[CML 000196] 阿久根ブログ市長の「革命」と橋下大阪府知事の「革命」の危険な類似性

higashimoto takashi taka.h77 at basil.ocn.ne.jp
2009年 6月 1日 (月) 16:24:16 JST


「低気温のエクスタシーbyはなゆー」の主宰者のはなゆーさんが、ブログ市長として有名になった阿
久根市長の再選を「小泉流『ワンフレーズ・ポリティクス』」の勝利と位置づけています。「訴えを市役
所人件費の是正一点に絞ってつかんだ勝利」というわけです。
http://alcyone.seesaa.net/article/120600102.html

そうしてはなゆーさんは次のような西日本新聞の記事を紹介しています。

■阿久根市長再選 波乱覚悟 改革望む 民意、市議選から一転 (西日本新聞 2009年6月1日)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090601-00000009-nnp-l46

「タクシー運転手男性(60)は「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリギリなのに、市職員
の半数は年収が700万円以上もある。票は市職員への怒りの表れ。人件費改革に手を付けてほ
しい」と竹原氏の当選を評価」

さて、以下が、そのはなゆーさんの記事を読んだ私の感想です。

はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事中に「竹原氏は『これから革命を起こす』と宣言。支
持者からは『(改革派の)大阪や宮崎の知事のようになって』とエールが飛んだ」という一文があり
ますが、記者の意図とは関係なく、同一文は、阿久根市長が行おうとしているポピュリズム政治の
危険性を端的に示しているように思います。

以下、上記に関連する地元紙の南日本新聞と朝日新聞の記事です。

■阿久根出直し市長選 竹原流「改革」に軍配(南日本新聞 2009年6月1日)
http://www.373news.com/modules/pickup/index.php?storyid=17230
■「職員厚遇」不満が追い風 阿久根市長選で竹原氏再選(朝日新聞 2009年6月1日)
http://www.asahi.com/politics/update/0601/SEB200906010002.html

再選された阿久根市長と大阪府の橋下知事との類似性について、朝日新聞と南日本新聞は、
上記の記事でそれぞれ次のように記しています。

朝日新聞:
「職員の待遇や税金のあり方に疑問を投げかける首長が全国で相次いで生まれている。/08
年1月の大阪府知事選で、人件費カットを含む財政健全化を訴えた橋下徹氏が当選。今年4月
の名古屋市長選でも、『市民税10%減税』『職員人件費10%削減』などを掲げた河村たかし氏
が圧勝した。橋下氏は職員の基本給カットを実施。竹原氏の職員年収公開を評価し、府幹部職
員のモデル年収を府のHPに掲載した」

南日本新聞:
「『革命』と表現する市職員給与の削減については『住民の主権が自治労に取り上げられてきた。
(住民の立場が公務員より下にある)下克上の状態を元に戻すこと』と説明。『自治労は阿久根
から出て行ってもらう』とこれまで同様、対決の姿勢を鮮明にした。/竹原さんは昨年8月の市
長初当選以来、議員定数の削減や民間からの市幹部登用をめぐり議会と対立。ほかにも自身
のブログ(インターネットの日記風サイト)で「辞めさせたい議員アンケート」を実施、市のホーム
ページで市職員給与を1円単位で公開したり、市役所各課に人件費総額を掲示するなど、物議
を醸してきた」

さて、下記の辛淑玉さんの小論攷は、上記の阿久根市長と橋下知事らとの同質性、また、同市
長が進めようとしている「革命」なるものの危険性を考えるについて、とても参考になる記事だと
思います。

週刊金曜日748号(4月24日)の特集は「どこへいくニッポンの民度 タレント知事がやってきた」
というものでしたが、その特集の囲み記事(「ウケ狙いの政治の果て」)で、辛淑玉さんは「大衆の
中にある差別感情を扇動する」ということについて次のように書いています。

「芸能番組で生きてきた彼ら(東本注:タレント政治家)は、同じテレビで活躍していてもジャーナリ
スト出身の政治家とは異なり、絶えず視聴率を意識し、スポンサーや興行主にへつらい、また師
匠=君主、弟子=奴隷という封建的人間関係が体にしみついている。ビートたけしの前の東国原
知事を見るまでもなく、配下の者には絶対者として君臨するという家父長主義的な芸能界の掟が、
タレント知事の誕生でそのまま政治に持ち込まれているのだ」

「たとえば、彼らの常套手段は『公務員攻撃』だ。カメラの前ではこれがウケる。公務員はその仕
事の割に高給を取っているというのがその理由だが、バブルの頃は優秀なやつは公務員になど
ならなかった。今は、民間の給与水準が低下したために、相対的に地方公務員が給与が高くなっ
ているだけだ。/労働者の組織率が低く、組合運動が弱い地方の民間企業の労働者が資本の
攻撃に負けた結果として賃金の崩壊が進んだにもかかわらず、その大衆のうっぷんを地方公務
員に対する怨嗟と八つ当たり攻撃にすり替えた。まさにウケ狙いの政治だ」

「さらに、社会の変化についていけず、被害者感情を募らせている一般大衆の持つねたみやそね
みを、八十年代以降のリベラルな社会運動がもたらした制度改革によって社会上昇を果たしたマ
イノリティに対する攻撃に誘導しようとしている/大衆の中にある差別感情を扇動することによっ
て当選を果たしたタレント知事が言う『地方から日本を変える』とは、資本の手先となって『大衆の
敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガラパゴス化させることなのだ」

参考:辛淑玉さんの論攷の全文は下記で見ることができます。
http://pub.idisk-just.com/fview/hdxg8sldiRjNIsuS-w7zACMoG_-0gQn57T9ST2vn-AAsWSKDqTZ90T1Mku6XkBnryGBtLIWwSYygpWC0OKOPyw.pdf


はなゆーさんが紹介される西日本新聞の記事。「ボーナスのない企業もあり、民間の生活はギリ
ギリなのに、市職員の半数は年収が700万円以上もある」という公務員の賃金についてのタクシ
ー運転手男性(60)の嘆きは真っ当な嘆きであり、悲鳴です。しかし、誰が、そして、どのような経
済構造のもとにそのような事態が現出しているのか? そのことの考察を抜きにして、安易にその
タクシー運転手の悲嘆に共感するだけでは、辛淑玉さんが指摘する罠に陥る可能性があります。

再選された阿久根市長が行おうとしている「革命」と橋下「革命」との類似性は報道等で指摘され
ているとおりです。そのことがすでに示唆的ですが、彼らの「革命」宣言は、「被害者感情を募らせ
ている一般大衆の持つねたみやそねみ」「大衆の中にある差別感情」をさらに助長、扇動し、結果
として「資本の手先となって『大衆の敵』を作り出し、本当の敵から目をそらさせ、日本を政治のガ
ラパゴス化させること」につながるドン・キホーテ的なポピュリズム宣言というべきだろう、と私は思
います。

私たちはそのことに自覚的でありたい、と思います。


東本高志@大分
taka.h77 at basil.ocn.ne.jp



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