[CML 000814] Re: 三鷹市市民協働センターでの<お話しと「慰安婦」展>の成功を

鷹嘴 factories_of_death at yahoo.co.jp
2009年 7月 27日 (月) 17:24:57 JST


 
  益岡さん、東本さん、解説ありがとうございます。
  
人種差別「的」な団体である在特会の違法性を問うなら、益岡さんが指摘するように「活動のケース」によって判断するべきだと思います。
ところで、どのような行為・言動が人種差別に当たるのかは、個々の価値観によって異なると思います。
   
 
 「退去命令を受けた一家は速やかに帰国するべきだ」「外国人参政権は反対」などという主張には腹が立ちますが、これらの主張のみで、人種差別撤廃条約に違反する人種差別だと言えるでしょうか?(在特会やそのシンパがどんなにもっともらしい理屈を並べても、彼らの頭の中は人種差別と排外主義の塊であるのは明白ですが)
「アホでマヌケなアメリカ白人」という文言は人種差別でしょうか?
「日本領事館に投石したりウイグル族を襲撃する漢族はバカだ」という発言は人種差別でしょうか?
無論益岡さんの例示された入店拒否など言語道断ですが。
   
 
 人種差別撤廃条約は、どのような行為・言動が人種差別に当たるのか漠然としたことしか書いてありません。何が差別で何が差別でないのか分かりません。ですから私は「どこそこの活動は違法だ」という安直な決め付けは避けます。敢えてそのような断定を行いたいのなら、個人の責任によってそのリスクを背負うべきだと思い
ます。
というか「〜〜という主張は違法だ」という議論は両刃の剣になりそうで怖いです。
   
  そもそも、在特会の活動がたとえ法に反していなくても、ああいう活動を公然と行うことを許したくありません。法の問題ではないと思います。
   
  
(なんだが在特会の宣伝をしているようなのでこれでやめます。彼らは批判されればされるほど喜ぶようですから。というかそれが目的みたいですから)
  

Ken Masuoka <kmasuoka at jca.apc.org> wrote:
  CMLの皆さん・鷹嘴さん、こんにちは。

益岡@東ティモール全国協議会と申します。恐らくCMLには弁
護士の方などもいらっしゃると思いますので、釈迦に説法なのか
も知れませんが。。。

On Sat, 25 Jul 2009 12:40:00 +0900 (JST)
鷹嘴 wrote:

> 差別を禁止する国際条約があろうとも、それを実現する国内法はまだありません。
> ですから「在特会」の活動は国内的には「違法」ではありません。

法律的には、そうではありません。日本の場合、国際条約は批准
され公布された段階で法的効力を持ちます。これは憲法98条2
項で定められています。米国なども同じです(一方、ドイツやイ
タリアでは議会が法律を制定し、その中で条約が国内で法的効力
をもつ旨の規定をおきます)。ですから、法的拘束力を有します。

ただし、直接、条約の条文を法として直接適用できるかどうかは
条約の規定の具体性によります。たとえば、1993年2月3日
の大麻取締法違反、関税法違反被告控訴事件高等裁判所判決では、
国際人権B規約14条3(f)に規定する「無料で通訳を受ける
こと」の保障を直接適用しています。

一方、直接適用できない場合でも、国を拘束する規範であること
に変わりはありません。したがって、国家機関としての裁判官は、
条約の規定の趣旨及び目的にできる限り適合するように国内法を
解釈・適合することが求められます(間接適用)。

人種差別撤廃条約の場合、現実的に最大の問題は、鷹嘴さんもご
指摘の通り、やはり一層具体化された国内法がきちんとないこと
ですが、それは国際法・条約の日本における位置づけをめぐる法
的な議論とは少し異なるレベルのことです。外務省自身が人種差
別撤廃条約に関して「この条約の実施のためには、新たな立法措
置及び予算措置を必要としない」と説明しており、ここからも、
人種差別撤廃条約が国内法上の措置の有無とは無関係に法的効力
を有していることがわかります(むろん上記憲法98条2項から
当然のことなのですが)。

以上から、「「在特会」の活動は国内的には「違法」ではありま
せん」とは言えません。「活動」というならば、活動のケースに
よることになるでしょう。

例えば、人種差別撤廃条約2条1項(d)「各締約国は、すべて
の適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む)に
より、いかなる個人、集団又は団体による人種差別をも禁止し、
終了させる」、第6条「締約国は、自国の管轄の下にあるすべて
の者に対し、権限のある自国の裁判所及び他の国家機関を通じて、
この条約に反して人権及び基本的自由を侵害するあらゆる人種差
別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し、並びにそ
の差別の結果として被ったあらゆる損害に対し、公正かつ適切な
賠償又は救済を当該裁判所に求める権利を確保する」というとこ
ろから、静岡の宝石店入店拒否事件静岡地方裁判所浜松支部判決
(1999年10月12日)では、人種差別撤廃条約をもとに、
入店拒否が民法上の不法行為(つまり「違法」)とされています。

益岡
-- 
Ken Masuoka 

 


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