[CML 000797] Re: 三鷹市市民協働センターでの<お話しと「慰安婦」展>の成功を
Ken Masuoka
kmasuoka at jca.apc.org
2009年 7月 25日 (土) 13:28:06 JST
CMLの皆さん・鷹嘴さん、こんにちは。
益岡@東ティモール全国協議会と申します。恐らくCMLには弁
護士の方などもいらっしゃると思いますので、釈迦に説法なのか
も知れませんが。。。
On Sat, 25 Jul 2009 12:40:00 +0900 (JST)
鷹嘴 <factories_of_death at yahoo.co.jp> wrote:
> 差別を禁止する国際条約があろうとも、それを実現する国内法はまだありません。
> ですから「在特会」の活動は国内的には「違法」ではありません。
法律的には、そうではありません。日本の場合、国際条約は批准
され公布された段階で法的効力を持ちます。これは憲法98条2
項で定められています。米国なども同じです(一方、ドイツやイ
タリアでは議会が法律を制定し、その中で条約が国内で法的効力
をもつ旨の規定をおきます)。ですから、法的拘束力を有します。
ただし、直接、条約の条文を法として直接適用できるかどうかは
条約の規定の具体性によります。たとえば、1993年2月3日
の大麻取締法違反、関税法違反被告控訴事件高等裁判所判決では、
国際人権B規約14条3(f)に規定する「無料で通訳を受ける
こと」の保障を直接適用しています。
一方、直接適用できない場合でも、国を拘束する規範であること
に変わりはありません。したがって、国家機関としての裁判官は、
条約の規定の趣旨及び目的にできる限り適合するように国内法を
解釈・適合することが求められます(間接適用)。
人種差別撤廃条約の場合、現実的に最大の問題は、鷹嘴さんもご
指摘の通り、やはり一層具体化された国内法がきちんとないこと
ですが、それは国際法・条約の日本における位置づけをめぐる法
的な議論とは少し異なるレベルのことです。外務省自身が人種差
別撤廃条約に関して「この条約の実施のためには、新たな立法措
置及び予算措置を必要としない」と説明しており、ここからも、
人種差別撤廃条約が国内法上の措置の有無とは無関係に法的効力
を有していることがわかります(むろん上記憲法98条2項から
当然のことなのですが)。
以上から、「「在特会」の活動は国内的には「違法」ではありま
せん」とは言えません。「活動」というならば、活動のケースに
よることになるでしょう。
例えば、人種差別撤廃条約2条1項(d)「各締約国は、すべて
の適当な方法(状況により必要とされるときは、立法を含む)に
より、いかなる個人、集団又は団体による人種差別をも禁止し、
終了させる」、第6条「締約国は、自国の管轄の下にあるすべて
の者に対し、権限のある自国の裁判所及び他の国家機関を通じて、
この条約に反して人権及び基本的自由を侵害するあらゆる人種差
別の行為に対する効果的な保護及び救済措置を確保し、並びにそ
の差別の結果として被ったあらゆる損害に対し、公正かつ適切な
賠償又は救済を当該裁判所に求める権利を確保する」というとこ
ろから、静岡の宝石店入店拒否事件静岡地方裁判所浜松支部判決
(1999年10月12日)では、人種差別撤廃条約をもとに、
入店拒否が民法上の不法行為(つまり「違法」)とされています。
益岡
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Ken Masuoka <kmasuoka at jca.apc.org>
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