率52.10%(定数3)
                                               松原市     大阪府
当 山下栄一   公明党            13118  795256
当 おだち源幸  民主党       12135  910597
当 北川イッセイ 自由民主党   10865     735164
    辻元清美    無所属       8653     718125
   宮本たけし    日本共産党    7356   442755
     増田義雄      無所属        604    34819
     おおきど豊一 維新政党・新風  188     13916

見られるとおり、今回(2009年)の松原市長選挙の結果と前々回(2001年)の同市長選挙の結果
にはほとんど変化は見られません。今回の選挙では自・民・公推薦の澤井氏、共産推薦の梅木
氏とも前々回に比べてそれぞれ約5%、約4%得票率を伸長させていますが、この票の伸びは
前々回の無所属新人候補(53歳)の得票率8.99%をほぼ互角に分け合った形になっているの
で、この12年間の政党間の勢力関係には変化はない、と見てよいと思います。

松原市を含む参院選挙区からは辻元清美(社民)、宮本たけし(共産)が立候補しており、両者
の得票数を合算すると同市で1位の公明党の獲得票を凌ぎます。同市はもともと革新系が強い
土地柄だから、今回の共産党の「大健闘」になったと判断できます。今回の同市長選の共産推
薦の梅木氏の獲得票も上記参院選での辻元(社民)、宮本(共産)両者の獲得票の合算にほぼ
見合うものになってもいます。 

したがって、今回の共産党の「大健闘」を、今回に限っての共産党の「大健闘」と評価するのは、
論理的な齟齬があるといわなければならないでしょう。今回の共産党の「大健闘」にもちろん私
はケチをつけたいのではありません。以上は事実評価の問題です。

そうすると、今回の松原市長選挙での「共産党候補の大健闘」を前提に「この結果は地方選挙
の支持(応援)のあり方に大きな教訓となるものと思います」ともいえなくなります。これもケチを
つけたいのではありません。論理的な問題です。

藤谷さんの問題提起で気になる第二の点は、いわゆる野党共闘のあり方、殊に民主党と共産
党を含む場合の野党共闘のあり方についてです。野党統一候補として一番の最適者は、各政
党間が合意した政策協定を一定の政党の政策に偏ることなく、公平、平等に実現できる能力を
有する人であり、政党政派に属さず、各政党と等しく同じスタンスを保てる人、ということになりま
すが、そのような条件に合致する人はなかなか見出しがたいというのが野党共闘の現実です。

次善の策として、一定の政党に属していたとしても、もちろん相対的な問題ということにならざる
をえませんが、一定の政党の政策に偏ることなく、公平、平等に各政党と公平、平等に等距離
のスタンスを保てる人を野党統一候補として選択する、ということに現実問題としてはなると思
いますし、そうならざるをえないと思います。

さて、その際、いったい何を基準にして、一定の政党に属する、あるいは属していた経験を持つ
人を統一候補として選択するかということになるわけですが、その基準は、統一候補を出すこと
について合意した政党間のうち、その地域における各種選挙で獲得票の相対的に大きい政党
の推す候補者を選択する、というのがふつうの考え方だと思いますし、それ以外に合理的な選
択の基準は考えられません。

野党共闘を前提に上記のように考えると、松原市という地域での各種選挙で野党の中でもっと
も獲得票の大きい政党は現在のところやはり民主党です(上記「参議院大阪府選出議員選挙
開票結果」を参照)。藤谷さんのおっしゃるように「民主党候補を勝たせるために協力しよう」と
いうことではなく、上記の野党共闘の統一の論理としてそういう選択をせざるをえないのです。
このことは、「民主党が本質的には自民党と大きくは変わらない保守政党である」という革新系
の人びとに多い民主党評価とは別様なことです。上記の論理では、もちろん、共産党がその地
域でもっとも獲得票が大きい政党となったときは、共産党の推す候補者が野党統一候補となる
わけです。

合理的な選択の基準としてそのような選択しか考えられないものを、「(野党統一候補について
の)いつもの論調は、民主党候補を勝たせるために協力しよう、共産党や社民党は独自候補を
立てずに民主党に合流せよ、というものが主になってきました。 今回の結果はこのように単純
な『統一候補』路線の誤りを明瞭に示しています」とはいえないように私は思います。

藤谷さんの問題提起で気になる第三の問題は、「ひどい時には先に名乗りを上げていた共産党
候補に対して『辞退せよ』コールまで起きることもあります」という藤谷さんの認識についてです。
藤谷さんの上記の認識は先にあった東京都知事選のときの統一候補の問題を念頭においての
ものと思われますが、「先に名乗りを上げていた」ことが統一候補となりうる必要十分条件では
ないと私は思います。統一候補となりうる必要不可欠な条件は、同統一候補を政党間で合意す
るに当たっての必要な手続きがきちんと行使されていたかどうかが問題であったと思います。
先の東京都知事選では統一候補について政党間で合意に達する以前に共産党が一方的に自
党推薦候補者を決めてしまっていたことに問題があった、というのが私の見方です。

以上、3点に渡って藤谷さんの問題提起の中で私の疑問とするところを述べましたが、藤谷さん
の民主党評価のスタンスや野党共闘についての一般的な考え方については私も基本的に賛成
だということを前提にした上での私の疑念であることを再度申し述べておきたいと思います。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp

----- Original Message ----- 
From: "藤谷英男" <fujithid at yahoo.co.jp>
To: <civilsocietyforum21 at yahoogroups.jp>; <cml at list.jca.apc.org>
Sent: Monday, June 01, 2009 3:11 AM
Subject: [CML 000192] 松原市長選挙の教訓


> 相模原の藤谷です。
>
> 松原市の市長選挙で自民・民主・公明が推薦する澤井宏文氏が共産党推薦の梅木佳章氏に
> 勝ちましたが、得票はそれぞれ23,066と18,277で共産党候補の大健闘と言える結果でした
>>
> この結果は地方選挙の支持(応援)のあり方に大きな教訓となるものと思います。
>
> この選挙については、前市長のリコール運動に発展した市立病院の閉鎖問題が大きな争点
> であったらしいと言うことぐらいしか知りません。又、地方選挙はその地域に特有の問題
> を巡って情勢が大きく変わるでしょうから、この結果から単純な一般論を引き出すことは
> 出来ないのは言うまでもありません。それを承知でこの選挙から得られる教訓について意
> 見を述べます。
>
> 先ず、共産党単独推薦の候補がこれだけの得票をすることが実際にあると言うことです。
>
> もう一つは民主党は今回、青年会議所理事長である候補を自民や公明と一緒になって推薦
> したことです。このことは民主党が本質的には自民党と大きくは変わらない保守政党であ
> るという体質を明瞭に表しています。小沢氏の前には超右翼の前原氏を代表に選んだよう
> に、市場原理主義と新保守主義の立場でいつでも平和憲法破棄、軍事的拡張、財界本位の
> 行動を起こし得る(可能性が高い)政党としての姿を今回も現していたと言えます。 
>
>
>
> 最近このMLでも盛んだし、これまでも選挙がある度に「野党統一候補を立てようという運
> 動が繰り返されてきました。野党統一候補自体は結構なことですが、いつもの論調は、民
> 主党候補を勝たせるために協力しよう、共産党や社民党は独自候補を立てずに民主党に合
> 流せよ、というものが主になってきました。
>
> 今回の結果はこのように単純な「統一候補」路線の誤りを明瞭に示しています。
>
> いつもの裏返し、もし今回民主党が共産党候補を支持していたら、野党陣営の「大勝」に
> なったことは間違いありません。つまり、単純に言えば今回民主党は民衆を裏切ったと言
> うことも出来ます。社民党に対してもそうですが、特に共産党に対しては、独自候補を立
> てることに民主党支持者側から非難が浴びせられたり、ひどい時には先に名乗りを上げて
> いた共産党候補に対して「辞退せよ」コールまで起きることもあります。
>
> 「よりましな」「勝てる」候補を立てるために革新政党は民主党候補を支持せよと言う主
> 張は一般的には成り立ちません。第一に、よりましと言っても、民主党は大抵自民党と五
> 十歩百歩で、革新勢力になることは殆どありません。また、今回のように「勝てる」とは
> 言えないこともあります。
>
> 投票する民衆の立場からは、その候補が本質的に民衆の側(資本・財界・ファッショ志向
> ではなく)の人であるか、平和と民主主義(こういう言葉は自民党だって誰だって口にす
> る)を断乎守る人か、という最も基本的なことを見極めなければなりません。安易に民主
> 党(系・型)候補への合流を進めることは本当の平和・民主主義(国民主権)勢力の退潮
> を招くことになりかねないと思います。
>
> 民主党は幅の広い政党なので、党員には(平和勢力にとって)大変素晴らしい人もいるし
> 、民主党が、党員でなくても、文句なしの革新候補を支持・推薦することもあるから、全
> 野党の共闘が良い選択であることも勿論あるでしょう。また、他に問題のない地方で、何
> か一点か二点について争う時に全野党共闘は十分に有意義でしょう。しかし民主党が自民
> 党の亜流のような体質を多分に持ち続ける限り、大きな選挙で無理に野党統一を成立させ
> るべき状況が必ずしも多くあるとは思えません。
>
> 自民党を与党の立場から引きずり下ろすことは非常に大切なことですが、それに代わった
> 民主党(推薦)候補がどれほど自民党とは異なり「民衆の」候補であるかをきっちりと問
> わなければなりません。他の野党を民主党に同調させるのではなく、「本当に」全野党が
> 一致できる革新的候補を発掘することが野党共闘の基本的に重要なことだと思います。
>
>
>
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> 藤谷 英男
> FUJITANI, Hideo
> e-mail: fujithid at yahoo.co.jp
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